トルコーギリシャの軍事衝突懸念がリラの重石。続落リスクに要注意
〇トルコ円トルコーギリシャ間で高まる緊張感、安倍首相の辞意表明を受けた円高圧力で14.32円まで反落
〇トルコ外相は「ギリシャが緊張をエスカレートさせた場合、トルコは躊躇なく必要な行動を取る」と発言
〇トルコ円テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒される
〇経済指標の悪化、安倍首相辞任の円高リスクが高まった場合には史上最安値更新も視野に
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):14.05ー14.65
今週のレビュー(8/24−8/28)
今週のトルコリラ円相場は、週初14.42円で寄り付いた後、@世界的な株高を背景としたリスク選好ムードの高まりや、Aトルコの7月外国人観光客数の若干の回復、B米中協議の進展期待(米中両国は合意の履行に向けて必要な措置を取ることにコミット)が支援材料となり、週後半にかけて、高値14.55円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線及びボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれると、Cトルコーギリシャ間で高まる緊張感(トルコ外相は「ギリシャが緊張をエスカレートさせた場合、トルコは躊躇なく必要な行動を取る」と発言)や、Dトルコ国内における新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、Eトルコ経済の先行き不透明感、F安倍首相の辞意表明を受けた円高圧力(アベノミクス終了の思惑→日本株安・円高)が重石となり、週末にかけて14.32円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局14.36円前後での越週となっております。
来週の見通し(8/31−9/4)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、8/18には史上最安値となる14.24円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転やパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状となっております(今週も14.30円台で上値重く推移するなど、史上最安値更新が射程圏内)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感(トルコ経済の先行き不安が根強いにも係わらず、通貨防衛の目的から事実上の金融引き締めに動かざるを得ない状況)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、Eギリシャを巡る地政学的リスク、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナ感染再拡大懸念など、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(投資妙味の減退→国内から国外への資本流出活発化)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)、ギリシャを巡る地政学的リスク(軍事衝突リスク)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は8/31に発表されるトルコ第2四半期GDPや7月貿易収支、9/1の8月製造業PMI、9/3の8月消費者物価指数に注目。冴えない結果が示されれば、トルコリラ売りが再開し、史上最安値更新も視野に入る。安倍首相辞意表明に伴う円高リスクにも要注意)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):14.05ー14.65
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.08.31
トルコリラ円見通し 4か月サイクルの底形成期における三角持ち合い(20/8/31)
8月28日の反落により14.30円前後の下値支持線を維持できるのかどうか試し始めた印象だ。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.08.28
トルコリラ円見通し 8月24日朝安値以降は底固い動きを続ける(20/8/28)
トルコリラ円の上値もやや抑えられたため14.40円を割り込むところは買い戻されつつ27日夕刻高値を超えない程度の推移にとどまった。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。