米中要人会談注視、朝鮮半島情勢も気掛かり
〇ドル円終日107.20を挟んで小動き
〇引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒が主なテーマ、ハワイでの米中要人会談に注目
〇ドル円は107円台の狭いレンジを上下どちらに抜けていくのかがポイント
〇欧米時間のドル円予想レンジは、106.80-107.70
<< 東京市場の動き >>
17日の東京市場は、おおむね揉み合い。107円前半、30ポイントにも満たないレンジ取引で方向性は乏しかった。
ドル/円は107.35円前後で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける展開。一時、日中高値から日中安値まで、短時間のあいだにドルが急落したものの、それでも25ポイント程度の値幅にとどまっている。以降は、107.20円台を中心としたほぼ横這いとなり、16時現在では107.25-30円で推移、欧米時間を迎えていた。
なお、北朝鮮との関係悪化を嫌気した動きから、韓国ウォンが売られる局面が観測されるも続かず。ただ、ドル/ウォンは依然として1210ウォン以上のドル高値(ウォン安値)圏での推移となっている。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」と「米景気動向」について。
前者は、昨日の夕方飛び込んできた「北朝鮮が韓国との南北共同連絡事務所を爆破のもよう」とのニュースは現実で、のちに爆破された映像などもメディアで伝えられている。そんな北朝鮮に対し、米韓だけでなく中露なども行動の自制を求めるコメントを発していた。しかし、北朝鮮の対韓挑発行動はとどまることをしらず、本日になり「韓国との経済協力事業が行われていた南東部の金剛山観光地区と南西部の開城工業団地に部隊を展開する」との談話を発表したほか、金与正氏が「韓国が特使派遣するとの提案を拒否した」ことも明らかに。
対して後者は、発表される5月の小売売上高など米経済指標は好悪マチマチとなるなか、注目の議会証言でパウエルFRB議長は「回復の時期と強さは著しく不透明」としたうえで、「景気軌道に乗るまでゼロ付近の金利維持する」などと再表明していた。一方で、「米国にとってマイナス金利は魅力的ではない」といった発言も聞かれたものの、全体的なトーンはやや弱めだったと言えそうだ。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナはブラジルをはじめとする新興国で感染拡大を続けているだけでなく、米中を中心に「感染第2波」への懸念が強まってきた。ただ、それにもかかわらず、為替市場とくにドル/円の動意はそれほど活発ではない。影響力という意味では、以前に比べて落ちている感を否めないが、それでも引き続き注意を払いたい。また、別に韓国と北朝鮮の対立激化、朝鮮半島における地政学リスクの高まりも気掛かりだ。
材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「全米に広がるデモ活動」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。うち後者については、ペンス米副大統領が「第2波はこない」と改めて発言したものの、一方で週末20日に予定されていた「トランプ氏選挙集会の会場変更検討」を明らかにしており、これがコロナのクラスター対策だと言われていた。対して前者の「米中対立」は、関係改善を目指してポンペオ国務長官がハワイで中国の外交政策を統括する共産党政治局員と会談する予定との報道もあるなど、動静には大いに注目したい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は今週に入って以降まだ60ポイント強しか動いていないうえ、期間を過去1週間程度と広げても、おおよそ1円程度のレンジ取引だ。明確な方向性は乏しいと言わざるを得ない。ともかく、足もとの107円台を中心とした狭いレンジを、上下どちらに抜けていくのか、その方向性がまずは注目されている。
本日、5月の住宅着工件数といった米経済指標が発表される予定となっており、その内容には要注意。
ただ、それ以外にも材料が多く、ひとつは昨日に続き実施されるパウエルFRB議長の議会証言で、また先で取り上げた「米中要人によるハワイ会談」の行方も気掛かり。ちなみに、後者は米中関係改善を目指した内容が主題となるが、北朝鮮情勢についても話し合われる見込みだという。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.80-107.70円。直近高値にあたる107.63円が最初の抵抗。上抜ければ、移動平均の25日線などが位置する107.70-80円、そして108円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、今週安値の107円をめぐる攻防にまずは注視。割り込んだ場合には、前回安値106.58円が意識されそうだ。
(ドル円日足)
オーダー/ポジション状況
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