米中対立の行方は如何に、ドルの上値重そう(週報7月第4週)

先週のドル/円相場は、ドルが弱含み。過去2週間程度推移していたレンジを下放れたことに続き、6月安値さらには5月安値105.99円も割り込んできた。

米中対立の行方は如何に、ドルの上値重そう(週報7月第4週)

米中対立の行方は如何に、ドルの上値重そう

〇先週のドル円、過去2週間程度推移していたレンジを下放れし5月安値105.99割り込む
〇対円などでのドルの弱さは、米政府の領事館閉鎖通告など「米中対立激化」を嫌気か
〇EU復興基金合意で週末ユーロドル1.1660まで続伸し、今年のユーロ最高値を大きく更新
〇コロナ感染者、本日未明世界で1600万人を超え、1週間で200万人以上の増加
〇今週のドル円予想レンジ104.80-107.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが弱含み。過去2週間程度推移していたレンジを下放れたことに続き、6月安値さらには5月安値105.99円も割り込んできた。

先週末は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計結果として、「新型コロナウイルスの世界の感染者が初めて1400万人を超えた」ことが明らかになったうえ、当初2日間の予定だったEU臨時首脳会議で話がまとまらず、延長協議すると発表された。
そうした状況を踏まえたドル/円は前週末のNYクローズと大差ない107円前後で寄り付いたのち、週間高値である107円半ばを示現。しかし、以降はドルがおおむね冴えず、とくに週末にかけてはレンジ下限だった106.65円レベルを下回っただけでなく、106円を割り込み105.68円まで値を下げている。週間変動幅は約1.9円と、なかなかの変動幅だった。週末NYは辛うじて106円台を回復した106.10円レベルで取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「EU復興基金」と「米中の対立」について。
前者は、EU臨時首脳会議による「EU復興基金」をめぐる協議について、当初は17-18日の会期2日間とされていたが、甚大な被害を受け多額の資金を早急に求める南欧と、返済不要の補助金を制限したいオランダなど主に北部の国が対立し紛糾。ついに4日目までもつれ込む結果となった。その間、様々な思惑や報道、あるいはルーマーなどが飛び交ったものの、その4日目にようやく総額7500億ユーロの「復興基金」について合意に達したという。なお、そんな情勢をにらみ、為替市場でユーロは右往左往をたどるも、最終的には合意を好感した動きなどから、週末にユーロ/ドルは1.1660ドル程度まで続伸し、今年のユーロ最高値を大きく更新している。

対して後者は、東京市場が休場だった23日の東京夕方、突然「米政府が中国にテキサス州ヒューストン領事館閉鎖を通告」し、市場で様々な思惑を呼ぶ。その後は、中国サイドから強い批判コメントが聞かれただけでなく、「武漢の米国領事館に対する報復措置として閉鎖通告」などといったような報復合戦に。また、米国務長官から「中国がWHO事務局長を『買収』した」とのコメントが発されたことに続き、各国に中国との関係を見直すよう呼び掛けたことが明らかになるなど、まさに泥沼化の様相。前述したような、対円などでのドルの弱さはこうした「米中対立を激化」を嫌気して、とする解説なども聞かれていた。

<< 今週の見通し >>

新型コロナの感染拡大はいまだ止まらない。それどころか一部では加速している感すらあり、実際、先で指摘したように1週間前には「感染者1400万人」突破とされたものが、本日未明段階で1600万人を超えたことが明らかに。わずか1週間で200万人以上の増加になる。そんな世界的な感染ももちろんのこと、日本そして米国における感染も拡大傾向で、今週も引き続き予断は許さない。また、別途「米中関係のさらなる悪化」も懸念されており、ドル/円については上値抑制要因として寄与するなどといった指摘も聞かれていた。

材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、今週も「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。前者については、先々週ぐらいに一時歩み寄りを期待させる要人の中国発言も聞かれていたが、完全に雲散霧消しただけでなく、関係はむしろ当時より悪化している感を否めない。いずれにしても、今週も関連発言や報道などには要注意。

テクニカルに見た場合、106.65円レベルを下限とした過去2週間程度のレンジを下放れたことに続き、週末には5月安値105.99円を一時割り込む局面も観測されていた。リスクという意味ではドル安方向にバイアスがかかる。
そんなドル/円、年初来安値101.19円を起点とした大きな上昇に対する半値押し106.45円を下回ってきたことで、フィボナッチの観点では61.8%押しにあたる105.20円レベルが次のターゲットとなりそうだ。

一方、今週は、7月の消費者信頼感指数や、4-6月GDP速報値といった重要な米経済指標の発表が相次ぐ予定となっており、取り敢えずそれらに注目。前述したように、先週ドル安・円高が進行した主因は「米中対立の激化」にあると考えられているが、23日に発表された週間ベースの新規失業保険申請件数という雇用指標が冴えない内容となったことも潜在的なドル売り要因として寄与していた感がある。今週も発表される米経済指標には注意を払いたい。
また、29日に予定されているFOMC金融政策発表、ならびにパウエルFRB議長の記者会見を警戒する声も少なくないようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.80-107.20円。ドル高・円安については、これまで強いサポートとして寄与してきた106.60円前後が今度は抵抗に。上抜ければ移動平均の21日線が位置する107.20円レベルなどが意識される展開か。
対するドル安・円高方向は、先週安値105.68円をめぐる攻防を注視。しっかり割り込めば、フィボナッチで見たテクニカルポイントの105.20円レベルや105円、そして104.40円がターゲットに。

注:ポイント要約は編集部

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