ドル円、約3週間ぶり高値圏から急反落。本日は米雇用統計がメインイベント
〇ドル円、高値更新後低調な日銀短観、香港情勢をめぐる不透明感等で107.36まで急落
〇その後良好な経済指標、ワクチン開発への期待感、FOMC議事録のYCC早期導入観測後退にやや持ち直す
〇ドル円は108.17から急落、108円台での滞空時間短く上値の重さ印象付ける
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも上値の重さ警戒される
〇本日の予想レンジ:107.00ー108.00
海外時間の為替概況
1日(水)の外国為替市場でドル円は高値更新後に急反落。@堅調な株式相場を背景とした投資家心理の改善期待(リスク選好の円売り)や、Aムニューシン米財務長官による「7月末までに上院と下院が協力し追加救済策を進める」との発言、B米長期金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、日本時間朝方には、6/9以来、約3週間ぶり高値となる108.17まで上昇しました。しかし、200日移動平均線をバックに戻り売りが強まると、C低調な日銀短観を受けたリスク回避ムードの再燃(日経平均株価の下げ幅拡大)や、D香港情勢を巡る米中関係の先行き不透明感、E俄かロングのロスカット(108円台での上値の重さを嫌気した見切り売り)が重石となり、米国時間朝方には一時107.36まで下落する場面も見られました。
もっとも、その後は、F良好な米経済指標(前月分が大幅に上方修正された米6月ADP雇用統計や、2019年4月以来の高水準を記録した米6月ISM製造業景況指数)や、G新型コロナワクチン開発への期待感(米ファイザーやバイオンテックが良好な治験結果を出したとの報道)、HFOMC議事要旨における「イールドカーブ・コントロールには更なる分析が必要」との見解一致(イールドカーブ・コントロールの早期導入観測が後退→ドル買い)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.47近辺まで小幅に持ち直す動きとなっております。
1日(水)のユーロドル相場は堅調な展開。@ユーロ圏製造業PMIの良好な結果や、A新型コロナワクチン開発への期待感(米ファイザーやバイオンテックが良好な治験結果を出したとの報道)、B良好な米経済指標(前月分が大幅に上方修正された米6月ADP雇用統計や、2019年4月以来の高水準を記録した米6月ISM製造業景況指数)を受けたリスク選好ムード(ドル売り)が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.1276まで急伸しました(日通し安値は欧州時間に記録した1.1185)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1257近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、日本時間朝方に記録した高値108.17(約3週間ぶり高値)をトップに反落に転じると、米国時間にかけて安値107.36まで急落しました。108円台での滞空時間は極めて短く(200日移動平均線をバックに戻り売り圧力が根強い)、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり。※昨日発表されたFOMC議事要旨でイールドカーブ・コントロールには更なる分析が必要との見解で一致)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(昨日は一部メディアより「米政府は世界規模での中国制裁を準備中」との報道あり)、
C世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交が強まる恐れあり)、D朝鮮半島や中東、中印、香港、メキシコを巡る地政学的リスク、E新型コロナの第2波リスク(カリフォルニア州は1日の新規感染者数が過去最多)、F日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、G全米各地で続く人種差別抗議デモなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が警戒されます(108円台で上値の重さを確認したことと、新型コロナ第2波リスク及び米中対立激化リスクが相場の重石)。欧米株や米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスクを巡るヘッドライン、米主要経済指標(7/3が米祝日となることから、米雇用統計は本日発表)の結果、米中対立に関する続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:107.00ー108.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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