トルコリラ円見通し ナゴルノ紛争激化の様相、トルコリラは対ドルで最安値更新(20/9/30)

対ドルでのトルコリラは、ナゴルノ紛争報道から28日取引開始から急落となり28日夜に7.83リラ、29日深夜にも7.85リラへと続落して史上最安値を更新している。

トルコリラ円見通し ナゴルノ紛争激化の様相、トルコリラは対ドルで最安値更新(20/9/30)

ナゴルノ紛争激化の様相、トルコリラは対円で下げ一服だが対ドルで最安値更新

〇トルコリラ円、13.40割れを回避し持ち合い継続
〇対ドルでは29日深夜に7.85リラへと続落し史上最安値更新
〇ナゴルノ紛争、トルコとロシアが仲介か、介入で対立深刻化か微妙なところ
〇13.60以下で推移中は一段安警戒、13.40割れからは13.30、13.20を段階的に試す流れ
〇13.60超えからは13.65前後への上昇を想定するが、13.65以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円は9月24日夜のトルコ中銀による予想外の大幅利上げから13.93円まで急伸しし、25日夕刻には14.01円まで一段高となり9月17日以来の14円台到達となったが、その後は買い一巡で13.80円割れまで失速して先週を終えていた。
9月27日に勃発したナゴルノ紛争による地政学的リスクにより28日朝には13.28リラまで急落となった。フラッシュクラッシュ的な急落でベンダーによっては13.44円までの下げだったが、13.70円台までいったん戻した後は紛争激化への懸念から再び下落に入り、28日夜には13.43円まで下落、その後は13.50円を挟んで凡そ前後1円幅での持ち合いとなり、29日夜は対ドルでトルコリラが最安値を更新した局面で28日夜安値をわずかに割り込んだが13.40円割れを回避して持ち合いを継続している。ベンダーによっては28日安値が13.44円、29日安値が13.40円で対円での史上最安値をさらに更新している。

【対ドルでは最安値更新、紛争絡みでロシアルーブルが下落】

対ドルでのトルコリラは中銀利上げによる反騰で9月25日夕刻に7.50リラまで反騰してから買い戻し一巡により7.65リラ前後まで反落していたが、ナゴルノ紛争報道から28日取引開始から急落となり、28日夜に7.83リラ、29日深夜にも7.85リラへと続落して史上最安値を更新している。
アゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突は27日から29日へ3日間続いており、日々激化しているが、アゼルバイジャンがトルコと友好関係にあり、アルメニアがロシアと友好関係にあるため、トルコとロシアも巻き込まれて紛争が深刻化長期化してゆく懸念が強まっている。このことがトルコリラ売りを加速させているが、ロシアルーブルもこの紛争による影響懸念から下落している。
ロシアルーブルは対ドルで1ドル79ルーブル台後半に下落しており、3月末以来半年ぶりの安値を付けている。新型コロナウイルスの感染第2波によるリスク回避感が強まっていることでの新興国通貨売り圧力に加え、隣国ベラルーシでの反政権デモ、さらにナゴルノ紛争勃発がルーブル安を加速させている。

【ナゴルノ紛争その後】

9月27日からトルコと国境を接するアゼルバイジャンとアルメニアの旧ソ連領域での大規模軍事衝突が発生した。すでに死者も100人近くとなり、1994年の停戦以降で最大規模となっている模様。
国連安保理は29日、紛争激化を受けてフランス等の要請により非公式協議し、双方に戦闘の即時停止を求めることで一致した。
アゼルバイジャンとアルメニアの両首脳は29日にロシア国営テレビ報道番組に相次いで中継出演して非難合戦を繰り広げたが、アルメニア首脳は29日にロシアのプーチン大統領と2度目の電話会談も行った模様。
アゼルバイジャンはトルコと友好関係であり29日にはアルメニアがトルコ空軍機がアルメニア空軍機を撃墜したと非難、トルコはこの報道を否定しているが、トルコはすでに友好関係のある反アサド政権側のシリア人部隊をアゼルバイジャンに派遣している。米ロ仏等による国際的な紛争調停の枠組みが崩れている状況のため、情勢が落ち着くのも難しい状況で、トルコとロシアが仲介へ向かうか、介入で紛争をさらに激化させて両国の対立も深刻化するのかどうか微妙なところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

9月28日夜以降は13.50円を挟んだボックス型の持ち合いでやや小康状態だが、中銀の利上げによる上昇も束の間で一段安した状況であり、ナゴルノ紛争の早期解決が見えない状況ではさらに安値試しへ向かいかねないところと思われる。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月24日の中銀利上げによる反騰とその後の一段安により、24日夜安値を直近のサイクルボトム、25日夕高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りと考える。ボトム形成期は29日夜から10月1日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとみるが、連続的な弱気サイクル入りによりボトム形成期が来週へ延長される可能性もあるので13.60円以下での推移中は一段安警戒とする。13.60円越えからはいったんリバウンドに入るとみて30日午後から10月2日午後にかけての間への反発を想定するが、戻りは短命の可能性があると思われる。

60分足の一目均衡表では9月28日朝の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。その後の持ち合い推移により遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパンから転落した状況のままであり、13.40円割れからは一段安入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。13.60円超えからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、戻りは短命とみてその後の遅行スパン悪化からは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は持ち合いに入っているため50ポイントを挟んで方向感に欠ける展開だが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.40円を下値支持線、13.60円を上値抵抗線とする。
(2)13.60円以下での推移中は一段安警戒とし、13.40円割れからは13.30円、13.20円を段階的に試す流れと考える。
(3)13.60円超えからはいったん戻しに入るとみて13.65円前後への上昇を想定するが、13.65円以上は反落警戒とみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

9月30日
 16:00 8月貿易収支 (7月 -26.9億ドル、予想 -22.0億ドル)
10月1日
 16:00 9月イスタンブール製造業PMI (8月 54.3、予想 54.7)
 20:00 トルコ中銀 MPC議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備高 9/25時点 (9/18 452.81億ドル)
10月5日
 16:00 9月消費者物価上昇率 前月比 (8月 0.86%、予想 0.70%)
 16:00 9月消費者物価上昇率 前年比 (8月 11.77%、予想 11.40%)
 16:00 9月生産者物価上昇率 前月比 (8月 2.35%、予想 1.00%)
 16:00 9月生産者物価上昇率 前年比 (8月 11.53%、予想 12.50%)
10月8日
 20:30 週次外貨準備高 10/2時点
10月12日
 16:00 7月失業率 (6月 13.4%、予想 15.0%)
 16:00 8月経常収支 (7月 -18.17億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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