ドル円見通し 7月20日午前に107.51円まで戻したがその後は伸びず、方向感探る展開続く(20/7/21)

ドル円は週明けの7月20日午前に107.51円まで上昇、深夜には107.00円まで下落、深夜以降は107円台序盤での推移となっている。

ドル円見通し 7月20日午前に107.51円まで戻したがその後は伸びず、方向感探る展開続く(20/7/21)

7月20日午前に107.51円まで戻したがその後は伸びず、方向感探る展開続く

〇ドル円7/20午前107.51へ上昇、7/14夜高値107.42を上抜くも失速、20日深夜に107.00まで下落
〇新型コロナ感染拡大による先行き不安続くが株式市場は楽観的
〇米国は中国に対し禁輸対象拡大、米中対立深まる
〇107円以上で上昇余地あり、107.51超えで107.70台への上昇を想定。
〇107円割れからは下げ再開、106.60台への下落を想定。

【概況】

ドル円は週明けの7月20日午前に107.51円まで上昇して7月14日夜高値107.42円を上抜いたものの、その後は失速して20日深夜には107.00円まで下落、深夜以降は107円台序盤での推移となっている。7月20日午前の上昇は本邦輸入企業等の実需筋のドル買いが普段よりも多かったことでの上昇とされるが、買い一巡後は手掛かりにかけて伸び悩み、その後はドルストレートにおけるユーロやポンド等の上昇によるドル安感が波及して深夜には107.00円まで下げた。107円を割り込むほどの勢いではなかったために深夜以降は下げ渋っているが、107.50円をいったん超えたものの続伸のきっかけにできなかったために、方向感が定まらない印象がかえって強まったようにも思われる。

先週のドル円は7月15日深夜に106.64円まで下げたが7月10日深夜安値106.62円割れを回避し、7月17日未明高値で107.40円まで戻したものの7月14日夜高値107.42円を超えずに失速して106.90円まで下げて週を終えた。7月1日高値108.16円から下落に転じた流れは、7月10日深夜と7月15日深夜の両安値をダブルボトムとしてひとまず落ち着いているが、7月2日から8日までは107.50円を挟んだややレンジ拡張型の持ち合い、その後は107.00円を中心に前後凡そ50銭規模での持ち合いという様相であり、上値も重く決め手に欠いている印象だ。株高基調の継続によるリスク選好は円安反応を招きやすいものだが、リスク選好によるユーロ等の上昇がドル安感を強めていること、米長期債利回りの低下傾向が続いていることがドル円の上値を抑えているようだ。

【株高、ドル安基調は継続】

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は続いており、7月19日時点の世界感染者は1464万人台に到達して死者も60万人を超えた。米国では連日にわたって5万人増から7万人増規模での増加が続いており感染者累計は389万人を超えた。2位のブラジルも209万人台に入り、ロシアを抜いて3位となったインドも111万人台へ拡大している。米国では最大感染地だったNY州の感染拡大は抑制されているもののフロリダ、テキサス、カリフォルニア、アリゾナ等の感染爆発は続いている。ブラジル以外の南米、中東、南ア等も深刻な状況だ。 

感染拡大による先行き不安は続いているものの株式市場はまだ楽観的であり、現状を景気の底として復興期待も続いている。7月20日のNYダウは前日比8.92ドル高にとどまったものの、ハイテク株中心のナスダック総合指数は前日比263.90ポイント高と大幅上昇して終値ベースの史上最高値を6営業日ぶりに更新した。
米連銀により利下げと大規模な量的緩和や米政府による景気対策期待が株高基調を継続させている。米トランプ政権と与党共和党執行部は7月20日に失業給付や追加景気対策等で総額1兆ドル規模のコロナ対策案を協議し始めたと報じられている。

EUは7月17日からコロナ対策としての総額7500億ユーロ復興基金創設を巡って首脳会議を開催しているが、7月20日も当初予定を延長して協議を継続している。オランダ等の反対もあり協議は難航しているものの、ECBのデギンドス副総裁は7月17日に復興基金については7月末までに合意に達するだろうとの見通しを示しており、市場も最終的には合意に達すると見込んでいる。
原案では、欧州委員会が市場で借り入れる7500億ユーロのうち、5000億ユーロを返済不要の補助金とし、2500億ユーロを融資で加盟各国に供給するという。補助金と融資の比率を巡っての妥協はあったとしても最終的には大規模な復興基金創設を実現するとすれば金融市場全般のリスク選好性を高めると思われる。
ユーロは対ドルでの上昇基調を継続しており、ポンドも反発してきているが、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は7月20日に95.73まで下落して6月10日に付けた3月20日以降の安値95.71を割り込みつつある。ナスダックを先頭とした株高とEUの復興基金への期待等による株高ドル安がドル円にとっては上値を抑える重石となっている。

【米中対立に英中対立も】

米中対立もドル円にはやはり重石と思われる。米国は7月20日に中国ウイグル人権問題により中国の11企業を禁輸対象に追加した。ウイグル問題に関する禁輸制裁は昨年10月から始まっており、今年5月に拡大してきた。中国通信機器大手ファーウェイも既に対象とされてきた。今回の米国による禁輸対象拡大により米国の同盟国も対応を迫られる可能性がある。
米中関係は年初に通商協議の第一段階合意により雪解けムードとなっていたが、新型コロナウイルスの感染源問題、香港への国家安全法導入から対立が再び深刻化し始めている。香港問題では、7月20日に英国が香港との間で結ばれている犯罪人引渡し条約の停止を発表した。英国は次世代通信規格「5G」通信網からのファーウェイ排除も決定しており、米国と共に中国との対立が深まっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月10日深夜と7月15日深夜の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。ダブルボトムの中間となる7月14日夜高値を基準とすれば今回のトップ形成期は17日夜から21日夜にかけての間と想定されるので既に7月20日午前高値でサイクルトップを付けた可能性がある。このため、107円割れからは弱気サイクル入りとして22日深夜にかけての間への下落を想定するが、7月15日深夜安値の後は7月18日早朝安値へ底上げしているため、7月15日午前高値を超える一段高へ進む場合は新たな強気サイクル入りとなる可能性も検討される。

60分足の一目均衡表では107円を中心に前後凡そ50銭規模での持ち合い相場のため、遅行スパン及び先行スパンが実線と交錯を繰り返しており方向感に欠ける。7月20日午前高値超えからは一段高へ進むとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、107円割れからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月17日未明高値から20日午前高値への上昇に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行型となっている。このため、60ポイントを超える場合は上昇再開とみるが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは下げ再開と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.00円を下値支持線、7月20日午前高値107.51円を上値抵抗線とする。
(2)107円以上での推移中は上昇余地ありとし、107.51円を超える場合は107.70円台への上昇を想定する。107.75円以上は反落注意とするが、107.25円以上での推移なら22日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)107円割れからは下げ再開と仮定して106.60円台への下落を想定する。106.60円台は買い戻しも入りやすいとみるが、107円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/21(火)
10:30 (豪) 豪準備銀行、金融政策会合議事要旨公表
11:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演

7/22(水)
22:00 (米) 5月 住宅価格指数 前月比 (4月 0.2%、予想 0.3%)
23:00 (米) 6月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (5月 391万件、予想 480万件)
23:00 (米) 6月 中古住宅販売件数 前月比 (5月 -9.7%、予想 22.8%)

7/23(木)
休場、日本
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 3.75%)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 -9.6)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.25%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 130.0万件、予想 128.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1733.8万人、予想 1710.0万人)
23:00 (米) 6月 景気先行指数 前月比 (5月 2.8%、予想 2.1%)
23:00 (欧) 7月 消費者信頼感速報 (6月 -14.7、予想 -12.0)

注:ポイント要約は編集部

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