ドル円、米株の急落を横目に高値圏から急反落。本日は雇用統計がメインイベント
〇ドル円106.56まで上昇の後、ISM非製造業指数の悪化で急落106.10近辺で取引
〇米ダウ平均株価は940ドル超の下落
〇ユーロドルは一時1.1789まで続落後、1.18台半ばに反騰
〇ドル円テクニカルには一目均衡表の「雲」の中に入った後上髭残し下落、上値の重さ印象付ける
〇ファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒される
〇米雇用統計が不冴な結果となった場合、ドル円・クロス円急落の恐れあり
〇本日の予想レンジ:105.50ー106.50
海外時間の為替概況
3日(木)の外国為替市場でドル円は上昇後に急反落。@対欧州通貨や対新興国通貨でドル買いが進んだこと(トルコリラは史上最安値更新)や、A欧米株の堅調推移(リスク選好の円売り)、Bテクニカル的な地合いの強さ(一目均衡表雲下限を突破)、C新規失業保険申請件数(結果88.1万件、予想95.0万件)の良好な結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、一時106.56(約1週間ぶり高値)まで上昇しました。しかし、その後発表されたD米8月ISM非製造業景況指数(結果56.9、予想57.0)が冴えない結果となると、E米主要株価指数の急落(米ダウ平均株価は940ドル超の下落→リスク回避の円買い)も重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、106.08近辺まで下げ幅を広げる展開となっております。
3日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@9/1海外時間に心理的節目1.20を突破したこと(約2年4ヵ月ぶり高値)に伴う達成感(利食い売り)や、A上記@を背景とした俄かロングのロスカット(1.20台で定着できなかったことを嫌気した見切り売り→過去最高水準に膨らむIMM通貨先物のユーロロングポジションの解消)、Bユーロ圏7月小売売上高(結果0.4%、予想1.9%)の冴えない結果、C英国の合意なき離脱リスクの再燃(欧州連合離脱を巡る英国・欧州間の交渉難航)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時1.1789まで下落しました。しかし、D米8月ISM非製造業景況指数の冴えない結果や、E米主要株価指数の急落を背景に、ドル売り圧力が強まると、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1851近辺まで持ち直す動きとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/31に記録した約4ヵ月半ぶり安値104.18をボトムに反発に転じると、昨日は一時106.56まで急伸しました(一目均衡表雲下限を一時的に突破)。しかし、米国時間午後に入ると再び下げに転じ、やや長めの上髭を残す形で一目均衡表雲下限を再度割り込む冴えない動きとなりました。結果として、上値の重さを改めて印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(日本側は安倍晋三首相辞意表明を経てアベノミクス終了の思惑が広がる一方、米国側はジャクソンホールを経て大規模量的緩和の長期化期待)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(ISM製造業景況指数の雇用項目及びADP雇用統計の結果が共に不冴となったことで、今晩発表される米雇用統計への警戒感が根強い)、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、D米政治を巡る先行き不透明感(11/3の米大統領選)、E安倍晋三首相の辞意表明(本邦の政局不透明感→政策の継続性が損なわれる恐れ)、F朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、G新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、H日本経済の先行き不透明感(本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。米中対立激化に関するヘッドラインや、米主要経済指標の結果(米8月雇用統計がメインイベント)、欧米株及び米長期金利の動向(米株の急落がアジア株に波及するリスク)、欧州通貨や新興国通貨の動きを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(米雇用統計が不冴な結果となった場合、米主要株価指数急落→リスク回避の円買い再燃→ドル円・クロス円急落へと波及する恐れあり)。
本日の予想レンジ:105.50ー106.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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