ドル円見通し 米雇用統計の強気サプライズ上昇から一転して急落(20/6/9)

9日早朝も108.50円前後に抵抗感を見せつつ安値圏に止まっている。

ドル円見通し 米雇用統計の強気サプライズ上昇から一転して急落(20/6/9)

ドル円見通し 米雇用統計の強気サプライズ上昇から一転して急落



〇ドル円は昨晩特にきっかけもなく急落
〇米長期金利の低下がトリガーになった可能性がある
〇6/9-10のFOMC前後の債券の動きに注意
〇108.75を下回る内は一段安警戒、108円割れから続落に入る場合は107.50前後まで下値目処引き下げ
〇108.75超えからは上昇再開の可能性あり

【概況】

ドル円は5月19日夜に108.07円まで戻した後は107円台序盤までの下落を切り返しつつ6月2日までの10日間を107円台での持ち合いを継続してきたが、5月23日午後安値で107.05円をつけた後は持ち直しに入り、6月2日夜の上昇で5月19日夜高値を上抜いて持ち合いを上放れした。それまでは株高によるリスクオンに対して慎重な動きだったが、その慎重さが外れて高値追及の流れに入り、6月5日の米雇用統計が予想外に前月から改善したことで5日深夜には109.84円の高値をつけた。
しかし週明けは株高基調は継続したもののドル円は伸びず、夜にかけては米10年債利回り低下を追いかけつつ109円に迫り、109円を割り込むと売りの連鎖反応に陥って9日未明には108.23円まで急落した。9日早朝も108.50円前後に抵抗感を見せつつ安値圏に止まっている。

【米10年債利回り低下による売り圧力?】

6月8日夜のドル円急落では、特段に円高へ走らせるトリガーは無かった。主要経済指標の発表もなく、ユーロドルは1.130ドルを挟んてほぼ横ばいの小動き、ポンドがいったん下げてから反騰したり豪ドルが高値を更新する等ややドル安の動きはあったが、ドル円が高値から1.61円も下げるような動きではなかった。
ドル円の下落要因としては米10年債利回りの低下が起因となった可能性もある。米10年債利回りは4月後半から0.70%を挟んで小動きの持ち合いで推移してきたが、6月2日から上昇基調となり持ち合いを上放れして6月5日には0.9588%まで上昇した。しかし6月5日夜をピークに下落に転じ、9日未明には0.8619%まで低下している。ドル円が6月2日夜の上昇から持合いを上放れして上昇に入り、6月5日夜高値から下落に転じた流れは米10年債利回りの上昇と反落という流れとほぼ同調している。米10年債利回りの推移を見ながら同調的に買われて今度は売られたが、売りの連鎖が働いて下げに勢いがついてしまった感がある。

6月5日への上昇は5月19日深夜高値108.07円を超えたところから始まっており、6月9日未明への下落で108.23円まで下げたことで、6月2日からの一段高状態をほぼ吐き出したこととなった。しかしまだ持ち合い上放れによる一段高状態は維持されているとも言える。6月8日夜の急落がやや過剰反応だったとして109円台回復へ戻せば、上昇再開のなかでの最初の調整安がやや深かったことに止まり、上昇起点の5月23日安値から底上げとなって次の上昇で高値更新へ向かうというシナリオは描けると思う。そのためにはリスクオン心理がさらに全開となってドル円を押し上げるか、米10年債利回り上昇による金利差からのドル買い円売りが再開するか、いずれかの要因が必要と思われる。
株高債券安なら米10年債利回り上昇でドル円も上昇、しかし株高と債券高が並走する場合はドル円は米10年債利回り低下で下落となりやすい。6月9日から10日に米連銀のFOMCがある。FOMC後に債券安利回り上昇ならドル円も上昇へ向かい、逆に債券高利回り低下ならドル円はもう一段安へ下落という反応になるのかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月4日夜にいったん下落してから5日深夜へ一段高となったため、4日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、8日夜の下落で4日夜安値を割り込む急落となったために底割れによる弱気サイクル入りとなった。ボトム形成期は9日夜から11日夜にかけての間と想定されるので、108.75円以下での推移中は一段安警戒とし、108.75円超えからは強気転換注意として109円試しとするが、新たな強気サイクル入りには109円を超えて続伸するような急騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では6月8日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、新たな安値更新を回避して推移すれば遅行スパンは好転しやすくなると注意し、遅行スパン好転からは上昇再開の可能性を優先する。ただしいったん遅行スパンが好転しても早々に悪化する場合は下げ再開と一段安を疑う。

60分足の相対力指数は8日深夜の急落で20ポイント割れまで急降下したが、その後はやや戻している。相場が安値を更新しても指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られれば上昇再開の可能性が高まるが、強気逆行が完成しない内はもう一段安が警戒される。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.00円を下値支持線、108.75円を上値抵抗線とする。
(2)108.75円を下回る内は一段安警戒とし、108円割れから続落に入る場合は107.50円前後まで下値目処を引き下げる。107.50円以下は反騰注意とするが、108円以下での推移中は10日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。ただし直前安値から0.75円以上の反騰が発生する場合は上昇再開の可能性ありとみる。
(3)108.75円超えからは上昇再開の可能性ありとみて109円前後試しを想定する。108.75円から109円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいところと注意するが、材料を伴って8日夜の急落に対する揺れ返しの反騰が発生する場合は109円台序盤へ上値目処を引き上げる。

【当面の主な予定】

6/9(火)
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
10:30 (豪) 6月 NBNZ企業信頼感指数 (5月 -45.6)
10:30 (豪) 5月NAB企業景況感指数 (4月 -34)
15:00 (独) 4月 貿易収支 (3月 174億ユーロ、予想 116億ユーロ)
15:00 (独) 4月 経常収支 (3月 244億ユーロ、予想 141億ユーロ)
18:00 (欧) 1-3月期GDP確定値 前期比 (速報 -3.8%、予想 -3.8%)
18:00 (欧) 1-3月期GDP確定値 前年同期比 (速報 -3.2%、予想 -3.2%)
23:00 (米) 4月 卸売在庫 前月比 (3月 -0.8%、予想 0.4%)
23:00 (米) 4月 卸売売上高 前月比 (3月 -5.2%、予想 -2.0%)

6/10(水)
未 定 OECD経済見通し
07:45 (NZ) 1-3月期製造業売上高 前期比 (前期 2.4%)
08:50 (日) 5月 国内企業物価指数 前月比 (4月 -1.5%、予想 -0.3%)
08:50 (日) 5月 国内企業物価指数 前年同月比 (4月 -2.3%、予想 -2.4%)
08:50 (日) 4月 機械受注 前月比 (3月 -0.4%、予想 -7.5%)
08:50 (日) 4月 機械受注 前年同月比 (3月 -0.7%、予想 -13.2%)
09:30 (豪) 6月 ウエストパック消費者信頼感指数 (5月 88.1)
10:30 (中) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 3.3%、予想 2.7%)
10:30 (中) 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 -3.1%、予想 -3.2%)

16:00 (ト) 3月 失業率 (2月 13.6%)
21:30 (米) 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 -0.8%、予想 0.0%)
21:30 (米) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 5月 消費者物価コア指数 前月比 (4月 -0.4%、予想 0.0%)
21:30 (米) 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 1.4%、予想 1.3%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:00 (米) 5月 月次財政収支 (4月 -7379億ドル、予想 -6000億ドル)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

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