トルコリラ円見通し 6月12日以降の持ち合いから転落し始める(20/6/18)

6月16日未明安値15.63円を17日朝安値15.62円でわずかに割り込み、18日早朝には15.58円まで安値を切り下げてきた。

トルコリラ円見通し 6月12日以降の持ち合いから転落し始める(20/6/18)

トルコリラ円見通し 6月12日以降の持ち合いから転落し始める

〇トルコリラ円早朝15.58まで下値切り下げ、ドル円の下放れにつれトルコ円も下放れか
〇対ドルでのトルコリラは下落基調ながらレンジ内にとどまる
〇ブラジルが大幅利下げ実施、レアルは反応薄だか今後の下落とトルコリラへの波及要警戒
〇トルコの感染者数は6/17には1429人増、経済活動再開と共に感染者も再び増加する典型的な状況
〇15.70以下での推移中は一段安警戒、15.50割れから続落に入る場合は15.40前後へ下値目途引き下げ
〇15.70超えからは強気サイクル入り

【概況】

トルコリラ円は6月8日からのドル円急落により6月12日朝には15.48円まで安値を切り下げたが、その後はドル円が持ち直したことで6月12日夜に15.74円を付けて日足は5日ぶりの陽線で先週を終えた。
週明けからはドル円が107円台前半での持ち合いにとどまり、トルコリラの対ドルでの動きも限定的だったために15.60円割れを回避しつつ15.80円には届かない範囲で15.70円を中心とした持ち合いで推移してきた。しかし6月16日未明安値15.63円を17日朝安値15.62円でわずかに割り込み、18日早朝には15.58円まで安値を切り下げてきた。ドル円が107円台前半での持ち合いから転落し始めてきたことと同調しているが、トルコリラ円も15.60円台を維持してきた持ち合いから下放れを開始した印象だ。

ドル円は6月5日深夜高値109.84円から下落に転じて11日まで4日連続の下落となり、12日午前安値106.55円まで大幅続落したが、その後は下げ一服で107円台前半へ戻し、17日夜までは概ね107円台前半での持ち合いを継続してきた。しかし17日夜からの下落で107円を割り込んできている。アフターコロナの復興期待と感染拡大の長期化への懸念が交錯する中で、6月1日から5日夜までの週はドル高円安が進み、6月8日からは悲観先行で揺れ返しのドル安円高へ進むという展開だったが、6月12日以降は株式市場の反騰と比較するとかなり慎重な動きにとどまってきた。17日夜はNYダウが4日ぶりに反落したこと、感染拡大への懸念から悲観が優勢となり始めての円高再開という印象だ。
6月12日安値106.55円前後までの下げにとどまって6月16日高値107.63円を超えればダブルボトム形成による上昇入りという可能性も残るが、12日安値を割り込んで一段安入りする場合は6月5日からの円高ドル安が長期化する可能性が警戒され、トルコリラ円にも大きな売り圧力となりかねないと注意するところだ。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで下落してからの揺れ返し上昇で6月3日には6.68リラまで戻したが、その後はドル高リラ安がじわじわと再燃しており6月15日には6.86リラまで下落した。その後は新たな安値更新を回避しているもののドル高基調の範囲にある。17日は小動きにとどまって15日のレンジ内での推移が続いている。

【新興国通貨売り再開への懸念】

警戒したいのはブラジル・レアルが対ドルで続落していることだ。コロナショックと感染拡大を背景にブラジル・レアルは5月8日に対ドルでの史上最安値を付けるところまで売られ、その後は新興国通貨売り一服で戻してきたが、6月9日からは16日まで6日連続のドル高レアル安となってきた。17日は対ドルでの安値を更新した後にやや戻して前日比はプラスだったが、ドル高レアル安基調が徐々に強まっている印象だ。ブラジル中銀は17日に政策金利を0.75%引き下げて過去最低の2.25%とした。コロナショック対策での利下げで市場の予想通りだったために当日の反応は限定的だったが、景気悪化が進む中での利下げはレアル売りを勢い付かせることになると思われる。

トルコリラが対ドルで5月7日に史上最安値を更新した流れとブラジル・レアルが対ドルでの史上最安値を更新するタイミングはほぼ同調したものであり、その後の対ドルでの巻き返し上昇も同調していた。レアル安が主導して新興国通貨売りが加速すると、同じくコロナショックによる不況に陥りつつも利下げを継続しているトルコリラへの売り圧力も懸念される。

【トルコは経済活動再開で感染者再び増加傾向に】

トルコの感染者数は6月17日時点で18万2727人で前日から1429人増、死者4861人で前日から19人増えた。5月30日から続いていた感染増加数千人以下は6月12日の1195人増から崩れて17日まで6日連続で千人超えとなている。6月1日にロックダウンの解除が始まり経済活動再開に入ってきたが、経済活動再開と共に感染者も再び増加するという典型的な状況でもあり、第二波として再び感染拡大が深刻化してゆくことへの懸念も徐々に強まりつつある。
6月17日時点での世界の感染者数は838.2万人、死者は45万人に増えた。米国は感染者数223.2万人、死者11.99万人、ブラジルの感染者は95.5万人、ロシアが55.3万人、インドが36.7万人となっている。この他、チリやメキシコ等中南米、サウジ等中東の感染増も顕著だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月5日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定してきたが、6月12日朝安値からの反発により12日午前時点では12日朝安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避の内は12日夜から15日朝にかけての間への上昇を想定するとした。
6月12日夜に15.76円まで戻した後は新たな高値更新へ進めずにいたため、16日朝時点では12日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして17日朝から19日朝にかけての間への下落を想定したが、18日朝へ15.60円を割り込んできているため引き続きボトム形成中とみる。前回ボトムから4日を経過したので15.70円台を回復するところからは強気サイクル入りとするが、15.70円以下での推移中は19日午前にかけての一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では6月17日夕刻の下落で先行スパンから転落しているので、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを再び上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は18日朝への下落で30ポイント割れまで低下した。50ポイント台を回復できないうちは20ポイント割れへの一段安余地もあると注意し、強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.50円を下値支持線、15.70円を上値抵抗線とする。
(2)15.70円以下での推移中は一段安警戒とする。15.50円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、15.50円割れから続落に入る場合は15.40円前後へ下値目途を引き下げる。また15.60円以下での推移なら19日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)15.70円手前は戻り売りも出やすいとみるが、15.70円超えからは強気サイクル入りとして16日昼高値15.75円前後への上昇を想定する。15.70円を超えた後も15.65円以上での推移なら19日午前にかけても高値試しを続ける可能性があると考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月22日
 16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 65.0)
 16:00 5月観光客数 前年比 (4月 -99.26%、予想 -85.0%)
6月24日
 16:00 6月景況感 (5月 76.9、予想 80.0)
 16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%、予想 65.0%)
6月25日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)
6月29日
 16:00 6月経済信頼感 (5月 61.7、予想 71.0)
6月30日
 16:00 5月貿易収支 (4月 −45.6億ドル、予想 -18.0億ドル)

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