トルコリラ円見通し 6月8日からの大幅下落一服での15.70円を挟んだ持ち合いが3日続く(20/6/17)

新興国通貨売りへの圧力が再び増しつつあり、トルコリラへの影響も警戒されるところだ。

トルコリラ円見通し 6月8日からの大幅下落一服での15.70円を挟んだ持ち合いが3日続く(20/6/17)

6月8日からの大幅下落一服での15.70円を挟んだ持ち合いが3日続く

〇トルコ円16.70を中心とした持ち合い続く
〇ドル円の頭き、トルコの対ドルでの揺り戻しも一服、トルコ円も頭を抑えられた形
〇トルコは経済活動再開、国境封鎖も解除、国内観光も再開したが感染抑制には失敗しつつある
〇15.62割れ回避の内は上昇余地あり、15.76円超えからは15.80円台前半への上昇を想定
〇15.62割れからは下げ再開とみて15.50円前後試しを想定

【概況】

トルコリラ円は6月8日からのドル円急落により6月11日まで日足4日連続の陰線で下落して6月12日朝には15.48円まで安値を切り下げた。その後はリスク回避感がやや後退する中でドル円が持ち直したことで6月12日夜に15.74円を付けて日足は5日ぶりの陽線で先週を終えた。
週明けからはドル円が107円台前半での持ち合いにとどまり、トルコリラの対ドルでの動きも限定的なものとなっているため、15.60円台を維持しつつ15.80円には届かない範囲で15.70円を中心値とした持ち合い状態で推移している。6月17日朝は15.62円まで下げてからはやや持ち直し、持ち合いの範囲にある。

ドル円は6月5日深夜に米雇用統計改善を受けて109.84円まで上昇したところから下落に転じ、先週は8日から11日まで4日連続の下落となり、12日午前安値で106.55円まで大幅続落した。その後は下げ一服で107円台前半へ戻し、12日寄るには107.54円、15日は安値で106.97円まで下げてから戻し、16日昼には107.63円まで若干高値を切り上げたが、その後は新たな高値更新へ進めずにいる。

6月16日は米小売売上高が予想を大きく超える改善となって為替市場全般ではドル高反応が見られて株高も続いたがドル円の動きは限定的だった。また16日昼の日銀金融政策決定会合でのコロナ対策総枠の拡大や中小企業支援策についても市場はあまり反応していない。6月2日から一段高へ進む前も持ち合いが長引いたが、やや楽観的な株高を横目にリスクオン全開で上昇しきれずに上値の重さが印象付けられる展開だ。世界的な感染拡大が収まっていないこと、米国や北京等の経済活動再開地域での感染再拡大も不況長期化への認識度合いが株式市場よりも重いということだろう。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで下落してからの揺れ返し上昇で6月3日には6.68リラまで戻したが、その後はドル高へ揺れ返しとなっており、6月15日には6.86リラまで下落している。16日は小動きにとどまっているが15日のレンジ内での推移で6月3日からのドル高リラ安感が継続している。
5月序盤にかけてのドル高リラ安はコロナショックによる新興国通貨売りによるものであり、その後は世界的な金融緩和拡大や株式市場の楽観的な持ち直しにより新興国通貨売りがひとまず一巡となって揺れ返しが発生した。だが南米での感染拡大や不況長期化の現実から新興国通貨の反騰も長続きせず、特に感染爆発が深刻なブラジルのレアルは6月9日から反落に入り16日も大幅続落しているため、新興国通貨売りへの圧力が再び増しつつあり、トルコリラへの影響も警戒されるところだ。

【トルコは経済活動再開で感染者再び増加傾向に】

トルコは5月末に主要なロックダウンや外出禁止を解除し、経済活動再開に入った。6月12日にはイランとの国境を除く国境封鎖を解除し、イランとの空路による飛行禁止も8月1日に解除される見通しを示した。国内の観光も再開している。しかしこの結果、日々の感染者増加数が千人を切るところまで抑え込まれていた状況は維持できなくなっている。経済活動再開を急いだ米国の諸州での感染増や封じ込めに成功していた中国でも北京で大規模クラスター発生となるなど、規制が緩めば感染も再拡大するのが現実だ。
トルコの感染者数は16日時点で18万1298人で前日から1467人増、死者4842人で前日から17人増えた。5月30日から続いていた感染増加数千人以下は6月12日の1195人増、13日の1459人増、14日の1562人、15日の1592人増と増えており、16日も千人を超えた。

6月16日時点での世界の感染者数は823.7万人、死者は44.4万人に増えた。6月16日時点では米国は感染者数220.5万人、死者11.9万人、ブラジルの感染者は92.3万人で前日から3万1633人増、ロシアが54.5万人、インドが35.4万人となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月5日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定してきたが、6月12日朝に安値を更新してからの反発により12日午前時点では12日朝安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避の内は12日夜から15日朝にかけての間への上昇を想定するとした。
6月12日夜に15.76円まで戻した後は新たな高値更新へ進めずにいたため、16日朝時点では12日夜高値を直近のサイクルトップとした。またボトム形成期は17日朝から19日朝にかけての間と想定した。17日朝時点も持ち合いの範囲にあるためまだ一段安余地ありとしお、15.60円割れからは下げが加速しやすいと注意するが、すでに12日朝安値から3日を経過しているので17日夜にかけて上昇する場合は持ち合い上放れと新たな強気サイクル入りする可能性もあると思われる。

60分足の一目均衡表では6月16日夜への下落時も先行スパン転落を怪異しているが、持ち合いのため方向感に乏しい。12日夜高値を上抜く場合は上昇再開として遅行スパン好転中の高値試しとするが、先行スパンから転落した状況が続く場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合いのため50ポイントを挟んだ小動きにとどまっている。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、60ポイント超えからは上昇が加速しやすいとみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月17日朝安値15.62円を下値支持線、12日夜高値15.76円を上値抵抗線とする。
(2)17日朝安値割れ回避の内は上昇余地ありとし、12日夜高値15.76円超えからは15.80円台前半への上昇を想定する。15.85円以上は反落注意とするが、17日朝安値割れ回避が続くうちは18日午前への上昇余地が残るとみる。
(3)17日深夜安値割れからは下げ再開とみて15.50円前後試しを想定する。15.50円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、15日深夜安値を割り込んだ水準での推移が続くうちは18日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。また12日朝安値を割り込む場合は週後半にかけて15.30円台を目指す流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月22日
 16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 65.0)
 16:00 5月観光客数 前年比 (4月 -99.26%、予想 -85.0%)
6月24日
 16:00 6月景況感 (5月 76.9、予想 80.0)
 16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%、予想 65.0%)
6月25日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)
6月29日
 16:00 6月経済信頼感 (5月 61.7、予想 71.0)
6月30日
 16:00 5月貿易収支 (4月 −45.6億ドル、予想 -18.0億ドル)

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