ドル円、上値の重い展開が継続。月末特有のフローに要注意
〇ドル円海外時間に再び104円台に下落
〇トランプ大統領の大統領選延期発言、冴えない米2QGDPが重石
〇ユーロドルは1.18台で上値伸ばす
〇ドル円テクニカルな地合いの悪さが目立ち、ファンダメンタルズもドル売り円買い地合い
〇本日の予想レンジ104.40ー105.30
海外時間の為替概況
30日(木)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。@日本時間早朝に発表された米FOMC(連邦公開市場委員会)にて積極的な緩和方針の継続が示されたこと(追加緩和観測→米ドル売り)や、A米中対立激化の恐れ、(米経済の先行き不透明感→ドル売り)や、B新型コロナウイルスの感染拡大リスク(世界経済の先行き不透明感→リスク回避の円買い)、Cトランプ米大統領による「米大統領選の延期の可能性」についての発言(米政治の先行き不透明感→ドル売り)、D米第2四半期GDP速報値(結果▲32.9%、予想▲34.5%)の冴えない結果(事前予想を上回ったものの過去最大の悪化を記録→ドル売り)が重石となり、米国時間午後にかけて、104.81(FOMC直後に記録した安値104.78付近まで再び下落)まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、104.84付近で推移しております。
30日(木)のユーロドル相場は一段高。@米FOMC(連邦公開市場委員会)にて積極的な緩和方針が示されたこと(追加緩和観測→米ドル売り)や、A欧州経済の回復期待(EU復興基金の合意→ユーロ買い)、B米中対立激化の恐れ、(米経済の先行き不透明感→ドル売り)、C米政治の先行き不透明感(トランプ米大統領による「米大統領選の延期」を巡る発言→ドル売り)、D米第2四半期GDP速報値の不冴な結果(ドル売り)が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.1844(2018年6月以来)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1841近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、7/28には、一時104.78(約4ヵ月半ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや雲下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的にみて、「地合の悪さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、積極的な緩和方針の継続を示した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争拡大リスク、Dトランプ米大統領の支持率低下(米政治の先行き不透明感)、E朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、F新型コロナ第2波リスク、G日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数再拡大→日本経済低迷→デフレマインド再燃→予想実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます(通貨オプション市場でも、ダウンサイドを織り込む動きが一段と加速)。欧米株及び商品市況の動向や、新型コロナ第2波及び米中対立激化に絡むヘッドライン、米主要経済指標(米7月シカゴ購買部協会景気指数や、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数など)、月末特有の特殊フロー(本邦公表相場やロンドンフィキシング)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(市場のテーマが金融緩和を背景としたドル売り地合いから、世界経済の先行き不安を背景としたリスク回避の円買いムードに移る可能性あり)。
本日の予想レンジ:104.40ー105.30
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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