米連邦公開市場委員会(FOMC)要旨(8月19日公表)
(2020年7月28日・29日開催分)
7月下旬開催のFOMC議事要旨が昨日公表されました。今回は現状の経済と先行き見通し中心に関連する箇所の和訳とし、箇条書きにしています。
議事要旨
@7月29日現在でのスタッフ経済見通しによれば、経済活動は3月・4月の急降下の後、5月・6月には盛り返した。但し、4半期ベースでみると第2四半期GDPは歴史的急激な速度で下落した。
A失業率は5月に改善し、6月も緩やかに続いている。労働参加率と人口に対する雇用率は6月に上昇した。失業保険申請件数は減少した。ADP社のデータを使った週間民間雇用に関し、雇用拡大は6月央以降緩やかになったが、まだ堅調である。
BPCEインフレは年率ベースでは年初の水準よりもまだ低い。PCEインフレは5月、年率0.5%だった。これは需要の弱さとエネルギー価格の下落による。コア(食品とエネルギー除く)のPCEインフレは同時期で年率1%だった。
C実質消費支出は年初の水準よりは下回っている。多くの消費サービス…例えばレストラン、ホテル、旅行など…に係る消費の高頻度指標は非常に弱いままである。実質可処分所得は5月には逆戻し下がった。しかしながら、賃金やサラリーは、2月と比較すると下回った水準だが、5月には力強く増えた。ミシガンやコンフェランスボードの消費者信頼感指数は6月に著しく改善し、7月に幾分下落した。
D住宅部門は最近力強く戻った。これは低金利による効果も一部ある。ただパンデミック前の水準よりは下回っている。
E鉱工業生産は5月・6月に拡大した。これは3月中旬から4月にかけて工場閉鎖していたものが再開し、自動車やそれに関連する産業の影響である。対照的に、鉱山関連は一段と落ち込んだ。これは原油価格が低いままで推移している影響を受けている。
F7月のFOMC会合で用意してくれたスタッフの見通しでは、下半期にかけての実質GDPの回復度合いの見込みは前回の予想よりは幾分強さが減ったと予想している。スタッフは追加財政策が6月に予想したものよりも超えたものになるだろうと仮定しているが、経済見通しに対する実質効果は、その他要因により起こりそうな効果を査定すると幾分勝るだけのものとしている。すなわち6月中旬以降、米国で起きたコロナウィルス拡大を含めたこれらの要因:多くの州や地方の動きは経済再開を遅らせるか縮小している。とりわけ対人関係に必要とされるサービスであるレスランやバーなどの企業などに影響を与えている。
Gインフレは今年一杯低いままと予想している。これは資源関連や今年年初に起きたエネルギー価格の大きな下げにより経済のたるみが続いていることに影響を受けている。スタッフのベースライン予想では現状の社会的制限や企業活動の制限が来年にかけて徐々に緩和されていくと見ている。実質GDPの伸びは潜在成長率を越えると予想、失業率はかなり下がると予想し、インフレは2021年・2022年に回復する見通しである。スタッフはパンデミックが極端に拡大した場合の経済への影響に関連した不確実性についても観察している。
H委員達は経済の道のりがウィルスの行方に大きく依存している。加えて、現行の公衆衛生危機が経済活動、雇用、インフレに大きな影響を与えていることで合意した。これらの進展を鑑み、現行のFFレートを0〜0.25%で維持することを決定した。この目標レンジは最近の出来事を切り抜け、委員会により最大雇用と安定的物価を達成する軌道に戻るまで維持するとした。
I大多数の参加者はイールドの抑え込みと目標に関してコメントした。これは金融政策の1手段としてイールドカーブを抑え込み目標金利率に近づかせるものである。このオプションを議論した参加者のうち、ほとんどの人がこの手段は現環境下では僅かな恩恵しかもたらさないだろうと判断した。FFレートの道のりに関し(既に行っている)委員会のフォワードガイダンスが高度の信頼性や長期金利を低く抑えていると見られているからである。同時に多くの参加者がイールド抑え込みと目標に関連し潜在的コストがかかると指摘している。これらのコストのうち、参加者はバランスシートの異常に急速な拡大、その様な政策が終わったあとの状況を見通すのが困難であることの可能性を指摘している。
尚、今回の議事に関しても、投票権持つ全員が賛成しています。
賛成者:ジェローム・パウエル、ジョン・ウィリアムズ、マイケル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、リチャード・クラリダ、パトリック・ハーカー、ロバート・カプラン、ニール・カシュカリ、ロレッタ・メスター、ランダル・クウォールズ。(全員)
反対者:なし
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(上記出所:FRB HP)
CMEのFedwatchは、前回に続き、来年3月17日開催予定(調査期間最大)のFOMCまではFFレート据え置き、利上げ・利下げ共にレンジが全くありません。
また、アトランタ連銀GDPナウは8月18日現在で第3四半期GDPが+25.6%となり、8月14日の+25.6%よりは少し改善しています。次回は8月26日に改定されます。
(8月20日13:00、1ドル=106円01銭、1ユーロ=1.1850ドル)
オーダー/ポジション状況
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