トルコリラ円見通し 円高圧力強まり7月10日以降の持ち合いから転落、4か月サイクルの下落期継続(20/7/27)

トルコリラ円は7月24日の下落で7月10日深夜安値15.51円を割り込んで一段安となり、25日未明には15.41円まで安値を切り下げた。

トルコリラ円見通し 円高圧力強まり7月10日以降の持ち合いから転落、4か月サイクルの下落期継続(20/7/27)

円高圧力強まり7月10日以降の持ち合いから転落、4か月サイクルの下落期継続

〇トルコ円、7/25未明15.41まで安値を切り下げる
〇トルコ円日足チャートで4か月周期のサイクルで推移
〇対ドルでは1か月半以上横ばいの状況
〇トルコ消費者信頼感指数は前月から悪化も、4月より回復
〇6月外国観光客は前年比マイナス96%、7月では改善か
〇15.41割れ回避のうちは上昇余地あり15.50以上での推移なら15.55から15.60にかけてのゾーンを試す
〇15.45割れから下げ再開警戒、15.41割れから新たな弱気サイクル入りとし15.30前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は7月24日の下落で7月10日深夜安値15.51円を割り込んで一段安となり、25日未明には15.41円まで安値を切り下げた。25日早朝には15.50円台まで反発しているが、7月10日深夜以降のやや右肩上がりの持ち合い相場から転落したこと、7月3日にフラッシュクラッシュ的な下落で15.40円まで一時的に急落した時の安値に迫ったことのインパクトは大きい。

トルコリラ円は対ドルでのトルコリラが金融当局の規制強化の中で小動きにとどまっているために6月後半からはドル円と同調した動きが以前よりもより鮮明となっている。
ドル円は7月10日深夜安値106.62円の後は7月15日深夜安値106.64円、22日未明安値106.66円と底割れを回避しつつ安値ラインを若干切り上げつつ高安レンジが1円弱の範囲での持ち合いを継続してきた。しかし7月23日への反発時には持ち合い上限へ戻せず、23日夜から24日にかけては米国株安、米中対立の深刻化、米国の感染拡大が収まらないことや高失業状態が続いていること等を背景にドル安が加速したために7月10日深夜安値を割り込んで一段安となり、7月25日未明には105.65円まで安値を切り下げた。この結果、5月6日安値105.98円と6月23日安値106.06円によるダブル底ラインを割り込み、6月5日の戻り高値を起点とした円高ドル安基調の継続感が強まった。

トルコリラ円はドル円の動きに併せて7月10日深夜安値15.51円の後は15日深夜安値15.53円、18日早朝安値15.53円とわずかに安値を切り上げ、戻り高値も7月14日朝高値15.63円から20日午前高値15.66円へ若干切り上げて、やや右肩上がりで高安レンジが0.13円前後規模の持ち合いを続けてきた。しかし7月23日夜から24日夜にかけての円高に押されて持ち合いから転落した。
7月3日のフラッシュクラッシュ的な下落はトルコ消費者物価が予想を超える上昇率だったことで実質的なマイナス金利状態が長期化するのではないかとの懸念が強まって対ドルで急落したことによるものだったが、当局の規制への警戒もあって対ドルでの値動きが一時的なものにとどまったためにトルコリラ円においても一時的でイレギュラーな動きに終わった。しかしフラッシュクラッシュ的な急落でつける安値というのは後からもう一度見に来るような目安となることも多い。
7月3日の一時的な安値を除外しても6月2日高値以降の安値更新であり、7月1日への小反発後のやや右肩上がりの持ち合いからの転落である。

【4か月サイクルによる下落感強まる】

トルコリラ円は日足チャートで見れば概ね4か月周期の底打ちサイクルで推移してきた。2018年8月のトルコ通貨危機以降の主要な安値は2019年1月3日、同年5月9日、同年8月26日、2020年1月6日、5月7日であり、現状は5月7日安値でボトムを付けて反騰したが、6月3日高値でサイクルトップを付けて下落期に入った状況にあると思われる。
7月3日の一時的な下落は4か月サイクルにとっては2か月前後のハーフサイクルとしての安値を付けた動きであり、元の水準へ戻したものの7月1日の戻り高値を超えられずに終わり、7月24日の下落で7月3日安値に迫ったことは4か月サイクルによる下落期の継続を再確認するものと思われる。

4か月周期の底打ちサイクルにおける次の安値形成期は8月末から9月序盤にかけての間と想定される。ドル円においても昨年8月底以降は2か月周期の底打ちサイクルが見られるため、6月23日安値から2か月目となる8月末からやや長引く場合には9月序盤にかけての間へ下落基調で進みやすいと思われる。トルコリラ円の4か月周期とドル円の2か月周期による次の安値形成期が概ね重なるため、円高によるトルコリラ円への売り圧力により8月後半にかけては下落基調で進みやすくなったのではないかと思われる。

【対ドルでのトルコリラ、小動きのまま】

対ドルでのトルコリラは先週の高安レンジが6.868リラから6.816リラの範囲で週末終値は6.848リラだった。その前の週は6.877リラから6.841リラ、さらにその前の週は6.875リラから6.835リラであり、ほぼ横ばいという状況が1か月半以上も続いていることになる。この傾向はしばらく続きそうだ。仮に大きく動くとすれば、世界の金融市場全体が3月コロナショック時の様に大きく動揺する中で新興国通貨が急落してトルコリラも巻き込まれるという展開だろう。

【対ドルでのトルコリラ、小動きのまま】

7月23日に発表された7月のトルコ消費者信頼感指数は60.9となり、6月の62.6から悪化して市場予想の66.0を下回った。6月1日から経済活動の再開が始まっており、4月に54.9まで大幅低下したところからは回復しているものの伸びもまだ限定的ということかもしれない。
7月24日に発表された6月の観光客の伸びは前年比マイナス96%となり、5月のマイナス99.3%からはわずかな改善にとどまった。観光入国への規制が緩んだのは7月1日からであり、6月統計は感染抑制のための規制が解けていない状況のため、7月の統計では改善されるであろうと思われるが、トルコへの観光客入国のピークは夏であり、7月の出足が鈍いようだと復調するには時間がかかるとして悲観が強まるかもしれない。
トルコ中銀は7月23日の金融政策決定会合で政策金利の1週間物レポレートを現行の8.25%で据え置いた。6月会合までは昨年から9会合連続で利下げを断行してきたが、消費者物価が予想よりも上昇しているためにコロナショック対策として利下げを継続できないという判断が6月及び7月の利下げ見送り判断となったようだ。

【トルコのコロナ感染は抑制が効いた状況を維持】

トルコにおける新型コロナウイルスの感染者累計は7月25日時点で22万5173人で世界16位となっている。前日からの増加数は921人にとどまり、6月14日以降は千人を切った状況での推移が続いている。4月11日のピーク時には5138人増だったが、6月2日には786人増まで減少した。
6月1日から経済活動再開が始まっているが、5月中も週末のロックダウンの他は制限を持ちながら経済活動を継続してきたことを踏まえると、経済活動と感染拡大抑止のバランスが取れている成功例かもしれない。しかし日本における日々の感染増加数が千人規模となり国民心理も不安を強めていることを踏まえれば、まだトルコの感染増の水準は高いというべきなのかもしれない。

【60分足サイクル分析と当面のポイント】

【60分足サイクル分析と当面のポイント】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月18日早朝安値を前回のサイクルボトムとしていたが、24日に18日早朝安値を割り込んで一段安となったものの25日早朝にかけては15.50円超えまで戻している。このため、7月18日早朝安値から5日目となる7月25日未明安値を直近のサイクルボトムとする。トップ形成期は23日夕高値を基準とすれば28日夕から30日夕にかけての間と想定されるが、持ち合い下放れとなったために戻りは短命の可能性がある。このため25日未明安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、15.45円割れからは弱気転換注意とし、25日未明安値割れからは30日未明から8月3日朝にかけての間への下落を想定する。

サイクル的なリズムを踏まえて当面のポイントを示す。

(1)週明け序盤は15.45円を下値支持線、15.55円を上値抵抗線とみる。
(2)15.50円以上での推移なら15.55円から15.60円にかけてのゾーンを試すとみるが、15.55円以上は反落警戒とみる。
(3)15.45円割れからは下げ再開を警戒し、25日未明安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして15.30円前後への下落を想定する。15.30円以下は反発注意とするが、25日未明安値を割り込んだ水準での推移が続くうちは一段安余地ありとし、円高が加速する場合は15.20円台へ下値目途を引き下げる。
(4)中勢レベルでは7月3日のフラッシュクラッシュ的な下落でつけた安値15.40円を割り込んで15円割れを目指す下落期にあるとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

7月27日
 16:00 7月製造業景況感 (6月 92.6、予想 88.0)
 16:00 7月設備稼働率 (6月 66.0%、予想 67.0%)
7月29日
 16:00 6月貿易収支 (5月 -34.2億ドル、予想 -33.0億ドル)
 16:30 トルコ中銀インフレレポート
 20:00 トルコ中銀MPC議事要旨
7月30日
 16:00 7月経済信頼感指数 (6月 73.5、予想 70.8)
7月31日
 16:00 第2四半期観光収入 (前期 41.0億ドル、予想 11.0億ドル)
8月4日
 16:00 7月消費者物価指数 前年比 (6月 12.62%)
 16:00 7月消費者物価指数 前月比 (6月 1.13%)
 16:00 7月生産者物価指数 前年比 (6月 6.17%)
 16:00 7月生産者物価指数 前月比 (6月 0.69%)
 16:00 7月イスタンブール製造業PMI (6月 53.9)

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