来週の為替相場見通し:『トランプ氏の新型コロナ感染に伴うリスクオフ再来に注意』(10/3朝)

ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、9/21には一時104.00(約半年ぶり安値)まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『トランプ氏の新型コロナ感染に伴うリスクオフ再来に注意』(10/3朝)

トランプ氏の新型コロナ感染に伴うリスクオフ再来に注意

〇今週のドル円、リスク選好回復、米指標好調、米追加景気対策期待で105.81まで上昇
〇その後トランプ大統領コロナ感染の報道で一時105円割れ、105.33レベルで越週
〇ユーロドルECB総裁のユーロ高牽制、米追加景気対策期待に1.1615まで下落後、一時1.1770まで反発
〇ドル円、テクニカルファンダメンタルズともに下落リスク警戒される
〇米政治不安、追加景気対策難航リスク、テクニカルの弱さがドル円の重石
〇ユーロドルはECB追加緩和、要人のユーロ高牽制、欧州圏の感染拡大に注意
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.50ー106.00(EURUSD):1.1550−1.1800

今週のレビュー(9/28−10/2)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初105.51で寄り付いた後、@堅調な株式市場を背景としたリスク選好の円売り圧力や、A米経済指標(米9月ダラス連銀製造業活動指数、米7月ケース・シラー住宅価格指数、米9月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数、米9月ADP雇用統計や、米9月シカゴ購買部協会景気指数など)の良好な結果、B米追加景気対策期待(ペロシ下院議長とムニューシン米財務長官が米景気対策を巡る交渉を実施)が支援材料となり、9/30には、週間高値105.81まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、C共和党のマコネール上院院内総務による米追加景気対策期待に対する悲観的な発言や、

Dロンドンフィキシングに絡む月末・四半期末のドル売り圧力、E東京証券取引所の売買が終日停止の異常事態に見舞われたこと、Fトランプ米大統領の新型コロナウイルス感染報道(米主要株価指数下落→リスク回避の円買い)が重石となり、10/2には週間安値104.94まで反落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局105.33近辺での越週となっております。尚、今週発表された米大統領候補者の第1回テレビ討論会は両者互いを罵り合うなど、終始議論の噛み合わない展開となりました。また、週末に発表された米9月非農業部門雇用者数は市場予想を下回る冴えない結果となりましたが、市場の反応は限定的となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1638で寄り付いた後、@ラガルドECB総裁による「ユーロ高がインフレ圧力に繋がる」とのユーロ高牽制発言や、A米追加景気対策期待を背景としたドル買い圧力が重石となり、早々に週間安値1.1615まで下落しました。しかし、先週末金曜日に記録した安値1.1612をバックに下げ渋ると、Bユーロ圏9月経済信頼感指数(結果91.1、予想89.5)の良好な結果や、C月末・四半期末ロンドンフィキシングに絡む需給要因(ユーロ買い)、D欧米株の上昇を背景としたリスク選好のドル売り圧力、Eムニューシン米財務長官による「米追加景気対策の合意はまだない」との発言、

F英国と欧州連合は国家補助について落としどころを見つけつつあるとの一部報道(英合意無き離脱リスク後退→英ポンド上昇→ユーロ連れ高)が支援材料となり、10/1には、週間高値となる1.1770(9/22以来の高値)まで反発しました。もっとも、ボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれると、GラガルドECB総裁による「インフレ目標の一時的な上振れ余地を許容する」との発言や、H欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大懸念(スペインのマドリードで感染拡大抑制に向けたロックダウンを再導入するとの一部報道)、I英国のEU離脱を巡る通商交渉の先行き不透明感が重石となり、結局1.1715近辺まで押し返されての越週となっております。

来週の見通し(10/5−10/9)

<ドル円相場>
ドル円は、8/28に記録した高値106.96をトップに反落に転じると、9/21には一時104.00(約半年ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(足元105円台を回復するも、一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドが密集する105円台半ばでは上値の重さが顕著。一目均衡表雲下限も垂れ下がってきており、来週は104円台への再突入を予想)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不安、B米中対立先鋭化リスク、C米政治の先行き不透明感(トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染を受けて、11/3に予定されている米大統領選への不透明感が一段と増す状況)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナウイルスの感染再拡大リスク(世界的なロックダウン再開リスク)、F日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、G実体経済と株式相場の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。財政の崖リスクの顕在化)、H英合意無き離脱リスクの再燃、I米追加景気対策の交渉難航など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株の動向や、米中対立及び英国情勢を巡るヘッドライン、米国の主要経済指標の結果(10/5の米9月ISM非製造業景況指数、10/6のパウエルFRB議長発言、10/7のFOMC議事要旨及び米副大統領候補者討論会など)、新型コロナウイルスの感染拡大状況、米政治の続報(トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米政治不安の高まりや米追加景気対策の交渉難航リスク、テクニカル的な地合いの弱さがドル円の重石。来週はリスクオフ再来に伴うドル円・クロス円の下落に要注意)。

来週の予想レンジ(USDJPY):103.50ー106.00

注:ポイント要約は編集部

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、9/1に記録した約2年4ヵ月ぶり高値1.2012をトップに反落に転じると、9/25には一時1.1612(7/24以来の安値圏)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや雲上限を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(今週は1.17台へ反発するも戻りは総じて鈍い印象=上値が重たい)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交がユーロ圏へも波及する恐れ)、B朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、C欧州圏における新型コロナウイルス第2波リスク、DECBによる根強い追加緩和観測、EIMM通貨先物市場における投機筋の高水準のユーロの買い持ちポジション(潜在的なユーロ売り材料)、F英国の合意無き離脱リスクの高まり(英国・EU間の通商交渉難航リスク)、GECB当局者による相次ぐユーロ高牽制発言など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、ユーロ圏の要人発言(ユーロ高牽制や追加緩和を示唆する発言。特に10/6と10/7に予定されているラガルドECB総裁発言に注目)、英国・EU間の通商交渉の行方(交渉難航なら英ポンド急落→ユーロ連れ安の波及経路)、欧州の主要経済指標の結果(10/5のユーロ圏9月サービス業PMI及びユーロ圏8月小売売上高、10/7のドイツ8月鉱工業生産、10/8のECB理事会議事要旨など)、新型コロナウイルスの感染拡大状況(ユーロ圏各国によるロックダウン再開リスク)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(欧州当局者によるユーロ高牽制と追加緩和観測、欧州圏における新型コロナウイルス感染再拡大懸念がユーロの重石)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1550−1.1800

トランプ氏の新型コロナ感染に伴うリスクオフ再来に注意

ドル円日足

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