約2か月半ぶり安値圏へ急落。来週はトルコCPIがメインイベント
〇トルコ円、週末にかけて、5/8以来、約2ヵ月半ぶり安値となる14.93まで急落
〇ドル円での円高、トルコの海底ガス田調査をめぐる露、欧州諸国との関係悪化懸念が背景
〇8/4予定のトルコ7月消費者物価指数等注目、インフレ高進が示されればトルコ一段安も
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):14.85ー15.45
今週のレビュー(7/27−7/31)
今週のトルコリラ円相場は、週初15.50円で寄り付いた後、早々に週間高値15.51円まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、@トルコ国内おける新型コロナウイルスの感染拡大や、A米中対立激化懸念(リスク回避の新興国通貨売り・円買い)、Bトルコ経済の先行き不透明感、Cロシアや欧米諸国との関係悪化懸念(トルコの海底ガス油田調査)、D外貨準備の急減リスク(トルコリラ買い介入余力の低下)が重石となり、週末にかけて、5/8以来、約2ヵ月半ぶり安値となる14.93円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも(ロンドンフィキシングの影響でドル円が急伸したことが背景)、上値は重く、結局15.15円前後での越週となっております。
来週の見通し(8/3−8/7)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、7/31には約2ヵ月半ぶり安値となる14.93円(5/8以来)まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、「地合の弱さ」を印象づけるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大(インフレ率の高止まりが背景)、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、E米中対立激化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、F新型コロナ第2波懸念(トルコ国内の感染者数拡大リスク)など、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクへの警戒感(トルコ経済の先行き不安)、や、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(投資妙味の減退→国内から国外への資本流出活発化)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)、米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(下落トレンド継続。5/7に記録した史上最安値14.65円が引き続き射程圏内)。尚、来週は8/4に予定されているトルコ7月消費者物価指数に注目が集まります。インフレ高進が示されれば、実質金利の一段の低下を通じてトルコリラに下押し圧力が加わる恐れあり。
来週の予想レンジ(TRYJPY):14.85ー15.45
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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