トルコリラ円見通し 8月24日朝安値以降は底固い動きを続ける(20/8/28)

トルコリラ円の上値もやや抑えられたため14.40円を割り込むところは買い戻されつつ27日夕刻高値を超えない程度の推移にとどまった。

トルコリラ円見通し 8月24日朝安値以降は底固い動きを続ける(20/8/28)

トルコリラ円見通し 8月24日朝安値以降は底固い動きを続ける

〇トルコリラ円、8/27夕刻14.49まで戻り高値切り上げたものの、その後トルコリラ円の上値抑えられる
〇パウエル議長講演後ドル全面高、対ドルでのトルコリラ反発抑え込まれる
〇トルコリラ対ドル・対ユーロともに中長期的な下落基調継続の印象
〇14.31以上は上昇再開余地あり、14.49超えからは14.50台後半への上昇を想定、14.57以上は反落注意
〇14.31割れから弱気サイクル入り、14.20前後への下落を想定。14.20前後は買い戻しも入りやすいか

【概況】

トルコリラ円は8月19日朝安値14.21円から8月21日夜高値14.65円まで戻し後に8月24日朝安値14.28円まで反落したが、その後は新たな安値更新を回避している。8月26日夕刻には14.47円まで上昇してから27日朝には14.31円まで下落したものの14.30円台を維持した。
8月27日は夕刻にかけて対ドルでトルコリラが戻したことで14.49円まで戻り高値を若干切り上げ。27日夜のパウエル米FRB議長のジャクソンホール講演から為替市場が乱高下となってドル円は深夜に急伸したが、一方では米長期債利回り上昇によりドル全面高となったために対ドルでのトルコリラが再び下落したことでトルコリラ円の上値もやや抑えられたため14.40円を割り込むところは買い戻されつつ27日夕刻高値を超えない程度の推移にとどまった。

【ドル円はパウエル議長講演から上昇したが、対ドルでのリラ反発続かずトルコリラ円の上値が抑えられ気味】

8月27日22時10分からパウエル米FRB議長のジャクソンホール講演が行われた。講演開始当初にはインフレ目標の2%に到達した後もしばらくはゼロ金利政策を続ける姿勢を強調したことでドル全面安となり、ドル円は105.59円まで急落して8月25日深夜高値106.57円からは1円近い下落幅となったが、講演が進む中で新たなサプライズは無く、米長期金利上昇を抑え込む姿勢も示されなかったことで一時的なドル全面安からドル全面高へと巻き返しの動きとなり、米長期債利回りも大幅上昇したためにドル円は8月25日深夜高値を超える急伸となった。28日未明には106.70円を超え、28日午前にはさらに高値を切り上げている。
ドル円の上昇はトルコリラ円上昇要因となるのだが、その一方で対ドルでのトルコリラの反発が抑え込まれたことでトルコリラ円の上値も抑えられた印象だ。

対ドルでのトルコリラは7月後半から通貨当局による抑制が効かなくなり、外貨準備不足と消費者物価上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態の継続を背景に急落商状となり8月18日には7.40リラまで史上最安値を更新した。トルコ中銀の利下げ見送りと黒海でのガス田発見報道等から8月21日には7.18リラまで反発していたが、リラの買い戻し一巡から再び下落に転じて8月26日には7.42リラまで最安値を更新した。最安値更新後のリラ安一服で27日は夕刻に7.28リラまで反発していたが、パウエル議長講演からのドル全面高により7.35リラまで再び失速した。
対ユーロでのトルコリラはパウエル議長講演開始からのユーロドルと共に乱調な展開となり、27日深夜には8.62リラまで戻していたが、その後はユーロドルも元の水準まで戻したことで8.70リラ前後へ下落した。対ドル及び対ユーロでのトルコリラの中長期的な下落基調は継続している印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月24日朝安値をサイクルボトムとしてやや上昇していたが、26日夕刻高値からの失速により27日午前時点では26日夕高値で直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。
27日朝安値からの上昇で27日夕刻には26日夕刻高値を超えたため、24日朝安値から3日目となる27日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は8月31日午後から9月2日夕にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるので14.40円割れから続落に入る場合は弱気転換注意とし、27日朝安値14.31円割れからは新たな弱気サイクル入りとして9月1日朝から3日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月27日夕刻への上昇で先行スパンを上抜き、その後も高値圏を維持しての推移となり遅行スパンも好転している。14.40円台での持ち合い推移のため遅行スパンは悪化しやすく、14.40円円割れから続落に入ると先行スパンからも転落し始めると注意し、先行スパンからの転落回避中は高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月26日夕刻高値から27日夕刻高値へ高値を切り上げた際に指数のピークが切り下がっているため、弱気逆行の気配となっている。28日早朝に50ポイントを割り込んだところは切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて今週のポイントを示す。
(1)当初、8月27日朝安値14.31円を下値支持線、27日夕高値14.49円を上値抵抗線とする。
(2)14.31円以上での推移中は上昇再開余地ありとし、14.49円超えからは14.50円台後半(14.55円から14.60円)への上昇を想定する。14.57円以上は反落注意とするが、14.40円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.31円割れからは弱気サイクル入りとみて14.20円前後への下落を想定する。14.20円前後は買い戻しも入りやすいところとみるが、対ドル等での下落が厳しくなる場合は14.10円台中盤へ下値目途を引き下げる。また14.31円を割り込んだ後も14.35円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

8月28日
16:00 8月経済信頼感指数 (7月 82.2、予想 79.0)
8月31日
16:00 4−6月GDP 前年比 (1−3月 4.5%、予想 -12.9%)
16:00 4−6月GDP 前期比 (1−3月 0.6%、予想 -8.2%)
16:00 7月貿易収支 (6月 -28.5億ドル)
9月1日
16:00 8月イスタンブール製造業PMI (7月 56.9)
9月3日
16:00 8月消費者物価 前年比 (7月 11.76%)
16:00 8月消費者物価 前月比 (7月 0.58%)
16:00 8月生産者物価 前年比 (7月 8.33%)



注:ポイント要約は編集部

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