トルコリラ円見通し ユーロ高リラ安継続でドル高リラ安は一服だが円高続いて上値は重い(20/7/31)

31日朝には14.90円まで下げて30日早朝安値割れに対する余裕が乏しくなっている。

トルコリラ円見通し ユーロ高リラ安継続でドル高リラ安は一服だが円高続いて上値は重い(20/7/31)

ユーロ高リラ安継続でドル高リラ安は一服だが円高続いて上値は重い

〇トルコリラ円、7/31朝14.90まで下げ、7/30早朝安値14.89割れに対する余裕乏しい
〇ドル円の下落に加え、対ユーロでのリラ大幅安に触発された対ドルでのドル安がトルコ円安の背景
〇対ドルでのトルコリラ7/30安値7.01まで下落、ユーロ高リラ安に触発されドル高リラ安加速の印象
〇一方でトルコの各種経済指標復調の兆し、経済信頼感指数も上昇
〇15.09を上抜く場合15.20前後への上昇を想定、15.25前後は戻り売りにつかまりやすい
〇7/30早朝安値14.89割れからは下落期入りを想定、15円以下での推移なら一段安へ進みやすいとみる

【概況】

トルコリラ円は7月30日早朝に14.89円の安値を付けて6月2日高値以降の安値を更新した。ユーロ高リラ安、ドル高リラ安の進行とドル円における円高ドル安が重なったことが下落の背景だった。
7月30日は対ユーロでのトルコリラ下落は継続、対ドルでは安値を更新したものの終値ベースでは上昇一服となったが依然として対ユーロ、対ドルでの下落加速感が続いている。
ドル円もメジャー通貨におけるドル全面安を背景に下落しており、7月30日深夜からの一段安により7月31日午前には104.50円を割り込んできている。
トルコリラ円は7月30日早朝安値14.89円から30日午後高値15.09円までやや戻したものの勢い付かず、深夜から早朝にかけてはドル円の下落に押されてジリ安となり、31日朝には14.90円まで下げて30日早朝安値割れに対する余裕が乏しくなっている。

【対ユーロで続落、対ドルでも安値を更新】

トルコリラ円の下落にはドル円における円高ドル安と共に、特に対ユーロでのトルコリラの大幅下落とそれに触発された対ドルでのトルコリラ安が進み始めたことが影響している。
対ユーロでは7月29日に8.26リラの安値をつけて2018年8月の史上最安値8.23リラを割り込んだが、ユーロ/リラの日足は7月17日から30日まで10日連続の下落であり、29日は終値ベースで1.34%安、30日も同0.58%安と続落して8.29リラまで史上最安値を更新している。週足では6月21日の週から6週連続の下落であり、今週は30日終了時点で前週末比で3.70%安となっており、7月5日の週の0.5%安、7月12日の週の1.04%安、7月19日の週の1.83%安と徐々に下落が加速している。
対ユーロでのトルコリラ安が加速するきっかけは7月27日にフランスがトルコの東地中海におけるガス田採掘強硬に対してEUとして制裁を課すべきだとしたことや、最近のトルコ外貨準備高の減少による通貨防衛能力への懸念である。

7月30日に発表された週次のトルコ外貨準備高は7月24日時点で509.3億ドルで前週の492.3億ドルがら増えており、外貨準備高不足への懸念はやや後退しているが、歴史的な低水準にありトルコリラ防衛への準備不足感はぬぐえない。また米ドルでの準備高があっても対ユーロでの防衛力には限界があるところを欧州勢は突いてきているのだろうと思われる。

対ドルでのトルコリラは6月中旬からは6.85リラを中心とした小幅なレンジに留まって規制を意識した動きが続いていたが、7月3日にはフラッシュクラッシュ的な下落に見舞われて6.98リラまで急落し、7月27日にもフラッシュクラッシュ的な下落で6.96リラまで急落したが、7月28日は終値ベースで前日比1.06%安、29日も0.69%安と続落して6.9リラ台へ下落してきた。7月30日は7.01リラまで安値を更新してからやや持ち直して前日比では0.1%高と確りしたが、ユーロ高リラ安に触発されてドル高リラ安が加速し始めている印象はぬぐえない。

【トルコ経済の復調、経済信頼感指数は改善続く】

トルコは感染爆発のピークを超えて最近は日々の新規感染者数が1,000人を切る抑制の利いた状況を維持している。6月1日からは経済活動も再開に入り、7月からは観光客の入国規制も緩和し始めた。8月からはロシアとの航空便往来も再開見込みであり、各種経済指標も復調の兆しが見える。
最近の統計では、7月24日発表の7月設備稼働率が70.7%となり6月の66%から改善、30日に発表された7月の経済信頼感指数も82.2となり6月の73.5から上昇している。

ユーロ高リラ安継続でドル高リラ安は一服だが円高続いて上値は重い

輸出は感染拡大の影響で4月に前年比マイナス41.5%まで落ち込んだが5月にマイナス30.7%、6月はマイナス6.4%まで持ち直してきた。輸入は4月のマイナス25.1%から5月にマイナス16.7%、6月はマイナス9.3%まで持ち直している。しかし依然として不況状態であることは変わりなく、今後は特に輸出と観光収入の回復が望まれるが、世界的な感染拡大が収まらないことには劇的な改善は望めず、長期低迷が続くことも懸念される。

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

【60分足の一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月25日未明安値を前回のサイクルボトムとし、底割れによる弱気サイクル入りとして30日未明から8月3日朝にかけての間へ下落を想定してきた。30日早朝安値の後は新たな安値更新を回避しているものの底割れに余裕が乏しい状況だが、前回ボトムから4日を経過しているので、30日早朝安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて30日早朝安値を直近のサイクルボトムとする。トップ形成期は30日朝から8月3日朝にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるので、15円以下での推移中は弱気転換注意とし、30日早朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして8月4日未明から6日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月30日未明安値からの下げ渋りにより遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパン下限が抵抗となっている。15.0円以上での推移中は先行スパン上限を試す可能性があるとみるが、15.0円以下での推移なら先行スパンからの転落状態の継続となるため一段安警戒とし、30日早朝安値割れからは一段安入りとなるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30日午後への小反発で50ポイントを超えたが維持しきれずにいるので既に戻り一巡で下げ再開に入っている可能性がある。50ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、30ポイント割れからは20ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月30日早朝安値14.89円を下値支持線、30日午後高値15.09円を上値抵抗線とみる。
(2)15.09円を上抜く場合は15.20円前後への上昇を想定するが、15.25円前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)15円以下での推移中は一段安警戒とし、30日早朝安値割れからは14.80円、14.70円、14.60円を段階的に試す下落期入りを想定する。14.75円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、30日早朝安値を割り込んだ後も15円以下での推移なら週明けも一段安へ進みやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

7月31日
16:00 第2四半期観光収入 (前期 41.0億ドル、予想 11.0億ドル)
8月4日
16:00 7月消費者物価指数 前年比 (6月 12.62%)
16:00 7月消費者物価指数 前月比 (6月 1.13%)
16:00 7月生産者物価指数 前年比 (6月 6.17%)
16:00 7月生産者物価指数 前月比 (6月 0.69%)

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