ドル円、安値圏から持ち直す展開。新型コロナワクチン開発への期待感が支援材料
〇ドル円アジア時間の安値106.79から反発、107円台を回復
〇ワクチン開発への期待感、株高等によるリスク選好が背景
〇ユーロドルは、約1ヵ月ぶり高値1.1375まで上昇
〇ドル円、テクニカルファンダメンタルズとも上値の重さ警戒される
〇本日の予想レンジ106.80ー107.60
海外時間の為替概況
週明け13日(月)の外国為替市場でドル円は下落後に上昇。@新型コロナ感染拡大を巡る警戒感の高まりや、Aトランプ米大統領の進退を巡る不確実性の高まり(米連邦最高裁判所は先週、トランプ米大統領の財務記録の開示を命ずる判断を下した)、B米長期金利低下を受けたドル売り圧力が重石となり、アジア時間朝方には一時106.79まで下げ幅を広げる場面も見られました。しかし、先週末金曜日に記録した安値106.65をバックに下げ渋ると、C新型コロナワクチン開発への期待感(米ファイザーとドイツのバイオNテックが共同開発するワクチン候補が次の段階の臨床試験入り)や、D株高・原油高を背景としたリスク選好の円売り圧力(クロス円上昇→ドル円連れ高)が支援材料となり、米国時間引けにかけては、高値107.32まで上値を伸ばしました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、107.28近辺で推移しております。尚、昨日発表された米6月財政収支(結果▲8641億ドル、予想▲8630億ドル)は赤字幅が過去最大を記録しました(新型コロナ対策に伴う歳出増加と、景気後退入り及び確定申告時期延期を背景とした歳入減少が要因)。
13日(月)のユーロドル相場は堅調な展開。@米長期金利低下に伴うドル売り圧力や、A新型コロナワクチン開発への期待感、B株高・原油高を背景としたリスク選好のドル売り圧力、C新型コロナ復興基金への期待感(7/17−7/18に予定されているEU首脳会合で協議)、Dドイツ6月卸売物価指数(結果+0.6%、前回▲0.6%)の伸び率高進が支援材料となり、米国時間には、約1ヵ月ぶり高値となる1.1375まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点では(日本時間4時45分現在)では、1.1350近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、7/1に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、7/10には一時106.65(6/24以来の安値)まで下落しました。108円台での滞空時間は極めて短く(108円台での滞在時間は僅か100分程度。200日移動平均線をバックに戻り売り圧力が根強い展開)、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(一目均衡表雲下限を割り込んだことで、強い売りシグナルを表す三役逆転が成立中)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新型コロナ感染再拡大→米経済の先行き不透明感)、B米中対立激化懸念(全人代は6/30、香港国家安全維持法案を可決。米上院は7/2、中国に制裁を科す香港自治法案を全会一致で可決。トランプ米大統領はファーウェイなど中国5社の製品を使った企業の物やサービスの発注を禁止する規制を完成させる予定)、C世界的な貿易戦争拡大リスク、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナ第2波リスク(外出規制再開への警戒感)、F日本経済の先行き不透明感(日本経済の低迷→インフレ鈍化→実質金利上昇→円高への波及経路)など、ドル円相場の下落を想起させる不安材料が山積みの状態です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます。新型コロナ第2波リスクに絡む続報や、米中対立激化に関するヘッドライン、株式市場や原油先物価格の動向、米主要経済指標の結果(米6月消費者物価指数)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(強い売りシグナルを表す三役逆転の成立に加えて、新型コロナ第2波リスクや米中対立激化等の不確実性が相場の重石)。
本日の予想レンジ:106.80ー107.60
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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