ドル円、米追加景気対策期待の後退を受けて反落。リスク回避ムードが再燃
〇ドル円トランプ大統領の退院によるリスク選好回復、欧米株堅調に一時105.81まで上昇
〇その後トランプ大統領の追加経済対策中止指示で105.55近辺に反落
〇ユーロドル一時1.1807の高値をつけるが、ECB関係者の追加緩和示唆、株価の下落等で1.1735まで急落
〇ドル円テクニカルには下値の堅さ印象付ける形状だが一目均衡表の「雲」が重石
〇ファンダメンタルズはドル円下落材料多い
〇米追加景気対策期待の後退による株安からドル円・クロス円下落への波及想定
〇本日の予想レンジ:105.00ー105.80
海外時間の為替概況
6日(火)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@トランプ米大統領の退院報道や、A欧米株の堅調推移、B上記@Aを背景としたリスク選好の円売りが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、105.71まで上昇しました。しかし、前日高値105.81や、心理的節目106.00をバックに伸び悩むと、CパウエルFRB議長による「見通しは非常に不透明」との発言や、Dトランプ米大統領による「追加経済対策についての協議を大統領選後まで中止する」との一部報道(追加景気対策期待の後退→米株急落→リスク回避のドル買い・円買い)、E上記Dを受けた米長期金利の急低下が重石となり、米国時間午後にかけて、安値105.50まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、105.55近辺で推移しております。
6日(火)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@欧米株の堅調推移や、A上記@を背景としたリスク選好のドル売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1807(9/21以来の高値)まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準に続伸を阻まれると、B1.18台で定着できなかったことに伴う短期筋の見切り売りや、C「欧州連合はジョンソン英首相が設定した10/15の交渉期限を無視する方針」との一部報道(英国ー欧州間の協議難航→英ポンド下落→ユーロ連れ安)、DラガルドECB総裁による「ECBはあらゆる手段を活用する準備がある」とのハト派的な発言(追加緩和観測→ユーロ売り)、Eフランスの国立統計経済研究所による第4四半期の国内総生産の下方修正(今回0.0%、前回1.0%)、
FレーンECB専務理事による「インフレ目標を達成するため、ECBは新型コロナウイルスによる苦難を克服した後も十分に緩和的な金融政策を維持する必要性がある」との発言(追加緩和観測→ユーロ売り)、Gトランプ米大統領による「追加経済対策についての協議を大統領選後まで中止する」との一部報道(株安→リスク回避のドル買い・円買い)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1735まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1750近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、9/21に記録した約半年ぶり安値104.00をボトムに反発に転じると、10/5には一時105.81まで上昇しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も消失するなど、テクニカル的にみて、「下値の堅さ」を印象付けるチャート形状となっております。但し、上方には一目均衡表雲下限が控えていることから、ここからの続伸は容易では無いと考えられます(事実昨日も一目均衡表雲下限に続伸を阻まれ反落)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不安(米追加景気対策期待が後退したことで米景気の先行き不安が再燃)、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(11/3に予定されている米大統領選への不透明感)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク(ロックダウン再開リスク)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。財政の崖リスクの顕在化)、H英合意無き離脱リスクの再燃、I米追加景気対策の交渉難航(トランプ米大統領は「追加経済対策についての協議を大統領選後まで中止する」と発言)など、ドル円相場の反落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的に持ち直しの動きが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さに続伸を阻まれるシナリオが想定されます。株式市場の動向や、米中対立及び英国情勢に関するヘッドライン、米主要経済指標の結果(MBA住宅ローン申請指数や、FOMC議事要旨など)、米追加景気対策に関する続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(米追加景気対策期待の後退を背景に、株安→ドル円・クロス円下落の波及経路を想定)。
本日の予想レンジ:105.00ー105.80
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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