ドル円見通し 105.50円挟んだ膠着状態続く、今晩の米雇用統計待ち
〇ドル円、10/1朝105.39まで下げる、夜には105.72まで戻したが10/30午前高値超えには至らず
〇NYダウは小幅上昇、米長期債利回りは小動きにとどまる
〇米経済指標はまちまち、雇用関係は徐々に回復傾向だが依然として戦後最悪級の高失業状態
〇ドル円、105円前後での狭いレンジ推移続く、今夜の米雇用統計発表後の動きに注目
〇105.50以下での推移中は下向きとして、105.39割れからは105円前後への下落を想定
〇105.80超えからは持ち合い上放れに入るとみて106.00台序盤試しを想定
【概況】
ドル円は9月30日午前に105.80円まで上昇して9月21日安値以降の高値を更新したものの、その後は新たな高値更新へ進めずに105.50円を挟んだ揉み合いが続いている。30日午前までの上昇は米国株式市場の反騰と同調した為替市場におけるリスク選好感を背景としたもので、ドルストレートでのドル安とクロス円での円安においてドル円では円安が優勢となっての上昇だったが、30日午前の米大統領選挙TV討論会でのバイデン氏有利報道からいったんリスク回避的な動きとなって1日朝安値105.39円まで下げた。1日の日中から夜にかけては株高と為替市場のリスク選好感優先の動きが続いたために持ち直して22時台には105.72円まで戻したが、30日午前高値超えには至らず、米ISM製造業景況指数が予想に届かなかったことや米与野党の追加経済対策が合意に至らなかったこと等で2日早朝にかけてはやや下げている。
【1日の米経済指標はまちまち、ダウは小幅高、長期債利回りはさほど動かず】
1日のNYダウは前日比35.20ドル高と小幅上昇にとどまった。9月3日から9月24日まではリスク回避感が強まっての下落だったが、リスク選好感が復調し始めて戻している。しかし、景気は徐々に持ち直してはいるものの世界的な感染拡大は収まらず、米連銀の金融政策もゼロ金利の長期化と量的緩和拡大規模の維持にとどまり手詰まり感もある。米大統領選挙がどう転ぶのかということと米議会のねじれ解消となるのかどうかも気がかりな状況だ。2日夜の米雇用統計から反騰基調継続感が強まって為替市場でのリスク選好的なドル安、クロス円における円安が進むかどうか重要な岐路に差し掛かる。
1日の米10年債利回りは前日比0.01%低下の0.68%、30年債利回りは横ばいの1.46%。このところ米長期債利回りは小動きにとどまっているが下がらないことがドル円を下支えしているともいえる。米雇用統計後に株高債券安・長期債利回り上昇ならドル円にとっては上昇要因となるが、株安債券高・長期債利回り低下となればドル円には売り圧力となってくると思われる。
米商務省が発表した8月の個人消費支出は前月比1.0%増で市場予想の0.8%増を上回った。しかし7月の1.5%増から鈍化し、鈍化は4か月連続となった。個人所得は2.7%減で市場予想の2.4%減を上回ったが2か月ぶりのマイナスだった。週600ドルの失業給付上乗せが7月末で終了したことの影響と思われる。個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比1.4%上昇、食料品とエネルギーを除くコア指数は1.6%上昇でいずれも米FRBの物価目標である2%を大きく下回っている。
米労働省が発表した9月26日までの週間新規失業保険申請件数は83万7000件で前週比3万6000件減少、市場予想の85万件を下回った。失業保険受給者総数は9月19日までの週間で1176万7000人となり前週から98万人減少、市場予想の1222万5000人を下回った。徐々に回復しているものの依然として戦後最悪級の高失業状態だ。
米ISMの発表した9月製造業景況指数は55.4となり8月の56.0から低下、市場予想の56.3を下回った。新規受注では前月の67.6から60.2へ低下、生産も前月の63.3から61.0へ低下した。雇用は前月の46.4から49.6へ改善したものの50を下回っている。
【105円前後0.30円程度の値幅での推移が6日間続く】
9月24日に105円に到達して以降、9月25日午後安値105.23円から30日高値105.80円までの狭いレンジでの推移が続いている。30日午前高値までは戻り高値をわずかに切り上げつつその後の安値も若干切り上げてきて右肩上がりではあったが、1日朝に30日午後安値を割り込んだために戻り高値切り下がりからの安値更新となり、流れはやや右肩下がりとなった。1日夜の上昇でも戻り高値切り上げには至らなかった。
日足では30日高値が一目均衡表の先行スパン下限に抑えられている。相対力指数は50ポイント前後でのわずかなレンジの推移でニュートラルな状況が続いている。ほぼ横ばいの持ち合い推移は長引くと10日前後かかることもあるが、2日夜には米雇用統計の発表もあるため、持ち合い放れから動意付くきっかけになりやすいと思われる。「持ち合いは持ち合い放れにつけ」というのが鉄則とされるが、持ち合いによる値動きの膠着は市場心理にはストレスであり、持ち合い放れからはストレス解放となって大きく動意付くものだ。
持ち合い上放れに入れば106円台序盤、106.50円前後、さらに107円を目指す流れへ向かう可能性も出てくると思われるが、逆に持ち合い下放れに入れば9月21日の104円割れとなった安値からの戻り一巡による下げ再開へ向かい、9月21日安値を割り込む一段安へ進みかねないと思う。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月9月25日夕刻にいったん下げてから高値を切り上げたために29日朝時点では25日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして9月30日夜から10月2日深夜にかけての間への上昇を想定したが、30日午前高値からの下落で30日深夜に30日夕刻を割り込んで安値切り下がりに入ったため、1日朝時点では30日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は30日午後から10月2日夕にかけての間と想定した。
1日夜への反発では30日午前高値を超えずにいるためまだ一段安余地ありとみる。また1日夜へやや戻しているので1日朝安値を直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクル入りとなる可能性も検討される。30日午前高値超えからは強気サイクル入りとして5日午前から7日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では持ち合い続きのため遅行スパンは実線との交錯を繰り返し、先行スパンに対しても突破と転落を繰り返しているので方向感に欠ける。両スパンそろって悪化の場合は安値試し優先とするが、30日午前高値超えからは持ち合い上放れとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイントを挟んだ小動き。60ポイント超えから続伸に入れば70ポイント超えを目指すと考え、40ポイント割れから続落の場合は30ポイント割れを目指すと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月1日朝安値105.39円を下値支持線、30日午前高値105.80円を上値抵抗線とする。
(2)105.50円以下での推移中は下向きとして、1日朝安値割れからは105円前後への下落を想定する。米雇用統計から急落の場合は104円台中盤へ下値目途を引き下げて週明けへの続落を想定する。
(3)30日午前高値超えからは持ち合い上放れに入るとみて106.00円台序盤試しを想定する。米雇用統計から急騰の場合は106.50円前後へ上値目途を引き上げ、さらに週明けへの続伸を想定する。
【当面の主な予定】
10/2(金)
休場、中国、香港、台湾、韓国、インド
10:30 (豪) 8月 小売売上高 前月比 (8月 3.2%、予想 -4.2%)
14:00 (日) 9月 消費者態度指数 (8月 29.3、予想 31.4)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (前月 -0.2%、予想 -0.2%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (前月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 137.1万人、予想 85.0万人)
21:30 (米) 9月 失業率 (8月 8.4%、予想 8.2%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前月比 (8月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前年同月比 (8月 4.7%、予想 4.8%)
22:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 78.9、予想 79.0)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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