9月21日以降の高値をわずかに更新してからも105円台中盤でしっかり
〇ドル円、9/29夕刻105.73まで上昇し9/21安値以降の高値更新
〇高値更新後の105.50以上維持で、上昇基調を維持しさらに高値更新を伺う位置取り
〇NYダウが小規模調整から上昇再開に入れない場合、ドル高再開の可能性も
〇29日の米経済指標は良好だったものの市場の反応は限定的
〇105.23を上回るうちは上昇余地あり、105.73超えからは106円に迫る上昇を想定
〇105.23割れからは調整局面入りとみて105.00から104.75にかけてのゾーン試しとみる
【概況】
ドル円は9月29日夕刻に105.73円まで上昇して9月21日安値以降の高値を更新した。9月21日に104円割れまで大幅下落した処から持ち直しに入ってきたが、25日深夜高値で105.69円を付けた後は28日深夜高値105.66円で高値更新へ進めずに105.50円超えに対する上値抵抗感も見えたが、29日の高値更新とその後の105.50円以上を維持したことで上昇基調を維持してさらに高値更新を伺う位置取りとなっている印象だ。
9月21日にかけての下落時は世界的な株安によるリスク回避感が為替市場におけるドルストレートでのドル高とクロス円での円高を招き、ドル円においてはドル高よりも円高が勝っての下落であったが、21日以降はドル高が円高に勝ってドル円も上昇に転じた。9月25日以降はドルストレートでのドル高が一服となり、週明けからはユーロ、豪ドル等が戻し、28日はポンドが急伸したこと等でドル安感が強まったが、NYダウの24日から28日までの3連騰等による株式市場での楽観回復が背景であり、ドル円はドル安圧力を受けつつも株高基調継続によるリスク選好の円安優位の展開で高値圏を維持し、わずかながら高値更新に進んでいるという印象だ。
【米大統領選挙TV討論会から週末の米雇用統計へ】
9月29日(日本時間30日午前)には米大統領選挙の候補者TV討論会がある。このため3連騰してきた米株式市場は慎重姿勢となり29日のNYダウは前日比131.40ドル安、ナスダック総合株価指数も同32.28ドル安と4日ぶりに反落した。しかし連騰後の小反落ということで株安=リスク回避のドル買いという図式にはならず、29日の為替市場ではユーロドルが続伸、豪ドルやNZドル等も高値を切り上げており、先週末までのドル高一服による巻き戻しの動きが継続している。ただ、NYダウが小規模調整から上昇再開に入れない場合はリスク回避感が再燃してのドル高再開となりかねない危うさは抱えていると注意したい。
29日の米経済指標は良好だったものの市場の反応は限定的だった。消費者信頼感指数が予想を超えたところではダウがプラス圏まで戻す場面もあったが長続きしなかった。
7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前年比3.9%上昇となり市場予想の3.8%を上回った。前月比も0.6%上昇で市場予想の0.3%を上回った。
米コンファレンス・ボードが発表した9月消費者景気信頼感指数は101.8となり前月の改定値86.3から大幅上昇となり市場予想の89.5を上回った。また現況指数は98.5で8月改定値の85.8から上昇し、、期待指数も104.0となり前月の86.6から上昇した。米国景気も最悪期を脱して持ち直しに入り消費者心理も改善傾向にあることを示しているが、米国での感染拡大は収まっておらず先行き不透明感は続いているため市場の反応も限定的だったといえる。
米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は29日の講演において「雇用は2023年まで新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻ることはないだろう」とし、回復の後押しには政府と議会の財政政策が必要と述べた。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も29日の講演で、「不確実性が大きい」「米景気が力強さを取り戻すには3年程度かかる」と慎重な姿勢を示し、「景気はかなり良い軌道に乗っているものの財政政策がその軌道に影響を与える可能性がある」「前回の景気拡大では地方政府の予算制約が景気回復を鈍化させた」と述べて政府の追加経済政策の必要性を強調している。
新型コロナウイルスの世界感染者数は3380万人を超えて死者も101万人を超えた。米国の感染者累計は733万人を超えて死者も21万人をこえている。インドも1日の増加数が8万人を超える等世界的な拡大は続いている。NY市では陽性率が3%を超えて6月以来の高水準となり、第二波が拡大している欧州においてもドイツがパーティーの人数制限を強化するなどの行動規制を強め始めている。コロナ不況の長期化懸念を払しょくして9月序盤から急落してきた米国株式市場が本格的な上昇再開へ向かえるのかどうか、まだ予断できない状況と思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月21日夕安値から1円近い反騰となったために9月23日朝時点からは9月21日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてきたが、9月25日夕刻にいったん下げてから高値を切り上げたために29日朝時点では25日夕安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしているとしてトップ形成期を9月30日夜から10月2日深夜にかけての間とした。29日夕刻も高値を切り上げてその後も高値圏を維持しているので引き続きトップ形成中とみる。ただし105.50円割れからは弱気転換注意とし、25日夕安値割れからは弱気サイクル入りとし30日午後から10月2日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9月29日午前にいったん先行スパンから転落したものの上抜き返しており、遅行スパンの好転も維持されている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落して早々に回復できない場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は9月25日深夜高値から29日夕高値へと高値が切り上がる際に指数のピークが切り下がっているため弱気逆行の気配があるが、50ポイント前後を支持線としてしっかりしているので60ポイント超えからは一段高へ向かう可能性があるとみる。ただし50ポイントを割り込んで続落に入る場合は弱気転換注意とし、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを試す流れを想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月25日夕安値105.23円を下値支持線、29日夕高値105.73円を上値抵抗線とする。
(2)105.23円を上回るうちは上昇余地ありとし、105.73円超えからは106円に迫る上昇を想定する。勢い付く場合は106.25円から106.50円へ上値目途を引き上げる。また105.50円以上での推移が続くうちは1日も高値試しへ向かいやすいとみるが、新たな押し上げ材料に欠く場合は106円以上は反落警戒とする。
(3)105.23円割れからは21日以降の底上げパターンが崩れるのでいったん調整局面入りとみて105.00円から104.75円にかけてのゾーンを試すとみる。104.75円以下は反騰注意とするが、105.25円以下での推移が続く場合は1日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9/30(水)
休場 韓国
10:00 (中) 9月 国家統計局製造業PMI (8月 51.0、予想 51.3)
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 12.0%、予想 0.0%)
10:45 (中) 9月 財新製造業PMI (8月 53.1、予想 53.1)
14:00 (日) 8月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (7月 -11.4%、予想 -10.1%)
15:00 (英) 4-6月期GDP改定値 前期比 (速報 -20.4%、予想 -20.4%)
15:00 (英) 4-6月期GDP改定値 前年同期比 (速報 -21.7%、予想 -21.7%)
15:00 (英) 4-6月期経常収支 (1-3月期 -211億ポンド、予想 ‐8億ポンド)
15:00 (独) 8月 小売売上高指数 前月比 (7月 -0.9%、予想 0.4%)
15:00 (独) 8月 小売売上高指数 前年同月比 (7月 4.2%、予想 4.2%)
16:20 (欧) ラガルド欧中銀(ECB)総裁、発言
16:55 (独) 9月 失業率 (8月 6.4%、予想 6.4%)
21:15 (米) 9月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (8月 42.8万人、予想 65.0万人)
21:30 (米) 4-6月期GDP確定値 前期比年率 (改定値 -31.7%、予想 -31.7%)
21:30 (米) 4-6月期GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値、-34.1%、予想 -34.1%)
21:30 (米) 4-6月期コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 -1.0%、予想 -1.0%)
22:45 (米) 9月 シカゴ購買部景況指数 (8月 51.2、予想 52.0)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 5.9%、予想 3.0%)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 15.4%)
24:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
26:40 (米) ボウマンFRB理事、講演
10/1(木)
休場、中国、香港、台湾、韓国
EU臨時首脳会議(ブリュッセル、10/2まで)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業製造業業況判断 (4-6月 -34、予想 -22)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業製造業先行き (4-6月 -27、予想 -16)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (4-6月 -17、予想 -9)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業非製造業先行き (4-6月 -14、予想 -7)
08:50 (日) 7-9月期 日銀短観・大企業設備投資 前年度比 (4-6月 3.2%、予想 0.5%)
16:55 (独) 9月 製造業PMI改定値 (8月 56.6)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI改定値 (8月 53.7)
17:30 (英) 9月 製造業PMI改定値 (8月 54.3)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.6%)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 -3.3%)
18:00 (欧) 8月 失業率 (7月 7.9%)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.4%、予想 -2.6%)
21:30 (米) 8月 個人消費支出(PCE) 前月比 (7月 1.9%、予想 0.8%)
21:30 (米) 8月 PCEデフレーター 前年同月比 (7月 1.0%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前月比 (7月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (7月 1.3%、予想 1.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 87.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1258.0万人)
22:45 (米) 9月 製造業PMI改定値 (速報 53.5)
23:00 (米) 8月 建設支出 前月比 (7月 0.1%、予想 0.7%)
23:00 (米) 9月 ISM製造業景況指数 (8月 56.0、予想 55.8)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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