トルコリラ円見通し 6月8日からの大幅下落一服で15.70円を挟んだ持ち合い(20/6/16)

トルコリラ円も15.60円台ではしっかりして戻り高値を試しつつある印象だが、15.80円手前では抵抗感も見られ、下げ一服ではあるが上値も重いようだ。

トルコリラ円見通し 6月8日からの大幅下落一服で15.70円を挟んだ持ち合い(20/6/16)

トルコリラ円見通し 6月8日からの大幅下落一服で15.70円を挟んだ持ち合い

〇トルコリラ円15日深夜にかけて15.63円まで下げるも16日早朝は15.70円台回復
〇6/3以降のドル高リラ安基調は未だ継続している印象
〇感染爆発をいったん抑えたトルコでも感染者数が再び増加第二波への懸念が強まり始めている
〇トルコ円15.63割れ回避のうちは上昇余地あり、15.76超えからは15.80円台前半への上昇を想定
〇15.63割れからは下げ再開、15.50円前後試しを想定

【概況】

トルコリラ円は5月7日に付けた14.61円の史上最安値から6月3日未明高値16.23円まで反騰してきたが、6月8日からはドル円が急落に転じて対ドルでもリラ安が続いたために6月11日までは日足4日連続の陰線で下落となり、6月12日朝には15.48円まで続落した。その後は株安一服によりリスク回避感がやや後退する中でドル円が持ち直したことで12日夜に15.74円を付けて日足は5日ぶりの陽線で先週を終えた。
6月15日は深夜にかけてジリ安での推移となり15.63円まで下げたが、16日早朝は15.70円台へ戻して12日夜高値に迫っている。大幅下落一服による揺れ返しでドル円が戻り高値を試しつつある中でトルコリラ円も15.60円台ではしっかりして戻り高値を試しつつある印象だが、15.80円手前では抵抗感も見られ、下げ一服ではあるが上値も重いようだ。

ドル円は5月29日安値107.05円からの反騰で6月5日深夜高値109.84円まで上昇したところから流れが変わって先週は12日午前安値106.55円まで大幅下落となった。6月5日への上昇時は米10年債利回り上昇と株高が押し上げ要因となっていたが、6月8日からは米10年債利回りが低下に転じ、6月11日にはNYダウが大幅下落するなど世界連鎖株安が発生したことで円高が進んだ。6月12日午前安値の後は下げ一服となり、15日は株安も落ち着いたために107円台前半でしっかりし、戻り高値を切り上げつつあるところだ。先週の大幅下落に対する揺れ返し上昇に入る可能性もあるが、先週の下落が感染爆発への懸念再燃だったことを踏まえるとドル円の反騰も限定的なものに留まるのではないかと思われる。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで下落したが、新興国通貨安一服での揺れ返し上昇に入って6月3日には6.68リラまで戻した。しかしその後はドル高へ揺れ返しとなり、6月11日には欧米株急落を反映して6.85リラまで下落した。週末の12日はドル高一服だったが、週明け15日は深夜にかけてドル高リラ安となって6.86リラまでいったん下落して6月3日以降の安値を更新したが、その後は株高等によりドル高が緩んで6.82リラ台へ戻している。
6月3日以降のドル高リラ安基調はまだ継続している印象だ。新型コロナウイルスの感染拡大に対する楽観的な終息と復興期待が先週は大きく動揺したため、新興国通貨の揺れ返し上昇にもブレーキがかかり始めている。6月15日はブラジルレアルの下落が目立ったが、同国の感染拡大と同国の国庫局長辞任による政治混乱懸念等から一時は3%を超えるレアル安となっている。トルコリラはブラジルレアル等とも同調して大幅下落から戻してきたところもあるので、今後のレアル動向、新興国通貨動向に注意したい。

【経済活動再開、国境封鎖も解除だが、感染者再び増加か】

トルコ政府は6月12日にイランとの国境を除く国境封鎖を解除した。イランとの空路による飛行禁止は8月1日に解除される見通しという。
外出規制解除により伝統的な公衆浴場である「ハマム」(トルコ式蒸し風呂)の営業も再開された。
6月16日朝時点での世界の感染者数は810万人、死者は43.8万人に増えた。6月15日時点では米国は感染者数218万人、死者11.8万人、ブラジルの感染者は88.8万人、ロシアが53.7万人、インドが第4位に浮上して34.3万人となっている。
トルコは15日時点で17万9831人で前日から1592人増、死者4825人で前日から18人増えた。5月30日から続いていた感染増加数千人以下は6月12日の1195人増、13日の1459人増、14日の1562人と増加し始めており、15日も増加した。6月に入ってから各種規制が解除されて経済活動も再開に入ったが、経済活動再開と共に感染が再び増加傾向を示すのは世界全体で見られる傾向でもあり、感染爆発をいったん抑えたトルコでも第二波への懸念も強まり始めている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月8日夜の急落で16円台の持ち合いから転落したために6月9日午前時点からは6月5日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定してきたが、6月12日朝に安値を更新してからの反発により12日午前時点では12日朝安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避の内は12日夜から15日朝にかけての間への上昇を想定するとした。
6月12日夜に15.76円まで戻した後はジリ安となり15日深夜には15.63円まで下げたが16日早朝にかけては再び戻している。既に想定していたサイクルトップ形成期を超えているため、12日夜高値を上抜く場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて12日夜高値を直近のサイクルトップと仮定する。高値更新へ進めないうちは17日朝から19日朝にかけての間への下落余地ありとするが、12日夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして17日夜から19日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では6月15日深夜への下落時に先行スパンからいったん転落したがその後の反発で上抜き返している。12日夜高値を上抜毛内内は15日深夜安値割れから下げ再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、12日夜高値超えからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は15日夜に30ポイント台へ低下してから反発に入って60ポイント台へ上昇しているので、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月15日深夜安値15.63円を下値支持線、12日夜高値15.76円を上値抵抗線とする。
(2)15日深夜安値割れ回避の内は上昇余地ありとし、12日夜高値15.76円超えからは15.80円台前半への上昇を想定する。15.85円以上は反落注意とするが、15日深夜安値割れ回避が続くうちは17日午前への上昇余地が残るとみる。
(3)15日深夜安値割れからは下げ再開とみて15.50円前後試しを想定する。15.50円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、15日深夜安値を割り込んだ水準での推移が続くうちは17日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。また12日朝安値を割り込む場合は週後半にかけて15.30円台を目指す流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月22日
16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 65.0)
17:00 5月観光客数 前年比 (4月 -99.26%、予想 -85.0%)
6月24日
16:00 6月景況感 (5月 76.9、予想 80.0)
16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%、予想 65.0%)
6月25日
20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)
6月29日
16:00 6月経済信頼感 (5月 61.7、予想 71.0)
6月30日
16:00 5月貿易収支 (4月 −45.6億ドル、予想 -18.0億ドル)

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