約1ヵ月ぶり安値圏へ下落。米中対立リスクが南アランドの重石に
〇南アランド円週末にかけ6.17まで急落
〇南アでの感染急拡大、電力負荷制限実施、CPIの上昇、米中関係悪化等重石
〇南ア政府雇用創出策としてのインフラ整備事業発表、IMF緊急融資承認
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.10ー6.40
今週のレビュー(7/27−7/31)
今週の南アフリカランド円相場は、週初6.42円で寄り付いた後、翌7/28に、週間高値6.44円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@南アフリカ国内おける新型コロナウイルスの感染拡大や、A米中対立先鋭化リスク(米国によるテキサス州ヒューストンの中国総領事館の閉鎖→対抗措置として中国政府も四川州成都市にある米国総領事館を閉鎖)、B電力負荷制限の実施、C南ア6月消費者物価指数の伸び率上昇(実質金利の低下)、DIMF(国際通貨基金)による「新型コロナウイルスの影響で今年の南アフリカ経済は7.2%縮小する」「財政赤字と債務に悪影響を及ぼす」といったネガティブな発言が重石となり、週末にかけて、6/26以来、約1ヶ月ぶり安値となる6.17円まで急落しました。
引けにかけて持ち直す(月末ロンドンフィキシングに絡むドル円急伸が背景)も戻りは鈍く、結局6.20円での越週となっております。尚、今週は南アフリカ政府より「雇用創出を目的とした3600億ランド規模のインフラ整備事業」が発表された他、IMF(国際通貨基金)より「新型コロナウイルス対策として、43億ドル規模の緊急融資(ラピッド・ファイナンシング・インストルメント制度)」が承認されましたが、市場の反応は限定的となっております。
来週の見通し(8/3−8/7)
南アフリカランド円相場は、7/22に記録した高値6.55円をトップに反落に転じると、週末にかけて約2週間ぶり安値となる6.17円まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや雲上限を下抜けするなど、テクニカル的にみて、やや「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B米中対立激化懸念(米中対立先鋭化リスクは中国と経済的な結びつきの強い南アフリカへマイナスの影響をもたらす)、C中東を巡る地政学的リスク、D南アフリカ国内における新型コロナウイルスの感染拡大リスク、E南アフリカ中銀(SARB)による追加利下げ観測など、南アフリカランド売りを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクを巡るヘッドラインや、米中対立激化に関する続報、欧米株や商品市況の動向、を睨みながらも、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(南アフリカ国内における感染者数急増と米中対立激化が南アランドの重石に)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.10ー6.40
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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