日本の政局を注視、荒っぽい変動にも注意(週報8月第5週)

先週のドル/円相場は、ドル弱含み。一時106.94円と、月間高値である107.05円まであと一歩に迫るも越えられず。その後は巻き戻しからドル売り優勢に。

日本の政局を注視、荒っぽい変動にも注意(週報8月第5週)

日本の政局を注視、荒っぽい変動にも注意

〇先週のドル円、一時106.94まで上昇するも月間高値107.05越えられずその後ドル売り優勢に
〇米軍U2偵察機侵入問題、中国軍ミサイル発射など、新たな米中不安
〇28日の安倍首相辞意関連で株式市場は一時パニック売りが先行
〇NYダウなど米株上昇なら、為替市場でのドル売りの流れ一服の可能性も
〇9/4は米3連休(7日レーバーデーでNY休場)前、雇用統計等重要指標発表による価格変動に注意
〇今週のドル円予想レンジ104.50-107.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル弱含み。一時106.94円と、月間高値である107.05円まであと一歩に迫るも越えられず。その後は巻き戻しからドル売り優勢に。

前週末は、11月の米大統領選をにらんだトランプ氏とバイデン氏から数多くの舌戦が観測されていた。たとえば、バイデン氏がトランプ政権下の現状を「暗黒のとき」と批判したことに対し、トランプ氏は「米史上、もっとも成功しているとき」と反論。さらに、「バイデン氏勝利なら米国は混乱に陥る」などとも皮肉っていたという。

そうした状況下、週明けのドル/円は105.70-75円で寄り付いたのち、しばらく揉み合い。週後半に注目材料が集中していたこともあり、当初は積極的な動意も乏しかった。105.70-106.60円でのレンジ取引。しかし、注目の「ジャクソンホール会合」におけるFRB議長講演を材料にドル買いが進展するとレンジを上抜け。高値である106.94円まで値を上げた。そのままドルは高値引けするかとも思えたが、週末28日に飛び込んできた「安倍首相が辞意を表明」とのニュースが嫌気されると、流れが反転。一気に105円前半まで1円を大きく超える急落をたどり、NYはそのまま105.35-40円の安値圏で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「いくつかの米国情勢」と「安倍首相の辞任表明」について。
前者は、「米中貿易問題」について、15日に実施される予定だった「合意の検証会合」が延期となり先行き不透明感が漂っていたものの、「24日に中国副首相が米USTR代表らと電話協議を行い、双方が進展を確認した」などといった発表がなされると、市場はそれを好感する格好に。そのほかでは、大規模デモなどに繋がった「米警官が黒人男性を背後から銃撃した」事件や「トランプ氏が共和党の米大統領指名受諾した共和党大会」が話題を集めたほか、中国が実弾演習を行う飛行禁止区域に米軍のU2偵察機が侵入した問題に加え、「中国軍が26日朝、南シナ海に向けてミサイル4発を発射」とのニュースが物議を醸し、後半の2つは新たな米中不安を掻き立てていたようだ。

対して後者は、安倍首相が17日に続き24日にも「慶応病院を訪問」したことが明らかとなり、週明けから「健康不安」がそこここで取り沙汰される。また、それが一歩進む格好で、日経新聞でも「来年9月の任期前退任説」の話が報じられるなど、不穏な雰囲気が漂うなか、28日の夕方に安倍氏自身が記者会見を行うこととなった。そして、会見当日にあたる28日、「安倍首相が辞意を固めた」と伝えられると、為替もさることながら株式市場は一時パニック売りが先行。ただ、「政治的空白を開けない」ために、「代理を置かずに後任が選出されるまで執務する方針」が明らかにされている。

<< 今週の見通し >>

前述したように、先週は週の後半にかけて材料が集中していたが、その掉尾にサプライズが待っていた。安倍首相については、「体調不良説」にとどまらず、「早期退任説」も事前に飛び交ってはいたものの、まさかこのタイミングでの「辞意表明」は驚きで、金融市場への影響も決して小さくなかった。今週も後任人事などを含めた「日本の政局」には要注意だ。トランプ米大統領と安倍首相という日米のホットラインは「過去最高の良好関係」とも言われただけに、後任人事をめぐっては失望を誘い、さらなるドル売り・円買いが進むといったネガティブな見通しも一部で指摘も聞かれている。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」などのほか、「ベラルーシ情勢」や「日本の政局」も新規要因として注意が必要だろう。そのうち先でも指摘したように短期的には「日本の政局」がとくに要注意だが、今週は週末の雇用統計をはじめとする重要な米経済指標の発表が連続することにも注意を払いたい。先週のパウエル発言で、長期にわたる米国の低金利維持の思惑が高まるなか、対照的にNYダウなど米株がさらなる上昇をたどれば、為替市場におけるドル売りの流れが一服する可能性もありそうだ。

テクニカルに見た場合、今月の月間レンジ上限である107.05円に一時急接近するも、結果として上抜けできず。むしろ、そののち105.20円とレンジ下限に急接近する展開をたどっており、リスクという意味ではドル安方向にバイアスか。レンジ下限の105.10円もしくは105円を下回れば7月安値104.19円が視界内に。それに対するドルの抵抗は、先週越えられなかったレンジ上限に当たる107円前後となる。

一方、今週は、8月のダラス連銀製造業活動指数や同ISM製造業景況指数、同雇用統計といった重要な米経済指標が発表される予定となっている。先週発表された米経済指標は全般的に良い内容のものが多かっただけに、今週の指標もそれに続く内容となれば米株高、ドル高で反応する可能性も否定できないだろう。なお、週末4日は、翌日からの米3連休(週明け7日がレーバーデーでNYが休場)前となるだけに、価格変動にはとくに注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.50-107.00円。ドル高・円安については、先週末にしっかりと割り込んできた移動平均の21日線(106.00-05)の攻防にまずは注目。再び上抜ければ先週高値やレンジ上限なども位置する107円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値も近い8月の月間安値である105.10円がサポートとして意識されている。底堅いイメージもなくはないが、割り込めば104円台突入、104.19円も視界内に捉えられそうだ。

注:ポイント要約は編集部

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