コロナ感染第2波など警戒しつつ方向性探る(週報7月第1週)

先週のドル/円相場は、ややドル高。1日には6月9日以来となる108円台を回復する局面も観測されたが、続かなかった。

コロナ感染第2波など警戒しつつ方向性探る(週報7月第1週)

コロナ感染第2波など警戒しつつ方向性探る

〇先週のドル円はややドル高、途中108円台を回復するも続かず
〇一方で下値も堅く107円台半ばで越週
〇今週も「米中対立」と「新型コロナの第2波」警戒がテーマか
〇今週のドル円予想レンジ106.50-108.80

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ややドル高。1日には6月9日以来となる108円台を回復する局面も観測されたが、続かなかった。

米ジョンズ・ホプキンス大学の調査で、新型コロナの世界感染者が1000万人、死者数は50万人を突破した。また中国当局が、新型コロナの封じ込めを目的に「北京近郊にロックダウン(都市封鎖)を課した」ことが確認されたほか、6月28日から中国全人代常務委が始まり、「香港安全法案」の審議が行われるなど、中国絡みの話題が様々な思惑を呼んでいた。

そうしたなか、週明けのドル/円は先で取り上げた「コロナ感染者1000万人超」との報道を嫌気し、やや円高傾向の107.05-10円で寄り付いたが下値も堅い。むしろ、週の半ばにかけては「コロナ第2波」を懸念しつつも、発表された米経済指標が総じて良好だったことを好感し、逆にドル買いが先行する展開となった。1日には6月9日以来となる108円台を回復している。ただ、高値を示現したのち、週末にかけてはNYのロングウイークエンドをにらみ、調整の動きがジワリと優勢に。107円台へと押し戻されると、週末NYは107円半ばで取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「米ファンダメンタルズと新型コロナ第2波懸念」について。

前者は、6月30日が最終日だった中国全人代常務委において、「『香港国家安全法制』が可決」されるとともに、即日実施されたことが判明。「一国二制度」が事実上崩壊した。いわゆる香港問題やウイグル、南シナ海などをめぐり米中の対立がさらに深まるなか、中国はそれ以外の国とも小競り合いを繰り返していることが改めて示された。一例を挙げると、日本に対しては「たび重なる尖閣諸島周辺での領海侵犯」。またインドには、「中国製の携帯端末用アプリを使用禁止の撤回を要求」、英国には「香港国家安全維持法をめぐり、英国は中国内政に乱暴に干渉している」などと強烈な不満を伝えていたほか、カナダや豪州とも対立を深めていたという。

対して後者は、カリフォルニア州の「ディズニーランド再開延期」や、「テキサス州で経済活動を一時停止」といった措置に続き、フロリダ州でもバーの営業停止やレストランの入店制限強化などが新たに示されるなど、「新型コロナの第2波」懸念が広がり、米経済活動の停滞を危惧する声も。ただ、実際に発表される米経済指標は総じて良好なものが多く、週間を通してドルの買い要因に。たとえば、結果として反応はいまひとつだったものの、2日に発表された米雇用統計は、非農業部門雇用者数が事前予想プラス300万人に対して同480万人。失業率は予想12.5%に対して11.1%と、ともに大幅な改善を示していた。

<< 今週の見通し >>

東京における新型コロナの感染者も、この週末5日にかけ4日続けての「100人超」となった。「感染第2波」への懸念は決して他人事ではない。しかし、金融市場の関心が高いのはやはり米国情勢について。ただ、国のトップであるトランプ米大統領自身に危機感が乏しいことは若干気掛かりだ。実際、3日夜に「独立記念日」を祝う花火大会が「鶴の一声」で強行されただけでなく、参加者同士が密集するなか、「大統領をはじめ関係者の多くはマスクをしていなかった」(ロイター通信)という。まだ被害が確認されたわけではないとはいえ、クラスター発生は不可避であるような気がする。

材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「米ファンダメンタルズ」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒だろう。うち、前者については、あとはトランプ氏が署名するだけとなっている「香港自治法案」をめぐる動きに注目で、仮に成立すれば米中関係のさらなる悪化は避けられそうにない。また、先でも指摘したように、中国の動きが先鋭化しており、米国以外でもあちこちで対立構造を強めている状況にも注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週一時108円台を回復するも定着できず。そのため、先週もレポートした「6月高値109.85円を中心としたシンメトリー(左右対称形)形成」−−が、まだ続いていることが確認された格好だ。今後も、「シンメトリー形成」の動きが継続するならば最終的にはドル高だが、もうしばらくのあいだ107-108円を中心とした揉み合いをたどる公算が大きいことになる。

今週は、6月のISM非製造業景況指数や、同生産者物価指数といった米経済指標発表が相次ぐ予定となっている。前段で取り上げように、米雇用統計をはじめここ最近は発表される内容が良好である指標が多いだけに、今週発表の指標についても期待感が強いようだ。好数字が続けば、引き続きドルの買い要因として寄与する可能性もある。
なお、それらとは別に8日に「金日成主席死去から26年」にあたる記念日を迎えるため、前後における北朝鮮情勢を警戒する声も少なくない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.50-108.80円。ドル高・円安については、まず先週高値の108.16円をめぐる攻防に注目。上抜ければ、移動平均の200日線などが位置する108.40円レベル、109手前などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値の107.05円や106.80円などが目先のサポート。割り込めば直近安値の106.08円がターゲットに。

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