トルコリラ週報:『トルコーギリシャの軍事衝突懸念がリラの重石。続落リスクに要注意』(8/29朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。

トルコリラ週報:『トルコーギリシャの軍事衝突懸念がリラの重石。続落リスクに要注意』(8/29朝)

トルコーギリシャの軍事衝突懸念がリラの重石。続落リスクに要注意

〇トルコ円トルコーギリシャ間で高まる緊張感、安倍首相の辞意表明を受けた円高圧力で14.32円まで反落
〇トルコ外相は「ギリシャが緊張をエスカレートさせた場合、トルコは躊躇なく必要な行動を取る」と発言
〇トルコ円テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒される
〇経済指標の悪化、安倍首相辞任の円高リスクが高まった場合には史上最安値更新も視野に
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):14.05ー14.65

今週のレビュー(8/24−8/28)

今週のトルコリラ円相場は、週初14.42円で寄り付いた後、@世界的な株高を背景としたリスク選好ムードの高まりや、Aトルコの7月外国人観光客数の若干の回復、B米中協議の進展期待(米中両国は合意の履行に向けて必要な措置を取ることにコミット)が支援材料となり、週後半にかけて、高値14.55円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線及びボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれると、Cトルコーギリシャ間で高まる緊張感(トルコ外相は「ギリシャが緊張をエスカレートさせた場合、トルコは躊躇なく必要な行動を取る」と発言)や、Dトルコ国内における新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、Eトルコ経済の先行き不透明感、F安倍首相の辞意表明を受けた円高圧力(アベノミクス終了の思惑→日本株安・円高)が重石となり、週末にかけて14.32円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局14.36円前後での越週となっております。

来週の見通し(8/31−9/4)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、8/18には史上最安値となる14.24円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転やパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状となっております(今週も14.30円台で上値重く推移するなど、史上最安値更新が射程圏内)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感(トルコ経済の先行き不安が根強いにも係わらず、通貨防衛の目的から事実上の金融引き締めに動かざるを得ない状況)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、Eギリシャを巡る地政学的リスク、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナ感染再拡大懸念など、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(投資妙味の減退→国内から国外への資本流出活発化)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)、ギリシャを巡る地政学的リスク(軍事衝突リスク)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は8/31に発表されるトルコ第2四半期GDPや7月貿易収支、9/1の8月製造業PMI、9/3の8月消費者物価指数に注目。冴えない結果が示されれば、トルコリラ売りが再開し、史上最安値更新も視野に入る。安倍首相辞意表明に伴う円高リスクにも要注意)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):14.05ー14.65

注:ポイント要約は編集部

トルコーギリシャの軍事衝突懸念がリラの重石。続落リスクに要注意

トルコ円日足

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