コロナ治療薬の期待も話題に、続報など注意
〇ドル円、106.75-95でほぼ横ばい
〇全世界のコロナ新規感染者数24時間で23万超と過去最を記録するも、治療薬開発期待が勝る
〇米USTRが化粧品など輸入品への追加課税など「米欧の対立」も激化
〇107.20を超えれば移動平均90日線が位置する107.60-70がターゲット
〇テクニカルポイント106.55を下回れば最終的なターゲットは6月安値の106.08
〇欧米時間のドル円予想レンジ106.60-107.50
<< 東京市場の動き >>
週明け13日の東京市場は、ほぼ横這い。106円台後半の20ポイントにも満たないレンジ取引で、方向性は乏しかった。
先週末は、「スペイン、カタルーニャで周辺住民20万人に外出禁止措置」といった報道が観測されるなど新型コロナの第2波懸念が引き続き話題となるなか、治療薬についての光明も一部で取り沙汰されていた。
そうした状況を踏まえ取引が開始したドル/円は前週末のNYクローズよりも若干ドル安・円高の106.80-85円でオープン。しかし、積極的な動意に欠け、106.75-95円といった20ポイントにもとどかないレンジ取引に終始している。日経平均株価は終値ベース493円高となり大幅高で引けたものの、為替市場への影響は結局限定的。16時現在でドルは106.90-95円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ治療薬」と「米中の対立」について。
前者は、WHOが12日、全世界の新型コロナウイルスの新規感染者数について「過去24時間で23万超となり、過去最多を更新した」と発表するなど、依然猛威はとどまることがない。ただ、米バイオ医薬品メーカーのギリアドが、治療薬として期待されているレムデシビルについて、「コロナ死亡率を62%下げる可能性」と発表したことが話題となっていた。また、別に米紙WSJも、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックが共同開発する新型ワクチンが、「年末までに承認申請に向けた準備が整う見通し」と報じ、こちらについても期待を抱く向きが少なくなかったという。
対して後者は、先週末に中国の王外相から「米中関係は最悪だが、難題を棚上げし対話を」との発言が聞かれるなど、関係改善への一歩を踏み出す期待が取り沙汰されるなか、中国外務省は、米国による新疆ウイグル自治区をめぐる制裁措置について「重大な内政干渉」と非難したうえで、米制裁への対抗措置を講じる方針を表明した。元の木阿弥になった感も。そうしたなか、FOXニュースは、クドロー米NEC委員長がインタビューで、「中国への投資は賢明ではない」と米投資家に忠告したと報じている。
<< 欧米市場の見通し >>
先のWHO発表だけでなく、東京の新規コロナ感染者が9日から12日まで連日200人超となるなど、日本において再び危機感を醸す状況となっている。一方、米国も状況はあまり変わらないが、トランプ大統領は学校や大学の再開に向け圧力を強める姿勢を堅持するなど経済活動停止といった措置をすぐにでもとることは考えにくい。ただ、そのトランプ氏、かつては「マスク嫌い」として知られていたが、先日、初のマスク姿で登場し、マスク使用の啓蒙に一役買っていた。これで、感染が少しでも収まってくれれば、などといった願いの声も聞かれている。
材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「雇用を含めた米ファンダメンタルズ」など注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。また、それ以外では前者の陰で密かに「米欧の対立」も激しさを増しつつあることが気掛かり。たとえば、先週末に米USTRが化粧品など輸入品13億ドル分に25%の追加課税を科す「仏デジタル税報復課税」を発表している。追加や関連情報などに引き続き要注意か。
テクニカルに見た場合、ドルは先週末に106.64円まで値を下げ、6月26日安値の106.80円を下回ったが、下値も堅い。本日東京時間にドル安値を更新することはできなかった。市場ではザックリ言って107円±50銭、つまり106.50-107.50円を基準とした一進一退をしばらくたどるといった予想をする向きも少なくないようだ。
本日は、6月の財政収支といった米経済指標が発表される予定となっているが、市場の関心はそれほど高くなく、基本はノーインパクトか。ただ、ウィリアムズNY連銀総裁による講演など、要人の発言機会がいくつか観測されていることで、その発言内容には注意を払いたい。また、米国だけでなく英国そして欧州情勢にも要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは106.60-107.50円。上方向は、移動平均の21日線が位置する107.20円前後をめぐる攻防にまずは注目。超えれば、同90日線が位置する107.60-70円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末に記録したドル安値106.64円が最初のサポート。またフィボナッチでは、その少し下106.55円レベルがテクニカルポイントとなる。それらを下回った最終的なターゲットは6月安値の106.08円か。
オーダー/ポジション状況
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