もみあいを下抜け円高トレンドに(週報7月第4週)

先週のドル円は、欧州材料、米国材料と徐々にドル円でのドル売り機運が高まり、金曜に最近のレンジを下抜けテクニカルにもドル安・円高に動きやすくなってきました。

もみあいを下抜け円高トレンドに(週報7月第4週)

もみあいを下抜け円高トレンドに

〇先週のドル円、金曜に最近のレンジを下抜け105円台へ、テクニカルにもドル安・円高に動きやすく変化
〇コロナ感染者増と米中領事館閉鎖命令合戦から米国株安、ドル売りに
〇今週水曜にFOMC、木曜は米国4〜6月期GDP速報値発表、GDPは-34%と予想
〇ドル円はいったん短期的なドル安のボトムを見に行く可能性高く、105円を試す流れ
〇今週は大台105.00レベルをサポート、106.40レベルをレジスタンスとする流れを予想

今週の週間見通し

先週のドル円は木曜までは7月9日以降のもみあいを継続し、107円台半ばの売りと106円台後半の買いに挟まれて方向感が無いままに東京市場の連休に入りました。その間、ユーロドルは復興基金の可決をきっかけとしたユーロ高となり、また米ドルも新型コロナ新規感染者増と米中間の領事館閉鎖命令合戦から米国株安をきっかけとしたドル売りとなり、ドル円もユーロドルに遅れてのドル安相場になりました。

材料的にはこれまでもドルを積極的に買う材料は無かったのですが。米国株式市場が堅調なうごきとなっていたこともあって特にドル円ではドルを売る動きが活発してきませんでした。しかし、欧州材料、米国材料と徐々にドル円でのドル売り機運が高まり、金曜になって最近のレンジを下抜けテクニカルにもドル安・円高に動きやすくなってきたと言えます。

今週は材料的には水曜にFOMCと木曜に米国と欧州主要国の4〜6月期GDP速報値の発表がありますが、FOMCは現状維持で今の超緩和政策を見守っている段階、また経済指標も4〜6月期が米国と欧州ではもっとも悪い数字が出ますので、どの程度の反応となるかはわかりませんが、米国は―34%ととんでもない数字が予想されています。いっぽうでドイツのGDP予想は前回より悪化とはいえ一桁のマイナスに収まっていることを考えると、いくら悪くて当たり前とは言ってもユーロドルでのドル売りにつながりやすいと考えられます。

先週からは地合い的にもドル売りに動きやすくなってきたことを考えると、いったん短期的なドル安のボトムを見に行く可能性が高く、ドル円は105円を試す流れにつながっていくのではないかという見方をしています。また今週は金曜が月末でもありますので、週後半に関して夏休み前の月末実需で動きが出てくる可能性にも注意したいところです。

テクニカルにも見ていきましょう。

金曜の下げで4月以降のもみあいを下抜け。3月16日以来のドル安値を見ています。これまでのもみあいを抜けたことから、現状は106円台前半では戻り売りが出やすくなってきたと考えられますし。107円台半ばでドル売りを並べていた向きが1円程度ドル売りオーダーの水準を下げてくる可能性も高いのではないかと見ています。

下値については年初来安値までには距離がありますが、105円台前半はテクニカルにも大きなターゲットです。ひとつは年初来安値101.183とその後の高値111.71との61.8%押しが105.21(赤のターゲット)。もうひとつは6月高値109.85を起点に6月安値106.08までの下げと、その後の7月高値108.17への戻しを3点とした逆N波動(ピンク)の下げからフィボナッチ・エクスパンションを考えます。すると78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが105.20(青のターゲット)となり、上述のターゲットと一致しています。

テクニカルには、まず105.20レベルをターゲットとしてもう一段のドル安・円高の動きとなって、そこで止まらない場合には、後者の100%エクスパンション(均衡表の値幅観測でN値と同じ)となる104.39(青のターゲット)をも視野に入れる展開となってくるでしょう。

今週はまずは手前のターゲットを目指す流れを考え、大台105.00レベルをサポートに、先週木曜に上値が重かった106.40レベルをレジスタンスとする流れを見ておきたいと思います。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

7月27日(月)
08:50 日銀会合主な意見公表
17:00 ドイツ7月ifo企業景況感
21:30 米国6月耐久財受注

7月28日(火)
22:00 米国5月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国7月消費者信頼感
23:00 米国7月リッチモンド連銀製造業景況指数
**:** FOMC(〜29日)

7月29日(水)
10:30 豪州4〜6月期CPI
15:45 フランス7月消費者信頼感
16:00 トルコ6月貿易収支
17:00 南ア6月CPI
21:30 米国6月卸売在庫
23:00 米国6月住宅販売保留件数
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表
27:30 パウエルFRB議長会見

7月30日(木)
07:45 NZ6月住宅建設許可件数
10:30 豪州6月住宅建設許可件数
15:00 ドイツ4〜6月期GDP速報値
15:45 フランス6月PPI
16:00 トルコ7月経済信頼感
16:55 ドイツ7月失業率
18:00 ユーロ圏7月消費者信頼感
18:00 ユーロ圏6月失業率
18:30 南ア6月PPI
21:00 ドイツ7月CPI速報値
21:30 米国4〜6月期GDP速報値
21:30 米国新規失業保険申請数

7月31日(金)
**:** シンガポール、トルコ市場休場
08:30 本邦6月失業率・有効求人倍率
10:00 中国7月製造業PMI
10:30 豪州4〜6月期PPI
14:30 フランス4〜6月期GDP速報値
15:00 ドイツ6月小売売上高
15:45 フランス6月CPI速報値
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏7月CPI速報値
21:00 南ア6月貿易収支
21:30 米国6月個人所得・消費支出
21:30 米国4〜6月期雇用コスト
22:45 米国7月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 米国7月ミシガン大消費者信頼感

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月20日(月)
週明けのドル円は仲値に向けての実需買いがドルの水準を引き上げましたが、仲値だけとは思えぬ勢いで何らかの大口のドル買いも重なり、それがストップを巻き込んで107.55レベルの高値をつけました。しかし、107円台半ばでは相変わらず売りオーダーも見え、その後の欧州市場ではじり安のほぼ行って来い状態。NYの引けにかけては改めて買いも出て107円台前半、一日のレンジの中ほどでの引けとなりました。

7月21日(火)
ドル円はユーロドルの動きを見ながら東京前場はややドルの上値が重たい展開、昼過ぎにユーロドルの売りをきっかけにドル買いとなったものの、NY市場まではじり安となり東京前場水準へと押しました。NY市場では改めてユーロ買いが強まり、ユーロが1.15台前半へと水準を切り上げる中、ドル円もユーロドルでのドルの動きに追随し、106.68レベルまでドル売りが進み引けにかけてはやや戻しました。

7月22日(水)
東京市場では安値圏でのもみあいとなっていましたが、欧州市場以降にユーロが対円でも大幅高となる動きに沿ってじり高となり、NY後場には107.29レベルまで買われたものの前日高値を抜けられずの引けとなりました。

7月23日(木)
NY市場までまったく動きが見られず前日の高値圏でのもみあいとなりましたが、NYに入り発表された失業保険申請数が予想よりも多かったことから新型コロナ第二波懸念が改めて広がったこと、また米中間の対立が強まっていることも材料に株安となり、ドル円は前日安値圏に押しての引けとなりました。

7月24日(金)
前日NYの流れを継続しアジア市場から株が一段安となり、ドル円も週間安値を下回る動きに。その後は週末を前にしたストップも巻き込みながらNY市場では米中間の領事館閉鎖命令合戦を嫌気して株安とともに105.68レベルの安値をつけ、引けにかけてはやや戻しての週末クローズとなりました。

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