引き続きもみあいも抜けるなら下か
〇ユーロドル先週は好悪材料に日替わりで上下、結局1.12-1.13で横方向の推移
〇今週のメインテーマはEUサミットでの復興基金議論、スペインでのロックダウン再開の動きも要注意
〇材料、ポジション的には下げの時の影響が大きそう
〇今週も1.1180レベルサポート、1.1320レベルレジスタンスの横方向の動きを想定
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、全く材料が無かったわけでは無いものの、好材料も悪材料もあり方向感を見出すには材料不足という状態が続きました。値動きもそれなりにあった気はするものの週間レンジは117pipsと狭い値幅に留まったと言ってよいでしょう。ほぼ日替わりで上下したことから延べの道中はそれなりの値幅になったに過ぎません。振り返ると1.12と1.13に挟まれての横方向での動きです。
今週も予定を見てわかる通り、第2週のイベントが少ない時期です。大きなテーマとしては協議が継続しているEUと英国の間での移行期間後の協議ですが、これは目の前の材料ではありません。また7月は17・18日にEUサミットが開催されますが、当日までに事務レベルで復興基金の合意を得るための根回しが出来るかどうか、こちらは今週後半から来週前半にかけて何らかの動きは見えてくるでしょうから、目の前の材料として一番大きなものは復興基金がサミットで合意できるかどうかがひとつです。
現時点では、オランダ、オーストリア、デンマーク、スウェーデンの4か国に加えフィンランドも反対の立場です。復興基金の実現には全会一致での合意が必要となりますが、1日時点でメルケル首相がEU内での隔たりが大きいと述べています。北欧を中心に財政規律に厳しい国にとって南欧ばかり利益となる今回の復興基金には簡単には賛成できないのも当然です。
試算によると被害が大きかったイタリアとスペインへの配分で4割を超えますが、両国がEUに拠出している金額ははるかに少ない金額です。いっぽうで、収支的に最大の拠出は当然ドイツで大幅な持ち出しとなりますが、ドイツ以外では上記5か国とフランス、ベルギー等一部の国が持ち出しとなり、果たしてサミットまでに説得できるのかどうか、もし説得できずに廃案にでもなったら一気に悪材料と化す恐れがあります。
そして、直近でもうひとつ気になったのが経済活動再開とともに各国で新型コロナ感染者が再び増加していますが、バルセロナを抱えるスペイン・カタルーニャ州の一部で4日に再びロックダウンが宣言されました。既に人の移動も以前よりは増えている状態の中で、このロックダウンあるいは規制強化の動きが他地域に広がらないか、今週以降は要チェックとなってくるでしょう。
材料的には上記程度ですが、金曜のNY引け時点で発表されてシカゴ通貨先物のポジションではユーロ買いが微増し、かなりの高水準のユーロ買いが続いています。こうしたポジションの調整が重なってくると、これまでのユーロの横方向の動きから下げる動きに繋がってくる可能性も考えないといけません。テクニカルにはどうか、日足チャートを見てみましょう。
横方向の動きながらも、徐々に収束して値幅を狭めてきていますが、さすがにピンクのラインで示したトライアングルでは値幅が狭すぎますし、このトライアングルを抜けてもここ最近のレンジを抜けるほどの動きには繋がらないでしょう。これまで同様のレンジでのもみあいを考えながら、材料やポジション面では下げる時の方が影響は大きいというイメージで見ていればよいでしょう。
今週も横方向への動きを想定し、先週同様に1.1180レベルをサポートに1.1320レベルをレジスタンスとする週を見ておくことにします。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見てみましょう。
6月安値からはピンクの上昇チャンネルで示した中で緩やかな上昇トレンドとなっていますが、今週のユーロドルの見通し、ならびにドル円週報と合わせて考えるとそろそろ横方向の動き、あるいは調整で下げる動きが出てきてもおかしくないというのが材料面で言えることです。
テクニカルには6月高値と6月安値の半値戻し121.87が現在の上昇の限界点に近いと見ていますが、現時点の水準はあと30銭程度へと近づいています。ユーロ円の反転がユーロドルの下げに繋がるか、あるいはユーロドルが下げてユーロ円も下げるのか、そろそろ変化が出てきそうな印象です。
今週の予定
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月29日(月)
ユーロドルは、東京市場から底堅い展開となり金曜高値を上抜けてからユーロ円の買いも手伝って一段高、欧州市場でユーロドルは1.1288レベルの高値をつけました。NY市場ではドル円同様にドル買いの動きとなったことからユーロドルは東京前場水準へと押し、引けにかけては若干戻して引けました。
6月30日(火)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤に英国GDPが下方修正されたことからポンドとともにユーロも売りが先行しました。NY市場朝方まではユーロ売りが続き一時1.1191レベルの安値をつけましたが、ジョンソン英首相がコロナ対策で追加の対策を行うと述べたことから、それまでの売りが買いへと反転、NY昼前には1.1262レベルの高値をつけ、引けにかけてはやや押して引けました。
7月1日(水)
ユーロドルは、東京市場では細かい上下はあったものの方向感がはっきりしない流れのまま欧州市場入り。システムトラブルで停止していたDAXが再開とともに下げ、ユーロは対ドル対円とも下落しましたが、直接のきっかけは香港での国家安全法施行後いきなり逮捕者が出たことによる主要株価指数全面安でした。その後、ユーロドルは直近安値を下抜け1.1185レベルまで水準を下げましたが、日計りで売り込んだ向きの買い戻しが出てNY市場では反転上昇、1.1275レベルの高値をつけ1.12台半ばでの引けとなりました。
7月2日(木)
ユーロドルは東京後場以降じり高の展開となり、欧州株の強さもあり前日高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込んで一時1.13台乗せを見ました。その後は米国雇用統計を控えて1.12台後半で底堅い推移でNY市場入り。強い雇用統計に対ユーロでドル買いが目立ち、それまでのユーロ買いの調整も加わって1.1222レベルまで反落後にやや戻して引けました。
7月3日(金)
ユーロドルもドル円よりは動いたとは言え1.12台前半で32pipsレンジに留まり終日もみあい。方向感はまったく見られず1.12台半ばを中心として1.12レベルは買い、1.13レベルを売りというレンジ相場のまま週末を迎えました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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