トルコリラ円見通し ナゴルノ紛争勃発報道での売り一巡でいったん戻したが再び下落(20/10/2)

1日深夜には13.60円を割り込み、2日早朝には13.52円まで安値を切り下げてきている。

トルコリラ円見通し ナゴルノ紛争勃発報道での売り一巡でいったん戻したが再び下落(20/10/2)

トルコリラ円見通し ナゴルノ紛争勃発報道での売り一巡でいったん戻したが再び下落

〇トルコリラ円、10/1午後13.80まで高値を切り上げるが失速、10/2早朝13.52円まで安値切り下げ
〇対ドル、10/1朝に7.67リラまで回復するも10/1夜に7.77リラまで再び反落
〇ナゴルノ紛争、今後の展開次第ではさらなるリラ売りへ向かう可能性も
〇昨日発表のイスタンブール製造業PMIは悪化
〇13.65以下での推移中は一段安余地あり、13.50割れからは13.40、さらに13.30台中盤を目指すとみる
〇13.60以上は反落注意とする、13.65超えからは上昇再開として13.80試しを想定する

【概況】

トルコリラ円は9月27日に勃発したナゴルノ紛争報道により28日に急落して史上最安値を更新したが、初期的な売り殺到が一巡した後は13.50円を挟んだ持ち合いとなり、いったん落ち着いたとみての買い戻しから9月30日深夜には持ち合いの抵抗だった13.60円を超え、1日午後には13.80円まで戻り高値を切り上げていた。28日に急落開始する直前の水準が13.80円弱の水準であり、28日の急落分をほぼ解消する動きとなったのだが、戻りは続かずに失速し始め、1日深夜には13.60円を割り込み、2日早朝には13.52円まで安値を切り下げてきている。ナゴルノ紛争は6日目に入るが、紛争拡大と周辺国の巻き込みによる地政学的リスクの拡大懸念は続いている。

【トルコリラは対ドルで29日深夜の最安値から反発するも1日午後から再び下落の気配】

対ドルでのトルコリラは中銀利上げによる上昇で25日午後に7.50リラまで戻していたところからナゴルノ紛争ぼっ発報道により急落に転じ、28日午前には中銀利上げ前の水準を割り込む一段安に入り、29日深夜には7.85リラまで史上最安値を更新した。その後は初期的な売り反応一巡により戻し始め、1日午後には7.61リラまで回復していたが、この戻りも一巡となり1日夜には7.77リラまで再び反落している。

軍事衝突や紛争激化報道等に対する相場の反応は最初に過剰反応した後に落ち着くものであり、湾岸戦争の時も大規模爆撃開始をもって原油相場が天井を付けたような展開もある。今回も紛争は長期化するだろうが、周辺国への巻き込み具合、特にトルコとロシアの関係等が相当程度に緊張しなければいったんは材料として落ち着く可能性がある。だが、トルコはかなりアゼルバイジャンへの支持を強め、傭兵を事前に送り込む等により実質的な参戦状況ともいえるので、今後の展開次第ではここ数日の相場反応では消化しきれないとしてリラ売りへ向かう可能性もあるところと思われる。
既に100人規模の死者と数百人の負傷者が出ており、戦闘地域はナゴルノカラバフの境界を越えて拡大しており、一時的な領有権を巡る衝突ではなく、アゼルバイジャンとアルメニアによる長期間の全面戦争に発展する恐れがある。

トルコのチャブシオール外相はアゼルバイジャンから要請があれば「必要なことを行う」と軍事支援姿勢を示している。また「フランスのアルメニアに対する支持はアゼルバイジャンにおけるアルメニアの占領を支持しているのも同然だ」とフランスを非難した。これに対してマクロン仏大統領はトルコの好戦的なメッセージを非常に懸念していると対決姿勢を示している。
ロシアはアゼルバイジャン及びアルメニアに対して仲介姿勢を示しており軍事的支援によるトルコとの緊張が激化する動きは今のところ見えない。
ロシアのプーチン大統領とフランスのマクロン大統領及びトランプ米大統領は1日に即時停戦を求める共同声明を出した。ナゴルノカラバフ紛争については米仏ロによる欧州安保協力機構(OSCE)ミンスクグループとしての仲介を30年以上続けているのだが、ほぼ形骸化した状況にあった。三国がOSCEの共同議長を務めている。

【イスタンブール製造業PMIは悪化】

10月1日に発表されたトルコの9月イスタンブール製造業PMIは52.8となり市場予想の54.7を下回った。

トルコリラ円見通し ナゴルノ紛争勃発報道での売り一巡でいったん戻したが再び下落

コロナショック前の今年2月に52.4だったところから3月に48.1、4月に33.4と悪化してその後は持ち直しに入って7月には56.9まで上昇していたが、8月へ54.3低下して9月も低下が続くこととなった。経済活動は再開して50を超える水準を維持しているものの伸び悩みの状態といえそうだ。

【トルコの感染拡大第二波、実際は発表よりも感染者が多い?】

新型コロナウイルスの世界感染者累計は3446万人を超え、死者は100万人を突破した。10月1日も米国で46980人増、インドで81693人増、ブラジルで35643人増等と収束感の見えない状況だ。トルコの感染者累計は1日時点で32万70人、前日からは1407人増、死者は8262人で67人増となった。感染規模は世界で18番目の多さでイタリアを超えている。
新規感染者数は4月12日に4789人増のピークを付けてから減少傾向に入り7月には千人を切る水準まで低下したが、経済活動再開や規制解除により漸増して9月18日には1771人増まで拡大してきた。その後はやや低下傾向が見られてきたのだが、トルコのコジャ保健相は9月30日の会見で、政府が毎日発表している新型コロナウイルスの新規感染者数に無症状の人は含まれていないと明らかにした。このため、実態はさらに感染者が増えている可能性が高まった。
欧州の第二波や日本の第二波においても重傷者や死者の増加は第一波よりも低くなっているので無症状者をカウントしないことにも一理あるが、感染増加ペースが加速すれば追って重症者死者も増えることが懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月24日の中銀利上げによる反騰とその後の一段安により、24日夜安値を直近のサイクルボトム、25日夕高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとしてボトム形成期を29日夜から10月1日夜にかけての間と想定していたが、30日夜の上昇で13.60円を超えてきたために1日朝時点では29日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は30日午後から10月2日午後にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとし、13.50円割れからは弱気サイクル入りとした。
1日午後の戻り高値からの反落では13.50円割れには至っていないが、前回サイクルトップから4日を経過しての下落のため、1日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は2日夜から6日深夜にかけての間とし、強気転換は1日午後高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では2日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は1日午後高値時に70ポイントに到達してから下落に転じている。50ポイント前後までを抵抗としてさらに一段安余地ありとみて30ポイント割れを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.50円を下値支持線、13.65円を上値抵抗線とする。
(2)13.65円以下での推移中は一段安余地ありとし、13.50円割れからは13.40円、さらに13.30円台中盤を目指すとみる。13.40円前後ではいったん買い戻しも入りやすいおみるが13.60円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.60円以上は反落注意とするが、13.65円超えからは上昇再開として1日午後高値試しを想定する。13.70円以上は反落注意だが、13.65円を超えた後も13.50円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

10月5日
 16:00 9月消費者物価上昇率 前月比 (8月 0.86%、予想 0.70%)
 16:00 9月消費者物価上昇率 前年比 (8月 11.77%、予想 11.40%)
 16:00 9月生産者物価上昇率 前月比 (8月 2.35%、予想 1.00%)
 16:00 9月生産者物価上昇率 前年比 (8月 11.53%、予想 12.50%)
10月8日
 20:30 週次外貨準備高 10/2時点
10月12日
 16:00 7月失業率 (6月 13.4%、予想 15.0%)
 16:00 8月経常収支 (7月 -18.17億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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