5月6日と6月23日によるダブル底ラインを割り込む
〇ドル円7/25未明に一時105.65まで下落、106円台を回復して越週
〇日足チャートでは、5/6と6/23のダブル底ラインを割り込んでの一段安
〇ドル安の中身が変化、7月前半は株高ドル安、月末にかけては株安ドル安か
〇ドル円ダブル底ラインから転落した相場、先行きはさらに一段安へ進みやすい状況
〇105.65を割り込まないか、いったん割り込んでも早々に切り返すなら27-28日にかけ戻りを試しやすい
〇107円台まで戻せず、戻り幅の半値を削る場合は週後半へもう一段安してゆく可能性高まる
〇105.65を割り込んで続落に入る場合の下値計算値は104.38、104.11、102.12、101.23
【概況】
ドル円は7月24日の下落で7月10日以降の持ち合いから転落し、5月6日安値105.98円と6月23日安値106.06円によるダブル底ラインを割り込む一段安となり、7月25日未明には105.65円の安値をつけた。25日早朝には106円台を回復して終了した。
7月10日深夜に106.62円まで下げた後は7月15日深夜安値106.64円、7月22日未明安値106.66円で下げ止まり、106.60円台を下値支持線とした持ち合いを形成していた。戻り高値も7月14日夜高値107.42円から7月20日午前高値107.51円まで若干切り上がり、やや右肩上がりで1円弱の値幅での持ち合いだったが、7月23日への反発時には戻り高値切り上げに失敗し、23日深夜からの下落は24日未明時点では下値支持線を維持していたが、24日午前に7月10日深夜を割り込んだところから売りの連鎖反応となった。
【日足のボリンジャーバンド膨張開始】
日足チャートでは、5月6日と6月23日のダブル底ラインを割り込んでの一段安となった。このため、6月5日の戻り高値を起点とした下落波動は6月23日安値までを一段目とし、7月1日の戻り高値から二段目に入ったこととなる。また3月暴落後の反騰でつけた3月24日高値を起点とすれば、5月6日安値までが一段目であり、6月5日の戻り高値からの二段目となる下落はまだ継続中ということとなった。
日足のボリンジャーバンドは7月10日からの持ち合いにより上下2σラインの幅が1円強の狭さまで縮小していたが、7月24日の一段安により上下2σラインは開き始めた。ボリンジャーバンドは膨張と縮小を繰り返すが、収縮の後には膨張が発生して上下いずれかのトレンド発生となる。収縮期はトレンド発生の前夜情勢といえるが、7月24日から膨張期に入り始めたと思われる。
オシレーター系では概ね2か月から3か月周期の底打ちサイクルと同調するRCI(順位相関指数)の26日線が再びマイナス圏へ下降し始めた事が注目される。ドル円の底打ちサイクルは、昨年8月底以降では概ね2か月周期で月末ないし月初に底を付けるパターンが繰り返されており、昨年8月26日底以降の主要な安値は11月1日、今年1月8日、3月9日、5月6日、6月23日であり、6月23日底からいったん戻したものの底割れしたことにより新たな2か月サイクルの下落期に入った印象が強まったと解釈できるのではないかと思う。6月23日安値を起点とすれば次の底形成期は8月末から9月序盤にかけての間と想定されるが、昨年8月26日底の他に近年では、2017年9月8日底、2016年の6月24日と8月16日のダブル底、2015年の8月24日底等が重要な底打ちとなっており、いずれも6月ないし7月から下落が加速している。
2か月サイクルは1か月サイクルが2セットであり、1か月サイクルとしては毎月末ないしは月初の米雇用統計前後が短期的な打ち期となっている。7月25日未明安値は前回の6月23日安値からちょうど1か月を経過しているところのため、週明けを新たな安値更新回避で持ち直せば、いったん7月31日前後ないしは8月第1週へ戻しに入る可能性がある。最近の戻り高値は4月6日、6月5日、7月1日であり、仮に戻しに入る場合は月末月初に戻りを一巡させ、戻り幅の半値を削るところから下げ再開を警戒し、安値更新からは8月末ないし9月序盤にかけての間への下落期へ向かうという見方もできるのだろうと思われる。
【ドル全面安の中身が変化、7月前半は株高ドル安、月末にかけては株安ドル安か】
3月前半のコロナショック暴落から株式市場は復興期待で出直り、7月に入ってからも世界及び米国の感染拡大が続く中でも株高基調を継続し、米ナスダック総合株価指数は7月21日に1万839.93ポイントの高値を付けて史上最高値を更新した。
NYダウは3月暴落幅を完全に解消できていないが、アフターコロナの日常でより需要が伸びるであろうハイテク・IT株中心に買われてきたためにナスダックは3月暴落による下落を解消してさらに高値を更新するところまで強気されてきた。しかし7月23日は前日比244.71ポイント安と下落、7月24日も同98.24ポイント安と続落した。NYダウも7月に入ってから上昇してたがコロナショック後の戻り高値である6月8日高値更新には進めずに7月23日には前日比353.51ドル安、24日も182.44ドル安と続落した。3月後半からの米国株式市場の反騰がそろそろ頭打ちに入り始めた印象だ。
米国株反落の背景は米国の感染拡大が日々深刻化している中で、経済指標では持ち直しを示唆するものも多くなっているものの戦後最悪の失業者の発生状況は改善せず、ここにきて米中対立の深刻化も意識され始めたこと等が重なったためと思われる。
ユーロは7月に入って対ドルでの上昇が堅調になり、7月17日から7月24日までは6日間連続の日足陽線で上昇し、3月9日高値を超えて2018年9月以来の高値水準となった。メジャー通貨の加重平均であるドル指数も7月にはいってから続落基調が続いて7月23日には3月9日安値を割り込んだ。EUが7月21日に新型コロナウイルス対策として総額7500億ユーロ(約92兆円)の復興基金創設で合意したことや、感染爆発が止まない米国に対して欧州主要国の感染規模が落ち着いてきたこと、金融緩和を背景としての長期金利の下落余地等が比較されてユーロが買われている印象だが、7月22日までは株高ならリスク選好で通貨買いとなってユーロ等が上昇してドル安という反応パターンだったが、週後半は米国株安とリスク回避感がやや強まる中でドルが売られてユーロ等が上昇する反応パターンに変わってきた印象がある。
円としては、本邦での金融緩和余地に限りもある中で米長期債利回り低下傾向が続けばドル安円高へ反応しやすいこと、ユーロ高ドル安等によるドルストレートでのドル安がクロス円での円安に勝ること、米国株高に対しては感染拡大が収まっていないとして通常の株高円安になびかない状況であることが、値動きを小幅なものに抑え、ドル全面安に反応しやすい状況のなかで7月24日に一段安に陥ったと思われる。今後もドル安感が強まってゆけばドル円もさらに下げやすい状況が続くのではないかと思われる。
【当面のポイント、下値目途】
(1)5月6日と6月23日のダブル底ラインから転落した相場であり、先行きはさらに一段安へ進みやすい状況と思われる。
(2)しかし週後半に下落すると週明け序盤はいったん戻しやすい傾向がある。先週は週末安値から20日の月曜午前へ反発して107.51円まで上昇、先々週は週末深夜に106.62円まで下げてから週明け火曜日(7月14日)夜高値107.42円まで戻している。今回も7月25日未明に105.65円まで下げた後は106円台序盤へ戻しているので、7月25日未明安値を割り込まないか、月曜午前にいったん割り込んでも早々に切り返すなら7月27日、28日にかけては戻りを試しにかかりやすいと思う。
(3)一方で週末に一段安した状況を解消する=107円台回復まで戻せず、戻り幅の半値を削る場合は週後半へもう一段安してゆく可能性が高まると思われる。7月10日から22日にかけての間は下値支持線が106.60円台だったため、週前半へ戻す場合は106.40円から106.60円前後までの間が戻り抵抗となりやすいと思われる。
(4)7月25日未明安値を割り込んで続落に入る場合の下値計算値としては、第一に6月5日高値から6月23日安値までの下げ幅3.78円と同レベルとして104.38円、第二に3月24日高値から5月6日への下げ幅5.73円に対して6月5日高値から同レベルの下げとして104.11円が考えられる。104円台へ到達した場合、その先行きとしては5月6日安値から6月5日への戻り幅の倍返しとなる102.12円、3月9日安値101.23円を目指す可能性も出てくるのではないかと考える。(了)<26日16:20執筆>
【当面の主な予定】
7/27(月)
13:30 (日) 4月 全産業活動指数 前月比 (3月 -6.4%、予想 -3.5%)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI・改定値 (速報 79.3)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI・改定値 (速報 74.6)
17:00 (独) 7月 IFO景況感指数 (6月 86.2、予想 89.3)
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 15.8%、予想 6.8%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 4.0%、予想 3.6%)
7/28(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
08:50 (日) 6月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (5月 0.8%、予想 0.8%)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 (4月 224.08)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (4月 4.0%、予想 4.1%)
23:00 (米) 7月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (6月 98.1、予想 94.5)
23:00 (米) 7月 リッチモンド連銀製造業指数 (6月 0、予想 5)
7/29(水)
10:30 (豪) 4-6月期消費者物価 前期比 (前期 0.3%、予想 -2.0%)
10:30 (豪) 4-6月期消費者物価 前年同期比 (前期 2.2%、予想 -0.5%)
16:00 (ト) 6月 貿易収支 (5月 -34.2億ドル、予想 -28.0億ドル)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 44.3%、予想 15.0%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -10.4%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
7/30(木)
07:45 (NZ) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 35.6%)
08:50 (日) 6月 小売業販売額 前年同月比 (5月 -12.3%、予想 -6.0%)
08:50 (日) 6月 百貨店・スーパー販売額(既存店) 前年同月比 (5月 -16.7%、予想 -5.5%)
10:30 (豪) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 -16.4%、予想 -2.0%)
10:30 (豪) 4-6月期輸入物価指数 前期比 (前期 -1.0%、予想 -2.5%)
15:00 (独) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -2.2%、予想 -9.0%)
15:00 (独) 4-6月期GDP速報値・季節調整済 前年同期比 (前期 -2.3%、予想 -11.4%)
15:00 (独) 4-6月期GDP速報値・季節調整前 前年同期比 (前期 -1.9%、予想 -10.9%)
16:55 (独) 7月 失業者数 前月比 (6月 6.90万人、予想 4.50万人)
16:55 (独) 7月 失業率 (6月 6.4%、予想 6.5%)
18:00 (欧) 7月 経済信頼感 (6月 75.7、予想 81.0)
18:00 (欧) 7月 消費者信頼感確定値 (速報 -15.0)
18:00 (欧) 6月 失業率 (5月 7.4%、予想 7.7%)
20:00 (メ) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -1.2%)
20:00 (メ) 4-6月期GDP速報値 前年同期比 (前期 -1.4%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数速報値 前月比 (6月 0.6%、予想 -0.3%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 0.9%、予想 0.1%)
21:30 (米) 4-6月期GDP速報値 前期比年率 (前期 -5.0%、予想 -35.0%)
21:30 (米) 4-6月期GDP個人消費速報値 前期比年率 (前期 -6.8%、予想 -35.0%)
21:30 (米) 4-6月期コアPCE速報値 前期比年率 (前期 1.7%、予想 -0.9%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 141.6万件、予想 140.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1619.7万人)
7/31(金)
休場、トルコ、シンガポール
08:30 (日) 6月 失業率 (5月 2.9%、予想 3.0%)
08:30 (日) 6月 有効求人倍率 (5月 1.20、予想 1.15)
08:50 (日) 6月 鉱工業生産・速報値 前月比 (5月 -8.9%、予想 0.9%)
08:50 (日) 6月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (5月 -26.3%、予想 -19.1%)
10:00 (中) 7月 製造業PMI (6月 50.9 予想 50.8)
10:30 (豪) 4-6月期生産者物価指数 前期比 (前期 0.2%)
10:30 (豪) 4-6月期生産者物価指数 前年同期比 (前期 1.3%)
14:00 (日) 6月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (5月 -12.3%、予想 -12.6%)
14:00 (日) 7月 消費者態度指数・一般世帯 (6月 28.4)
18:00 (欧) 4-6月期GDP速報値 前期比 (前期 -3.6%、予想 -12.0%)
18:00 (欧) 4-6月期GDP速報値 前年同期比 (前期 -3.1%、予想 -14.5%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (6月 0.8%、予想 0.8%)
21:30 (米) 6月 個人所得 前月比 (5月 -4.2%、予想 0.7%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCE) 前月比 (5月 8.2%、予想 5.4%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEデフレーター) 前年同月比 (5月 0.5%、予想 0.9%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター) 前月比 (5月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター) 前年同月比 (5月 1.0%)
21:30 (米) 4-6月期雇用コスト指数 前期比 (前期 0.8%、予想 0.6%)
22:45 (米) 7月 シカゴ購買部協会景気指数(シカゴPMI) (6月 36.6、予想 43.9)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 73.2、予想 72.8)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2020.07.27
米中対立の行方は如何に、ドルの上値重そう(週報7月第4週)
先週のドル/円相場は、ドルが弱含み。過去2週間程度推移していたレンジを下放れたことに続き、6月安値さらには5月安値105.99円も割り込んできた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2020.07.25
来週の為替相場見通し:『リスクオン相場からリスクオフ相場への転換に要注意』(7/25朝)
ドル円は週末にかけて、3/16以来、約4ヵ月ぶり安値となる105.68まで急落しました。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。