ユーロドル続落一時1.18を割り込むも夕刻にかけ小反発
〇ユーロドル調整継続で続落夕刻一時1.18割れ、複数のECB関係者のユーロ高懸念伝わり下げ幅広げる
〇ただ「口先介入」の効果に永続性は無く、早晩ユーロ買い戻しの動きもでるか
〇テクニカルには続落3日で21日線(1.1837付近)を含むサポート帯を下抜け、ユーロ売り地合い強まる
〇今晩この後は21日線を回復し上昇基調に戻れるか、逆に一段と調整が深まる動きとなるかに注目
3日の東京市場でユーロドルは続落。朝方の1.1850レベルから日中ほぼ一方向で下げ、ユーロドルの調整は3日目に入りました。レーン専務理事に続き、複数のECB首脳からもユーロ高を懸念する声が聞こえてきており、高値圏にあるユーロドルの警戒感を助長しました。この間米長期金利は一貫して低下傾向にあり、本日朝方は米10年物国債利回りは0.64%を割り込む場面もありましたが、ドルの買い戻しは継続。午後にはユーロドルは1.18を割り込み安値1.1789をつけました。
しかし、夕刻欧州勢参入後は買い戻しが入り、東京時間18:30現在は1.1825-30レベルまで反発を強めています。夕刻発表された8月のサービス業PMIはフランスがやや下方修正となりましたが、ドイツ、ユーロ圏は上方修正、特にドイツは50.8から52.5まで大幅な修正となっていて、夕刻のユーロの反発を支えました。ただ、その後発表されたユーロ圏の7月小売売上高は前月比1%の改善予想に対し-1.3%と悪化していて、全体としては好悪まだら模様です。
今回のユーロの下落のきっかけの一つは、ECBレーン専務理事の「ユーロ高は問題」発言であり、本日に至るまでの下落の継続の要因の一部が、その後も聞かれるECB関係者のユーロ高への懸念表明だとすれば、ユーロは短期的には売られすぎの可能性があります。
そもそも現代においては各国中銀によるの過去の介入失敗経験を経て、2015年にスイス中銀が3年間にわたる「無制限介入」放棄に追い込まれ、意図せぬ自国通貨の乱高下(所謂「スイスショック」)と世界的金融混乱を招いたのを最後に、「経済の流れに逆らう為替介入は無益なだけでなく有害なもの」との共通認識が「先進国」中銀の間には徹底された考えられます。
ECBの首脳陣がいかにユーロ高を懸念しようとも、現実的に為替介入を行う可能性は皆無といってよく、発言を受けて一時的にせよ市場がユーロを売るのは、「そういう場合にはECB関係者に敬意を表してユーロを売るもの」とのコンセンサスがあるからに過ぎません。実際レーン専務理事も発言の前段では「ECBは為替レートを政策目標としないが」と前置きしています。
所詮為替レートは二国間の大きな経済の動きの中での現在位置を示す目盛りに過ぎず、「目盛り」を固定して、経済の流れを止めることなどできるはずもないので、これは当然のことでしょう。
その意味でもし、今回の予想外に長引いているユーロ売りの一部がECB関係者の「口先介入」によるものだとすれば、最低その分については早晩買い戻しが入ると考えるのが順当と思われます。
テクニカルにはユーロドルは本日の下落で本日1.1837付近にある21日移動平均線を割り込む動きとなっています。本日この後はユーロドルが21日線レベルを回復して元の上昇基調に服する足掛かりとするのか、あるいはこのまま1.1840-90レベルのサポートレンジを下放れ、5月からの中期上昇トレンドラインのある1.17台前半まで調整を深めることになるのか注目されます。
序盤の欧州主要株価指数はおおむね上昇。今晩この後は21:30に米国新規失業保険申請数と7月貿易収支。22:45 米8月サービス業PMI確報、23:00 米8月ISM非製造業景況指数の発表があります。
ユーロドル日足
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