強い売りシグナルを示唆する三役逆転がついに成立
〇トルコ円リスク選好と中銀介入で15.70まで上昇後、CPIの不冴え、米中関係悪化に15.42まで下落
〇トルコ中銀は7/23に2会合連続となる政策金利の据え置きを決定
〇トルコ円、強い売りシグナルを表す三役逆転成立
〇トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想 来週の予想レンジ:15.20-15.60
今週のレビュー(7/20−7/24)
今週のトルコリラ円相場は、週初15.61円で寄り付いた後、@EU復興基金案の合意や、A米政府による追加景気対策期待、B上記@Aを背景としたリスク選好ムード、Cトルコ中銀によるリラ買い為替介入が支援材料となり、週後半(7/23)にかけて、週間高値15.70円まで上昇しました(7/8以来、約2週間ぶり高値)。しかし、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、Dトルコ・7月消費者信頼感指数(結果60.9、前回62.6)の冴えない結果や、Eトルコ国内おける新型コロナウイルスの感染拡大、F米中対立激化懸念(米政府によるテキサス州ヒューストンの中国総領事館の閉鎖命令→対抗措置として中国政府も四川州成都市にある米国総領事館を閉鎖命令)が重石となり、週末にかけて、7/3以来、約3週間ぶり安値となる15.42円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局15.49円前後での越週となっております。尚、トルコ中銀は7/23に2会合連続となる政策金利の据え置きを決定しましたが(8.25%→8.25%)、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(7/27−7/31)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、7/24には一時15.42円(7/3以来)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、「地合の弱さ」を印象づけるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感(消費者信頼感指数は再び悪化)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀は金融政策決定会合後の声明にて年末にむけてのインフレ率上昇を示唆)、D中東を巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、F米中対立激化懸念(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナ第2波懸念(トルコ国内の感染者数拡大リスク)など、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクへの警戒感や、物価上昇を背景とした実質金利のマイナス幅拡大(投資妙味の減退→国内から国外への資本流出リスク)、トルコ経済を巡る先行き不透明感、米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(三役逆転が成立したことで来週はトルコリラのダウンサイドリスクに警戒)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):15.20ー15.60
トルコ円日足
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