トルコリラ円見通し 円高に圧されて16円を割り込む(20/6/9)

9日朝の小反発では16円には届かずに安値圏に止まったままとなっている。

トルコリラ円見通し 円高に圧されて16円を割り込む(20/6/9)

トルコリラ円見通し 円高に圧されて16円を割り込む



〇トルコリラ円昨晩のドル円急落で下落16円割れ
〇5月以降新興国通貨は反発基調だか直近はやや一服感も
〇エルドアン大統領とトランプ大統領は6/8に電話会談実施
〇トルコ円16円以下での推移中は一段安警戒
〇上昇再開へ進むには16.10円を超え、その後も16円以上でしっかりする展開が必要

【概況】

トルコリラ円は5月7日に14.61円まで下げて史上最安値を更新してから反騰に転じ、5月26日夜高値16.05円から5月29日夜安値15.64円まで調整安を入れてからの一段高におり、6月3日未明には16.23円まで大幅続伸した。しかしその後は円安が進んだものの対ドルでのトルコリラ安が一服となったことで上値が重くなって持ち合いとなり、6月5日の米雇用統計発表後にドル円が上昇したものの対ドルでのトルコリラ安が続いたために高値更新へ進めずに持ち合いのまま先週を終えた。
週明けの6月8日は午後までは16.10円台での持ち合い範囲での推移だったが、8日夜にドル円が急落したことに圧されて16.10円を割り込んだところから売りの連鎖となり、8日深夜に16.00円を割り込んで9日朝には15.91円まで続落した。9日朝の小反発では16円には届かずに安値圏に止まったままとなっている。

ドル円は6月5日に米雇用統計が予想外の改善となったことで109.84円まで上昇して5月6日底105.98円以降の戻り高値を更新した。しかし週明けは新たな高値更新へ進めず、米10年債利回りが低下に向かう中でジリ安推移に陥り、深夜には109円を割り込んだところから売りの連鎖反応となって9日未明には108.23円まで大幅下落した。さらに9日午前には安値を切り下げて108円台を維持できるかどうか微妙となっている。
ドル円は5月19日夜高値108.07円から6月2日の日中までは107円台での持ち合いが続いてきたが、6月2日からは米国株高債券安のなかで米10年債利回りが上昇したこともきっかけとして持ち合いを上放れして6月5日夜高値へ上昇してきた。しかし6月5日夜以降は米10年債利回りが低下へ転じたことで上値が重くなり、110円挑戦は時期尚早として利食いが急がれる中で109円割れから売り注文の連鎖で急落商状となった。

6月9日から10日にかけて米連銀のFOMCが開催されるが、FOMC声明及び議長会見から流れが変わるかどうか注目されるが、高値から1.50円を超える急落となっていることから5月6日以降の反騰が一巡して下落に転じた可能性も懸念される。6月8日の日足は1.15円の下落幅での大陰線だが、3月24日にV字反騰の高値をつけた直後の3月26日に1.64円の下落幅での大陰線をつけて以来の反落規模である。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて史上最安値を更新してからは揺れ返しの上昇を続けてきたが、6月3日に6.68リラまで戻したところからは上げ渋りとなりドル高がややぶり返している。
6月5日安値6.79リラに対して8日は新たな安値更新は回避しているが、終値ベースでは6月3日から8日までは4日連続でドル高リラ安となっている。アフターコロナの復興相場期待で世界的な株高基調となっており、3月のドル資金需給逼迫から売られてきた新興国通貨も徐々に落ち着き、5月からは揺れ返しの新興国通貨高基調となっているが、この新興国通貨高に対してやや一服感も出始めているところかもしれない。

【トルコは感染拡大抑止状況を維持】

6月8日時点の世界における新型コロナウイルス感染者数は719万人を超え、死者も40万人を超えた。米国の感染者は202.6万人、ブラジルが71万人、ロシアは47.6万人へそれぞれ拡大している。
トルコの感染者数は17万1121人だが増加数は989人で5月30日以降は千人を切った状況を維持している。死者は19人増の4711人となった。5月後半からは落ち着いた状況が続いており、感染者増加がピークだった4月11日の5138人増からは感染拡大が抑止されている印象だ。しかし千人弱の増加ペースがさらに縮小する状況には至っていない。経済活動再開が始まっているが、第二波への懸念もあるところだ。

6月8日夜にはトルコ東部のワン県で分離主義テロ組織PKKが道路作業員を攻撃して2人が死亡するテロ事件が発生した。感染爆発期にはシリア情勢や国内テロ等の動きも自然と抑えられていたが、経済活動再開にともなって人の動きも活発化すればこうした治安の悪化問題も浮上してくると思われる。
エルドアン大統領とトランプ大統領は6月8日に電話会談を行った。米国とトルコの関係問題やリビア情勢、シリア情勢等を話し合った様だが、米国における大規模なデモの最中に発生している略奪事件の背後にはシリア北部で活動しているテロ組織の関与もあるのではないかとの懸念があるとトルコは米国に伝えたようだ。

トルコのイスタンブール100株価指数は5月15日から6月5日まで13営業日の連騰だったが、8日は前日比0.35%安と14日ぶりに小反落した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月29日夜安値をサイクルボトムとして6月3日未明高値まで急伸したが、その後は持ち合いにつかまってきた。6月8日夜の急落で持ち合いから転落したため、持ち合いの中間点にある6月4日夜安値を直近のサイクルボトムとし、持ち合い下放れ前の6月5日深夜高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。今回のボトム形成期は4日夜安値を基準として9日夜から11日夜にかけての間と想定されるので、9日夜にかけてはもう一段安しやすい時間帯と注意する。強気転換には16.10円を超える反騰ないしは安値から0.20円以上の上昇が必要と思う。

60分足の一目均衡表では6月8日夜の急落により遅行スパンが悪化し、先行スパンからも大きく転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先と考える。安値更新が続かなければ遅行スパンは好転しやすくなるので遅行スパン好転からはいったん高値試しへ向かうと考えるが、好転が長続きせずに再び悪化するところからは下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は8日夜の急落で20ポイント割れへ急降下した。相場がさらに安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が完成すれば上昇再開へ向かうとみるが、強気逆行が完成しない内は一段安余地ありと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.85円を下値支持線、16.00円を上値抵抗線とする。
(2)16円以下での推移中は一段安警戒とし、15.90円割れからは15.85円、15.80円と段階的に安値を試すとみる。さらに続落に入れば15.70円台前半を試すとみる。15.80円以下は一旦買い戻しも入りやすいところとして突っ込み警戒と考えるが、16円以下での推移中は10日午前にかけても安値試しを続けやすいと注意する。
(3)16円を超えて続伸の場合は16.10円手前を試すとみるが、16.05円以上は反落注意とし、その後に15.90円を割り込むところからは下げ再開とみる。上昇再開へ進むには16.10円を超え、その後も16円以上でしっかりする展開が必要と思われる。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月10日
16:00 3月失業率 (2月 13.6%、予想 15.1%)
6月12日
16:00 4月経常収支 (3月 −49億2000万ドル)
16:00 4月鉱工業生産 前年比 (3月 -2.0%、予想 -18.2%)
16:00 4月小売売上高 前月比 (3月 -8.1%、予想 -16.9%)
16;00 4月小売売上高 前年比 (3月 -0.2%、予想 -18.6%)
6月19日
16:00 5月自動車生産台数 前年比 (4月 -91.3%、予想 -82.0%)
6月22日
16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 54.0)
6月24日
16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%)
6月25日
20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)

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