米経済指標を注視、ドルや株価の動き左右も(7/1夕)

1日の東京市場は、ドルが冴えない。一時6月9日以来の108円台を回復する局面が観測されたものの、ドル高傾向は続かず。その後はむしろ、ドル売りが優勢だった。

米経済指標を注視、ドルや株価の動き左右も(7/1夕)

米経済指標を注視、ドルや株価の動き左右も

〇ドル円一時6/9以来の108円台を回復するもその後は反転しドル売り優勢に
〇「香港国家安全法制」可決に各国から懸念の声相次ぎ米中対立激化懸念も
〇新型コロナ「第2波」は依然警戒、今週末の「米独立記念日」後の米国情勢にも注意
〇ドル円は108円台のせで基本的なリスクは上方向にバイアス
〇欧米時間のドル円予想レンジ107.20-108.20

<< 東京市場の動き >>

1日の東京市場は、ドルが冴えない。一時6月9日以来の108円台を回復する局面が観測されたものの、ドル高傾向は続かず。その後はむしろ、ドル売りが優勢だった。

ドル/円は107.90-95円で寄り付いたのち、ドル買いが先行。前日越えられなかった108円の壁を超えると、日中高値である108.15-20円まで上昇している。しかし、ドル高の動きは続かず、買い一巡後は反落に転じると「行って来い」に。むしろ上昇した分の反動をつける格好で、107円半ばまで大きく値を崩していた。16時現在では107.70円前後で推移、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「米中の対立」と「英国情勢」について。
前者は、昨日東京時間に明らかとなった「中国全人代常務委が『香港国家安全法制』を可決」について、即日実施されたことが改めて示され、「一国二制度」が事実上崩壊した。そうしたなか、日米欧や台湾などから懸念や非難の声が相次ぐ。たとえば、日本では河野防衛相が「習国家主席の国賓来日に重大な影響も」、米国務長官は「中国の行動は世界が無視できない」と発言していた。しかし中国外務省は、それぞれの懸念などを一蹴。「国内問題で内政干渉」とし、強く反発している。
対して後者は、注目されていた演説でジョンソン首相が、過去300年で最悪のリセッションに陥っている英経済を立て直す方策としてインフラ投資計画を打ち出したものの、それほど新味なし。昨年12月の英総選挙での公約を中心とした内容にとどまっている。ただ、それ以外でも「若年層などのコロナ感染急増で英中部レスターが都市封鎖へ」との報道、ロイターは松浦主席交渉官が「7月末の日英通商交渉妥結を目指すと強調」と報じ、一部で話題となっていた。

<< 欧米市場の見通し >>

各国で新型コロナの感染「第2波」への懸念が高まっており、もちろん米国も例外ではないのだが、株価や為替といった金融市場の動きをみると、全般的には楽観的に捉えている向きが多いのかもしれない。しかし、だからこそ今週末の「米独立記念日」というイベントを経たのちの米国情勢も気になるところだ。なお、本日東京でドルは小反落に転じているが、一時的とはいえ108円台を回復したこともあり、基本的なリスクは上向きか。ドルの再上昇にも注意を払いたい。
材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「雇用を含めた米ファンダメンタルズ」など注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。また、今週は連日重要な米経済指標の発表が相次ぐが、本日も6月のADP雇用統計などが発表される見込みで、そちらが警戒されていた。ちなみに、5月の同指標はマイナス276万人だったが、今回はなんとプラス285万人と大幅な改善を示すとの見方が有力だ。

テクニカルに見た場合、本日東京で6月9日以来の108円台を回復してきた。過去2週間程度ドルの上値を阻んできた抵抗107.63円に続き、上方向の抵抗を幾つも上回ってきたことになる。そののちドルが反落に転じていることが、若干気掛かりだが、それでも基本的なリスクは上方向にバイアスがかかりそう。
そんなドルの次の抵抗は、移動平均の200日線も位置する108.40円レベル。再びドル高が進行した場合には、同レベルの攻防に要注意だ。

本日は、6月のADP雇用統計や同ISM製造業景況指数といった米経済指標が発表される予定となっている。また、6月9-10日開催分のFOMC議事要旨公開を注視している向きも少なくない。
そのほか、エバンス・シカゴ連銀総裁によるオンライン講演などにも一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは107.20-108.20円。上方向は、本日東京高値の108.15-20円の攻防にまずは注視。超えれば、フィボナッチでみたテクニカルポイントのほか、移動平均の200日線も位置する108.40円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日だけで少なくとも2度以上下げ止まり、本日安値も近い107円半ばが目先はなかなか強いサポートか。割り込んでも下方向のサポートは多く、ドルは底堅いイメージだ。

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(ドル円日足)

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