トルコリラ円見通し ドル円の下落に押されるがドル安・新興国通貨高に支えられて確り(20/7/22)

トルコリラ円は22日朝に15.57円まで下げたものの21日朝安値割れには至らなかった。

トルコリラ円見通し ドル円の下落に押されるがドル安・新興国通貨高に支えられて確り(20/7/22)

ドル円の下落に押されるがドル安・新興国通貨高に支えられて確り

〇トルコリラ円22日朝に15.57まで下げたものの21日朝安値15.56割れには至らず
〇トルコリラ、ドル安リラ高反応を見せ、ドル円の下落と比較しトルコリラ円の下落は浅い
〇7/23トルコ中銀金融政策決定会合で、前回会合に続き利下げ見送りによる現状維持予想
〇15.56以上での推移中は上昇余地あり、15.66超えからは15.70を目指す上昇を想定
〇15.56を割り込めば下げ再開を警戒し18日早朝安値15.53試しも

【概況】

トルコリラ円はドル円と同調した動きを続け、ドル円が106.60円台へ下落した7月10日深夜に15.51円へ下落し、同様に15日深夜には15.53円、18日早朝にも15.53円まで下落したが、ドル円がわずかにこの間の安値を切り上げる中でトルコリラ円も若干底上げしてきた。ドル円の上昇時には7月14日午前高値15.62円、17日早朝高値15.64円へ戻し、20日午前にはドル円が107.51円まで上昇したために15.66円まで戻り高値を若干切り上げた。

7月21日夕刻まではドル円の動きも鈍かったためにトルコリラ円も21日朝に15.56円まで下げたもののその後は15.60円を挟んでの持ち合い的な動きとなっていた。
7月21日夜にドルが全面安となる中でドル円は再び106.60円台まで下落したが、トルコリラ円は22日朝に15.57円まで下げたものの21日朝安値割れには至らなかった。ドル全面安は株高によるリスク選好感の強まりによるドル売り・投機通貨買いの動きであり、特にユーロはEUがコロナ対策の復興基金7500億ユーロ創設で合意したことから3月暴落前の高値を超える上昇となりドル安を助長したが、世界的な株式市場の持ち直しにより21日はユーロ、ポンド、豪ドル等の他にも南アランドやブラジルレアル等も対ドルで上昇し、トルコリラも取引規制の中にあってもドル安リラ高反応を若干見せた。このためドル円の下落と比較すればトルコリラ円の下落は浅いものとなった。

【対ドルでトルコリラが上昇】

対ドルでのトルコリラは、7月3日のフラッシュクラッシュ的な一時的下落を除いて6月18日以降は6.85リラを中心としたわずかなレンジ幅での推移にとどまってきた。トルコ通貨当局による監視・規制の動きを反映して取引規模が減少していることが背景だが、7月21日は6.81リラまで上昇して6月18日以降の持ち合い中の高値を上抜いた。前日比では0.42%の上昇だが、この1か月は概ね0.1%未満での騰落規模だったため、膠着状態から抜け出してドル安リラ高へ進みやすい状況に入った可能性がある。

南アランドも7月21日は対ドルで1.29%高だが、7月17日から3日連続で上昇しており、6月10日以来の高値水準となっている。またブラジルレアルも対ドルで7月に入ってからは横ばいが続いていたが、21日は前日比2.97%高と上昇した。先週末からは4%の上昇であり、ユーロ等のメジャー通貨だけでなく、投機性のかなり高い新興国通貨においてもドル安感が強まってきたことが膠着状態に陥っていたトルコリラにも影響を及ぼし始めている印象だ。
7月23日にはトルコ中銀の金融政策決定会合があり、前回会合に続いて利下げ見送りによる現状維持が予想されているが、全般的なドル安基調が続く中で現状維持とすればドル安リラ高へ傾斜しやすくなると思われる。トルコ通貨当局にとってもリラ暴落を避けることが主眼であるため、リラ高ドル安なら無用な牽制もしないだろう。

【ドル円、ボックス型持ち合いの下限】

ドル円は7月1日高値108.16円から7月10日安値106.62円まで下落した後は7月14日高値107.42円まで戻し、その後も15日深夜安値106.64円から20日午前高値107.51円まで戻してから22日未明安値106.66円へ下落しており、106.60円台を下値支持線、107.50円前後を上値抵抗線としたボックス型の持ち合い相場となっている。

7月10日深夜安値以降、106.60円台の安値はわずかに切り上がっており、22日未明安値106.66円の後はやや戻し気味のため、ボックス型持ち合いを継続してその上限を再び目指す可能性がある。その場合はトルコリラ円には対ドルでのリラ高基調も踏まえて上昇要因となってくるが、ボックス型持ち合いの支持線割れへの余裕もあまりない状況であり、ドル全面高が一段と進む場合はボックス型持ち合い下放れによるドル安円高の加速となり、それ以上に対ドルでのリラ高が進まなければトルコリラ円も7月10日以降のやや右肩上がりのボックス型持ち合い相場から転落する可能性も出てくると思われる。トルコリラの対ドルでの動きが限定的なものに留まるうちはドル円との同調性がやはり勝る点は押さえておきたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月20日午前の上昇で17日早朝高値を上抜いたため、7月18日早朝安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りした。しかしその後は新たな高値更新へ進めずにいる。17日早朝高値を基準として高値形成期は22日早朝から24日早朝にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとするが、21日朝安値を割り込む場合は弱気サイクル入りとみて23日朝から27日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、7月10日深夜以降がやや右肩上がりのボックス型持ち合いでの騰落となっているため、遅行スパン及び先行スパンが実線との交錯を繰り返しているので方向性に乏しい。このため、7月20日午前高値超えからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、21日朝安値割れからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数も相場が膠着状態のために50ポイントを挟んだ小動きにとどまっている。60ポイントを超えるところからは上昇感が強まると思われるが、40ポイント割れからは下げ再開へ進みやすくなると考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月21日朝安値15.56円を下値支持線、20日午前高値15.66円を上値抵抗線とする。
(2)15.56円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.66円超えからは15.70円を目指す上昇を想定する。15.68円以上は反落注意とするが、15.60円以上での推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)15.56円を割り込む場合は下げ再開を警戒して18日早朝安値15.53円試しとする。15.53円を割り込む場合は7月10日深夜以降の安値を結ぶ下値支持線からの転落となるため当面の下値目途を15.50円前後とし、先行きは15.40円台中後半を目指す下落へ向かう流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

7月23日
 16:00 7月消費者信頼感指数 (6月 62.6、予想 66.0)
 20:00 トルコ中銀政策金利発表 (現行 8.25%、予想 8.25%)
7月27日
 16:00 7月製造業景況感 (6月 92.6)
 16:00 7月設備稼働率 (6月 66.0%)
7月29日
 16:00 6月貿易収支 (5月 -34.2億ドル、予想 -34.2億ドル)
 16:30 トルコ中銀インフレレポート
 17:00 6月観光客数 前年比 (5月 -99.3%)
 20:00 トルコ中銀MPC議事要旨
7月30日
 16:00 7月経済信頼感指数 (6月 73.5)

注:ポイント要約は編集部

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