トルコリラ週報:『リラ売り基調止まらず。利上げを通じた通貨安防衛効果は早くも剥落』(10/3朝)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、9/29には史上最安値となる13.42円まで急落しました。

トルコリラ週報:『リラ売り基調止まらず。利上げを通じた通貨安防衛効果は早くも剥落』(10/3朝)

リラ売り基調止まらず。利上げを通じた通貨安防衛効果は早くも剥落

〇トルコ円地政学リスクの高まりに9/29に史上最安値13.42を記録、13.54レベルで越週
〇トルコ円サプライズ利上げ後の上昇をすべて吐き出す
〇ファンダメンタルズもトルコ売り材料山積
〇来週も安値更新が続くか
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.30ー13.80

今週のレビュー(9/28−10/2)

今週のトルコリラ円相場は、週初13.76円で寄り付いた後、@隣国アルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突に端を発した地政学的リスクの高まり(トルコはアゼルバイジャンへの全面支援を表明)や、A東地中海エリアでトルコ海軍が軍事演習を実施したとの一部報道(トルコ軍によるギリシャに対する挑発行動)、B短期筋の失望売り(先週はトルコ中銀によるサプライズ利上げを受けて一時14.05円まで反発するも、僅か1日で急落に転じるなど上値の重さを露呈)が重石となり、翌9/29に、史上最安値となる13.42円まで急落しました。しかし、ボリンジャーバンド下限をバックに押し目買いが強まると一転、

C欧米株の上昇を背景としたリスク選好の動きが支援材料となり、10/1には一時13.84円まで反発する場面も見られました。もっとも、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表転換線が走る13円台後半では戻り売り圧力も根強く、伸び悩むと引けにかけて再び反落。結局13.54円近辺まで押し返されての越週となっております。尚、10/1には欧州連合(EU)による対トルコ制裁が見送られましたが、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(10/5−10/9)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、9/29には史上最安値となる13.42円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転及びパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(サプライズ利上げ後の反発分を全て吐き出す冴えない展開=上値の重さを再確認)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス継続(先般の利上げでマイナス幅は縮小するもプラス圏へは浮上せず)、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(着々と広がる反トルコ包囲網)、Eトルコを巡る地政学的リスクの高まり(アゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突や、トルコとギリシャの衝突再開リスクなど)、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナウイルス感染再拡大リスクなど、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感(脆弱なファンダメンタルズにも係わらず利上げに踏み切ったことで、今後は一段とトルコ経済に下押し圧力が加わる恐れあり=実体経済と金融政策の不一致)や、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力が大幅に低下→リラ安基調止まらず)、地政学的リスクの高まり(反トルコ包囲網の拡大)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落(史上最安値を更新し続ける展開)をメインシナリオとして予想いたします(来週は10/5のトルコ9月消費者物価指数に注目。インフレ高進となれば、実質金利のマイナス幅拡大を通じてトルコリラをもう一段押し下げる恐れあり)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):13.30ー13.80

注:ポイント要約は編集部

リラ売り基調止まらず。利上げを通じた通貨安防衛効果は早くも剥落

トルコ円日足

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