ドル円、ポジション調整主導で急反落。雇用統計後の上げ幅を全て吐き出す展開
〇ドル円は海外時間に108.24まで1円以上急落
〇110円トライ失敗に伴う見切り売り、FOMC前のポジション調整等が要因
〇ユーロドルは一時一時1.1269まで下落するも1.13近辺まで持ち直す
〇テクニカルにはドル円は転換線、200日線を下抜け、4営業日連続で続いたバンドウォークも終了
〇ファンダメンタルズもドル円の下落を想起させる材料多い
〇引き続きドル円相場の下落がメインシナリオ
〇本日の予想レンジ107.90ー108.80
海外時間の為替概況
8日(月)の外国為替市場でドル円は急落。@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がり(投資家心理の改善期待→リスク選好ムード→クロス円急伸→ドル円連れ高)や、A株高・原油高を受けたリスク選好の動き(ニューヨーク市は経済再開の第一フェーズ入り)、B6/5に発表された米雇用統計後のドル高の流れが支援材料となり、日本時間朝方には、一時109.69まで上昇しました。しかし、先週末金曜日に記録した高値109.86をバックに戻り売りが強まると、C110円トライ失敗に伴う短期筋の見切り売りや、D6/9ー6/10に予定されている米FOMC(連邦公開市場委員会)を前にしたポジション調整(ドル売り)、E米長期金利低下に伴うドル売り圧力(好調な3年債入札等が背景)、F200日移動平均線を割り込んだことに伴う俄かロングのロスカットが重石となり、米国時間午後にかけて、一時108.24まで急落する展開となりました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、108.32近辺で推移しております。
8日(月)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@6/5に発表された米雇用統計後のドル高の流れや、A独4月鉱工業生産の冴えない結果が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時1.1269まで下落しました。しかし、B6/9ー6/10に予定されている米FOMC(連邦公開市場委員会)を前にしたポジション調整(ドル売り)が支援材料となると、C株高・原油高を受けたリスク選好の動き(ニューヨーク市が経済再開の第一フェーズ入り)や、D米長期金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.1303近辺まで持ち直す動きとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週末金曜日(6/5)に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、昨日は一時108.24まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や、200日移動平均線を下抜けした他、4営業日連続で続いたバンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態)も終了するなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(※心理的節目110円トライ失敗に伴う見切り売り)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(米国のリセッション入り懸念など)、B米中対立激化懸念(今週は米中対立懸念が幾分和らぐも引き続き予断を許さない状況が継続)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナの第2波リスク、E日本経済の先行き不透明感(第二次補正予算の発表を受けても尚デフレマインド継続→実質金利上昇→円高)など、ドル円の下落を想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。世界的な外出規制緩和に伴う景気回復期待は既に織り込まれつつある状況であり、ここから先は一巡後の「反落リスク」により警戒が必要でしょう(期待先行のリスクオン終了)。米中対立を巡るヘッドライン(米国による対中制裁や、中国による報復措置の発動など)や、米FOMCにおけるイールドカーブコントロール=YCCについての議論(イールドカーブコントロールの導入が現実味を帯びれば、米長期金利低下→ドル売りの経路と、金融株下落→リスク回避の円買いの経路に注意)、欧米株や原油先物価格の動向を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:107.90ー108.80
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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