7月10日夜安値以降はドル円と同調したやや右肩上がりのボックス型持ち合い
〇トルコ円、7/20午前15.66まで上昇も7/21早朝15.60まで下落
〇トルコ株式市場は堅調推移、世界的な持ち直しの動きに乗じ3月暴落による下げ幅の大半を解消
〇トルコ円はこのところドル円次第、ドル円が107円割れするとトルコ円も15.50台序盤を試しにかかるか
〇15.56以上の推移は上昇余地あり、15.66超えから15.70を目指す上昇を想定。15.68以上は反落注意。
〇15.56以下は下げ再開を警戒。15.53以下は下値目途15.50前後とし15.40台中後半を目指す下落へ
【概況】
トルコリラ円はドル円と同調した動きが続いている。7月10日深夜にドル円の下落と同調して15.51円まで下落、7月14日午前には15.62円まで戻し、15日夜は再びドル円の下落により15.53円まで下げたが7月10日深夜安値割れは回避し、17日早朝に15.64円まで戻してから週末の18日早朝には15.53円まで下落して先週を終えた。7月10日深夜から15日夜、18日早朝と安値はやや切り上がり、戻り高値も14日午前から17日早朝へ若干切り上げており、下値支持線も上値抵抗線も若干切り上がるボックス型の持ち合い相場で往来を繰り返した。
週明けの7月20日は午前にドル円が107.51円まで上昇する場面で15.66円まで上昇して17日早朝高値をわずかに上抜いたがその後は新たな高値更新へ進めずに21日早朝には15.60円までいったん下落している。
【ドル円の持ち合い下放れ警戒、円高へ傾斜しやすい環境か】
対ドルでのトルコリラの動きは当局による取引規制等を反映して6月後半からは6.85リラを中心とした小動きが続いており、7月3日に一時的なフラッシュクラッシュ型の下落が発生したものの早々に元の水準へ回帰し、それ以降も6.85リラ中心の動きが続いている。
週明けの7月20日も6.864リラから6.847リラの範囲で、取引終了時は6.856リラとなり先週末終値6.858からわずかに上昇したに過ぎない状況にとどまっている。
7月23日夜にトルコ中銀の金融政策決定会合があるが、トルコ中銀は6月会合ではそれまで9会合連続で実施してきた利下げを見送ったため、今回の会合でも現行の週間レポレート8.25%のままで据え置くのではないかと予想されている。予想外に利下げが行われる場合は市場にはサプライズとなるために7月3日のようなフラッシュクラッシュ的な下落が発生する可能性もあると注意するが、予想通りの据え置きなら市場の反応もかなり限定的なものになると思われる。
トルコ株式市場は堅調推移であり、7月20日は前日比0.42%高と上昇した。高値では1万19747ポイントを付けて7月8日の戻り高値1万20203ポイント以来の高値水準となっている。コロナショックにより3月には世界連鎖株暴落が発生してイスタンブール100株価指数も1月20日天井1万24536ポイントから3月16日安値81936ポイントまで大幅下落したが、その後は米国株の反騰に先導された世界的な持ち直しの動きに乗じて3月暴落による下げ幅の大半を解消している。トルコ株式市場の堅調推移はトルコリラにはプラスだが、感染拡大問題が再び深刻化して3月のような世界連鎖暴落が発生すると新興国通貨売りも再燃してトルコリラも現状の膠着状態を維持できずに下落再開となる可能性もあると注意したい。
【当面はドル円次第】
7月10日深夜安値以降のボックス型持ち合いによる騰落はほぼドル円の騰落と同調している。
株式市場が堅調であるにもかかわらず、株高=円安という基本的な反応は見られず、株高=リスク選好でのユーロ等投機通貨買い=ドル安円高という図式となっている。このため本来の株高円安的な動きと株高ドル安によるドル円における円高ドル安の動きによる強弱が交錯する形となり、狭い範囲での持ち合い型の騰落が続いている。
7月20日午前は輸入企業等のドル買いにより107.51円まで上昇して7月10日深夜安値106.62円以降の戻り高値をわずかに切り上げたがその後は伸びなかった。循環的な騰落の範囲から抜けないうちは107.50円前後では戻り売りにつかまり、106円台後半では買い戻しが入るような展開となり、その動きを見ながらトルコリラ円も同調した動きでの騰落を繰り返すということになりそうだ。
このため、ドル円が7月20日午前高値からやや失速気味のため、トルコリラ円も7月20日午前高値をドル円と共に上抜き返せないうちは持ち合い相場の下限を再び試しにかかる可能性があり、ドル円が107円割れへ下げるところではトルコリラ円も15.50円台序盤を試しにかかるのではないかと思われる。
【トルコの感染拡大抑制続く】
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は続いているがトルコは感染拡大を抑制している。7月20日時点でのトルコにおける新規感染者数は前日から931人増えて22万0572人、死者は17人増えて5508人となったが、7月14日以降7日連続で千人を切っている。6月からの経済活動再開により6月15日に1592人増へ増えたが、その後は漸減傾向で千人以下で抑制の効いた状況にある。トルコの人口は8700万人で日本より若干少ない程度だが、医療崩壊にも至らず、経済活動再開を徐々に進めて観光も再開する中でも感染増加ペースを抑えている。7月20日もPCR検査は4万3404人に実施され、現在までの回復者は20万3002人となっている。
今後のトルコ経済指標が改善傾向を顕著にすれば、感染拡大を抑制しながら経済復興を進めるモデルケースとなるだろう。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月20日午前の上昇で17日早朝高値を上抜いたため、7月18日早朝安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。17日早朝高値を基準として高値形成期は22日早朝から24日早朝にかけての間と想定されるが、18日早朝安値を割り込まずに20日午前高値を上抜く場合は、直近のサイクルトップを20日午前高値と改めて高値形成期が23日午前から27日午前にかけての間へ延長される可能性がある。ただし、18日早朝安値を割り込む場合は23日朝から25日朝にかけての間への下落期入りと想定する。
60分足の一目均衡表では、7月10日深夜以降がやや右肩上がりのボックス型持ち合いでの騰落となっているため、遅行スパン及び先行スパンが実線との交錯を繰り返しているため方向性に乏しい。このため、7月20日午前高値超えからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、21日朝安値割れからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月17日早朝高値から20日午前高値への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるため、60ポイント以上へ切り返すところからは上昇再開とするが50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは下げ再開へ進みやすくなると考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月21日15.56円を下値支持線、20日午前高値15.66円を上値抵抗線とする。
(2)15.56円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.66円超えからは15.70円を目指す上昇を想定する。15.68円以上は反落注意とするが、15.60円以上での推移なら22日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)15.56円を割り込む場合は下げ再開を警戒して18日早朝安値15.53円試しとする。15.53円を割り込む場合は7月10日深夜以降の安値を結ぶ下値支持線からの転落となるため当面の下値目途を15.50円前後とし、先行きは15.40円台中後半を目指す下落へ向かう流れと考える。
【当面の主な経済指標等の予定】
7月23日
16:00 7月消費者信頼感指数 (6月 62.6、予想 66.0)
20:00 トルコ中銀政策金利発表 (現行 8.25%、予想 8.25%)
7月27日
16:00 7月製造業景況感 (6月 92.6)
16:00 7月設備稼働率 (6月 66.0%)
7月29日
16:00 6月貿易収支 (5月 -34.2億ドル、予想 -34.2億ドル)
16:30 トルコ中銀インフレレポート
17:00 6月観光客数 前年比 (5月 -99.3%)
20:00 トルコ中銀MPC議事要旨
7月30日
16:00 7月経済信頼感指数 (6月 73.5)
注:ポイント要約は編集部
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トルコリラ円ショートコメント
安値が15.51レベル、高値15.65レベルと、ほぼ予想のレンジ内での動きとなりました。
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