ドル円見通し ドル全面安続き104円台中盤へ安値を更新中
〇ドル円、米GDPの大幅悪化、米週間失業保険申請件数が予想を上回る中、7/31朝に104.60処へ下落
〇米GDP、統計開始以降最悪の前期比32.9%減
〇失業者数、過去最悪記録から減少したものの、依然として戦後最悪の状況
〇105円以下での推移なら安値試しへ向かいやすく、104.50以下での推移なら102円台を目指す可能性
〇105.26超えからは反騰入りとみて105.68前後を目指す上昇を想定、105.50以上は反落警戒
【概況】
ドル円は7月31日朝に104.60円処へ下落している。7月10日から23日までの間は106.60円台を下値支持線として1円弱の値幅の持ち合い相場だったが、24日にこの持ち合いから転落して先週末25日未明安値に105.65円まで下落、27日深夜安値105.10円、28日深夜安値104.93円、29日夕刻安値104.78円と徐々に安値を切り下げてきた。7月30日は午後に105.29円までやや戻したが勢いは鈍く、30日夜は米GDPの大幅悪化や米週間失業保険申請件数が予想を上回ったこと等により株安局面では円高圧力となり、株式市場が売り一巡から戻すとリスク選好でのユーロ高が進んでドル安感が強まる中で29日夕刻安値を割り込む一段安となった。
【米GDP、予想の範囲だが戦後最大の悪化、高失業も続く】
米商務省が7月30日夜に発表した2020年4〜6月期の実質GDP速報値は年率換算で前期比32.9%減となった。下落率は四半期毎の統計を取り始めた1947年以降で最悪となり、大恐慌時代の1932年に年間ペースで記録した12.9%減を超える悪化となった。マイナス成長は2期連続=リセッションであり、7〜9月期はプラス成長が見込まれているものの南部や西部の感染拡大を踏まえれば力強い回復にはならずに最悪期からの改善に留まるのではないかとの懸念も強まった。
米労働省が30日夜発表した新規失業保険申請件数は7月25日までの1週間で143万4000件となり前週から1万2000件増加した。感染拡大が収まらない中で営業規制を強める動きも再び広がっていることを反映した。3月下旬の687万件の過去最悪記録からは減少した状況にあるものの、2週連続の増加で先行き不透明感が強まった。申請件数から1週遅れとなる失業保険受給者総数は7月18日までの1週間で1701万8000人となり前週から86万7000人増加した。過去最悪だった5月上旬の2491万人からは低下しているものの依然として戦後最悪の状況にある。
米GDPの悪化や失業保険申請件数の増加によりNYダウは一時500ドル安以上の下げとなったが、米GDPは事前予想の34.5%減に近い数字だったことで売り一巡後は材料消化で買い戻されて前日比225.92ドル安まで下げ幅を削った。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は前日比44.48ポイント高でプラス圏まで戻した。株式市場の下落局面ではドル円は株安=円高反応が見られ、株式市場が戻しに入るとリスク選好感が優先されてユーロが上昇するなどドル安感が強まり、ドル円においてもドル安円高となった。株安でも株高でもドル円としては円高ドル安傾向で進みやすい状況が続いているという印象だ。
【6日連続の日足陰線、ダブル底からの転落により円高感強まる】
ドル円は7月23日から7月30日までの6日間、日足は連続陰線で続落している。5月6日安値105.98円と6月23日安値106.06円がダブル底となって7月前半までは下支えとなっていたが、7月24日にダブル底ラインから転落したことで先安感が強まっている。
既に7月1日高値108.16円からの下げ幅は7月30日(31日早朝)時点で3.51円、6月5日高値109.84円からの下げ幅は5.19円に拡大している。6月5日から6月23日への下げ幅が3.78円であり、同レベルの二段下げとすれば下値計算値は104.38円。6月5日高値からの下落を3月24日高値から5月6日への下げ幅5.73円と同レベルとすれば下値計算値は104.11円であり、104円台序盤まででしっかりできるのかどうかを試すところと思われるが、仮に104円を割り込む場合には5月6日安値から6月5日高値への戻り幅の倍返しとなる102.12円、3月9日安値101.23円への往って来いまで下値目途が切り下がってゆく可能性もあると警戒される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月23日未明高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしてきたが、22日未明安値から4日目となる27日深夜安値でいったんサイクルボトムを付け、その後の一段安したために7月29日朝時点では底割れによる新たな弱気サイクル入りとして30日夜から8月3日深夜にかけての間への下落を想定したが、30日朝時点では105円台序盤までを戻る抵抗として一段安警戒としたが、31日朝へ一段安しているので引き続きボトム形成中とみる。また7月23日からの下落が長引いているので、直近のサイクルボトムを29日夕安値とすれば今回のボトム形成期が8月3日午後から5日午後にかけての間へ延長される可能性も考えられる。いずれの場合も強気転換には7月30日午後高値105.29円を上抜き返す必要がある。
60分足の一目均衡表では7月23日深夜に先行スパンから転落し、その後も転落状態が続いている。30日午後の上昇でも先行スパン突破手前で失速している。このため先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。
60分足の相対力指数は7月30日午後に60ポイント台まで戻したがその後の失速で30ポイントまで下げている。29日夕刻安値時点では30ポイントで下げ止まっていたが、すでに一段安しているので20ポイント割れを試す下落を想定し、強気転換は50ポイントを超える反騰からとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.00円を下値支持線、105.00円を上値抵抗線とする。
(2)105円以下での推移中は一段安警戒とし、104円前後試しへ向かうとみる。104円前後はいったん買い戻しも入りやすいとみるが、105円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。また104.50円以下での推移なら先行きは102円台を目指す可能性もあると考える。
(3)105円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、105.26円超えからはいったん反騰入りとみて7月28日高値105.68円前後を目指す上昇を想定する。105.50円以上は反落警戒とするが、105.29円を超えた後も105円以上での推移なら週明けは戻りを試しに向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7/31(金)
休場、トルコ、シンガポール
10:00 (中) 7月 製造業PMI (6月 50.9 予想 50.7)
10:30 (豪) 4-6月期生産者物価指数 前期比 (前期 0.2%)
10:30 (豪) 4-6月期生産者物価指数 前年同期比 (前期 1.3%)
14:00 (日) 6月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (5月 -12.3%、予想 -13.0%)
14:00 (日) 7月 消費者態度指数・一般世帯 (6月 28.4)
15:00 (独) 6月 小売売上高指数 前月比 (5月 13.9%、予想 -3.0%)
15:00 (独) 6月 小売売上高指数 前年同月比 (5月 3.8%、予想 3.0%)
18:00 (欧) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -3.6%、予想 -12.0%)
18:00 (欧) 4-6月期GDP速報値 前年同期比 (前期 -3.1%、予想 -14.5%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 0.3%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (6月 0.8%、予想 0.8%)
21:30 (米) 6月 個人所得 前月比 (5月 -4.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCE) 前月比 (5月 8.2%、予想 5.5%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEデフレーター) 前年同月比 (5月 0.5%、予想 0.9%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター) 前月比 (5月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター) 前年同月比 (5月 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 4-6月期雇用コスト指数 前期比 (前期 0.8%、予想 0.6%)
22:45 (米) 7月 シカゴ購買部協会景気指数(シカゴPMI) (6月 36.6、予想 44.5)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 73.2、予想 73.0)
8/3(月)
休場、オーストラリア、トルコ、カナダ
08:50 (日) 1-3月期GDP改定値 前期比 (速報 -0.6%、予想 -0.7%)
08:50 (日) 1-3月期GDP改定値 年率換算 (速報 -2.2%、予想 -2.8%)
10:45 (中) 7月 財新製造業PMI (6月 51.2、予想 51.2)
16:50 (仏) 7月 製造業PMI改定値 (速報 52.0)
16:55 (独) 7月 製造業購買PMI改定値 (速報 50.0)
17:00 (欧) 7月 製造業PMI改定値 (速報 51.1)
17:30 (英) 7月 製造業PMI改定値 (速報 53.6)
22:45 (米) 7月 製造業PMI改定値 (速報 51.3)
23:00 (米) 6月 建設支出 前月比 (5月 -2.1%、予想 1.0%)
23:00 (米) 7月 ISM製造業景況指数 (6月 52.6、予想 53.6)
オーダー/ポジション状況
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