ドルの下値トライは仕切り直し、調整継続も(8/20夕)

20日の東京市場は、レンジ取引。106円前半を中心とした20ポイント強での一進一退で、方向性は乏しかった。

ドルの下値トライは仕切り直し、調整継続も(8/20夕)

ドルの下値トライは仕切り直し、調整継続も

〇ドル円、106円台前半を中心に20-25ポイント程度の上下動
〇米紙WSJ、米中貿易協議は頓挫していないとの報道で市場の不安感が後退
〇米株、ゴールド、原油価格、仮想通貨などの他の金融市場の動きに要注意
〇本日発表の8月フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数を注視
〇バイデン大統領候補の演説が注視される
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.50-106.50

<< 東京市場の動き >>

20日の東京市場は、レンジ取引。106円前半を中心とした20ポイント強での一進一退で、方向性は乏しかった。

ドル/円は106.10円前後で寄り付いたものの、終日を通して積極的な動意は見送られている。株式市場などほかの金融市場の動きをにらみつつ、オープンレベルを中心とした20-25ポイント程度の上下動で明確な方向性もうかがえず。結局、16時現在では106.05-10円で推移し、欧米時間を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「米中の対立」と「米ファンダメンタルズ」について。
前者は、トランプ米大統領が先週末15日に実施予定だった米中貿易協議を自身の考えで延期したと明らかにし物議を醸すなか、メドウズ首席補佐官から「米中の新たな高官級通商協議は予定されていない」との発言が聞かれていた。しかし、そののち米紙WSJが米中当局者の話として、「協議は頓挫していない。両政府の交渉担当者らは今後数日中の開催を計画している」などと報じると、市場で台頭していた不安感が後退、ドルの下支えにも寄与していたようだ。

対して後者は、発表されたFOMC議事要旨で「経済の先行きがウイルスの不確実性と関連しているとみている」などとやや弱気のコメントが示されたものの、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)などのハト派的な政策の導入に現時点で否定的な見解が示されたことは逆にドル買いに寄与していたようだ。また、それに続きリッチモンド連銀総裁は「足もとのデータは経済回復を示唆」、NEC委員長も「米経済は非常に力強く回復しつつある」などと強気のコメントを発したことが好感された面もあったという。

<< 欧米市場の見通し >>

昨日レポートしたように、東京時間に105円割れを意識するも、結局割り込めなかったことで、その後は調整と思しきドルの買戻しがいまだ優勢となっている。基本的なリスクは引き続き下向き、ドル安方向にバイアスがかかりそうだが、多少気になるのは先日下回ってきた移動平均の21日線(105.90-95円)をわずか1-2日で再び上回ってきたこと。つまり、ドルの下値も思いのほか底堅そうとの声もチラホラ聞かれており、しばらくは106円台を中心としたレンジ取引をたどるといった見方が勢力を広げている感を否めない。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」など注目要因は依然として目白押し。それらに加え、ここにきて「安倍首相の健康不安説」と「ベラルーシ情勢」も新規要因として注目を集めはじめている。続報などには注意を払いたい。なお、材料が多くて、なかなか的を絞りにくいなか、もっとも注意を払いたいのは米株やゴールド、原油価格、暗号資産(仮想通貨)などほかの金融市場の動きか。うち米株については、時間外となる東京時間の取引でNYダウ先物など米株3指数が、いずれもマイナス圏で推移していた。調整ムードがNY時間などでも続くようだと、為替市場においても再びドル売りが強まる可能性を否定できないだろう。

テクニカルに見た場合、基本的なリスクは依然としてドル安方向との見方が有力だが、目先安値105.10円からドルは1円を超える戻りを記録してきた。その過程で、105.90-95円に位置した移動平均の21日線も上回っている。いずれにしても、ドルの下値再トライも一旦は仕切り直しか。また、ドルがさらなる戻りをたどり、107.00-10円に位置する90日線をしっかりと越えた場合には、下値リスクが高いという見方そのものをいま一度考え直す必要がありそうだ。

本日は、8月のフィラデルフィア連銀景況指数や週間ベースの新規失業保険申請件数といった米経済指標が発表される見込みとなっている。うち後者の雇用指標を警戒する声が多いものの、前者についても、週初に発表された8月分のデータ、NY連銀製造業景況指数が冴えない内容だったことから不安視する向きも少なくないようだ。
そのほか、引き続き要人の講演なども少なくないなか、米民主党大会におけるバイデン大統領候補の指名受諾演説がとくに注視されているもよう。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.50-106.50円。短期的にはドルの戻り高局面で、東京高値に当たる106.20-25円が最初の抵抗に。しっかりと上抜ければ、90日線が位置する107.00-10円が視界内に捉えられかねない。
対するドル安・円高方向は、105.50-60円が弱いサポートとして意識されそうで、割り込めば昨日安値の105.10円がターゲットになる。ただ、いずれにしても底堅そうで、前回安値104.19円はかなり遠いイメージだ。

ドルの下値トライは仕切り直し、調整継続も

ドル円日足


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