トルコリラ週報:『来週はトルコ中銀の金融政策決定会合がメインイベント』(8/15朝)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、8/7には史上最安値となる14.31円まで急落しました。

トルコリラ週報:『来週はトルコ中銀の金融政策決定会合がメインイベント』(8/15朝)

来週はトルコ中銀の金融政策決定会合がメインイベント

〇トルコ円週明け早々に14.36まで下落いったん14.85まで反発するも14.46まで値を崩し越週
〇トルコリラ円、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒される
〇トルコ経済の先行き不透明感、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大、外貨準備の急減が重石
〇来週は8/20のトルコ中銀の政策決定会合がメインイベント、通貨安防衛の利上げ観測浮上で波乱含み
〇来週の予想レンジ14.15ー14.95

今週のレビュー(8/10−8/14)

今週のトルコリラ円相場は、週初14.53円で寄り付いた後、早々に週間安値14.36円まで下落しました。しかし、先週末金曜日に記録した史上最安値14.31円をバックに下げ渋ると、@堅調な株式市場を背景としたリスク選好の動きや、A短期筋のショートカバー(短期間で下げ過ぎた反動)、Bトルコ中銀によるリラ安防衛策(リラ買い介入や、プライマリーディーラーへのリラ建て流動性供給の上限引き下げ→金融引き締め)が新材材料となり、週央にかけて、一時14.85円まで反発する場面も見られました。もっとも、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、週末にかけては再び反落。Cトルコ国内おける新型コロナウイルスの感染拡大や、D米中対立激化懸念(米中が8/15に予定していた通商合意の履行状況を精査するための会合が延期されたこと)、Eトルコ経済の先行き不透明感、Fロシアや欧米諸国との関係悪化懸念が重石となり、結局14.46円まで値を崩しての越週となっております。

来週の見通し(8/17−8/21)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、8/7には史上最安値となる14.31円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転やパーフェクトオーダー、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状となっております。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、E米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、F新型コロナ第2波懸念(トルコ国内の感染者数拡大)など、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(投資妙味の減退→国内から国外への資本流出活発化)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/20に予定されているトルコ中銀の政策決定会合がメインイベントとなります。市場では、通貨安の防衛を目的に政策金利を引き上げるのではないかとの見方が浮上しており、波乱含みになることが想定されます(但し、エルドアン大統領は8/11、「政策金利の更なる低下を望む」と発言するなど、市場で燻る利上げ観測を牽制)。政策決定会合前後でトルコリラのボラティリティが急拡大する恐れもあることから、来週は予想外の値幅拡大に注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(TRYJPY):14.15ー14.95

来週はトルコ中銀の金融政策決定会合がメインイベント

トルコリラ円日足

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