リスクは円安方向だが、目先は調整先行も(20/6/8)

週明け8日の東京市場は、レンジ取引。109円半ばを挟んだ一進一退で、本日だけに限れば方向性は乏しかった。

リスクは円安方向だが、目先は調整先行も(20/6/8)

リスクは円安方向だが、目先は調整先行も

〇ドル円109円半ばを挟んでのレンジ取引
〇コロナをめぐる米中対立続く
〇米国は欧州に対する締め付けも強化
〇ドル円が週内のどこかで110円突破をトライする可能性も否定出来ないが、調整先行も
〇ドル円は「5月安値105.99円を中心とした逆ヘッド&ショルダーを形成中」といった見方も
〇本日はとくに目立った米経済指標の発表は予定されていない
〇欧米時間のドル円予想レンジは、109.00-110.00

<< 東京市場の動き >>

週明け8日の東京市場は、レンジ取引。109円半ばを挟んだ一進一退で、本日だけに限れば方向性は乏しかった。

先週末には、いわゆるOPECプラスが会合を開き、「7月末までの協調減産で合意」するなか、黒人男性暴行死事件をめぐる大規模な抗議デモが全米各地で行われただけでなく、他国へも飛び火。たとえば、英ロンドンや仏パリなどでも数千人規模のデモが実施されたという。
そうした状況を受けた、週明けのドル/円は前週末のNYクローズよりも、やや円高の109.55円レベルで寄り付いたが、積極的な動意に欠ける。ドル/円は先週一週間だけで2円を超える上昇をたどったことで、調整と思しき動きも観測されたが底堅く、下値も限定的だった。結局、109.35-70円といったレンジ内での一進一退に終始すると、16時現在では109.45-50円で推移、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「中国情勢」と「米欧関係」について。
前者は、「米中対立」の背景のひとつになっている新型コロナについて、中国政府は白書を公表し「習国家主席が自ら指揮し、果断に政策を決定した結果、危機を乗り切った」などとする総括を発表。ただ、米国サイドは当然納得せず、クドローNEC委員長が「中国は香港や新型コロナで責任を問われるだろう」と述べていたという。また、全米に広がる抗議デモについても、米国務長官が「抗議デモを中国は悪用している」などと述べたほか、BBCは米上院議員が「中国が新型コロナワクチン開発を妨害している。証拠もある」と指摘したと報じている。
対して後者は、対中対立の影に隠れがちだが、トランプ米大統領は欧州への締め付けも強化しており、そちらも話題に。たとえば、「EUが米国産ロブスターへの関税を撤廃しなければ、対抗措置として自動車関税を課す」などと警告したことに続き、ロイターでは「トランプ氏がドイツ駐留軍の縮小を指示、9500人削減の方針」と報じ物議を醸していたという。

<< 欧米市場の見通し >>

先週のドル/円は、「週初安・週末高」の展開で、約2円の上昇をたどっている。上方向のテクニカルポイントも次々に上抜けており、基本的なリスクは上方向。週内のどこかで110円突破をトライする可能性も否定出来ないが、短期的にはさすがに行き過ぎの感も否めず、調整先行も。ユーロ/円をはじめとするクロスが、いま一段の下げをたどるようだとドル/円も連れ安推移となりかねない。

材料的に見た場合、「貿易問題のほか香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「全米に広がるデモ活動」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と、「全米に広がるデモ活動」の動きになる。後者について、トランプ氏は自身のツイッターで、「ワシントンのデモ参加者は予想よりはるかに少なかった」と指摘するなど強がっていたが、メディアの報道は逆に「参加者は数十万人規模」、「ワシントンは過去10年間で最大級のデモ」などと報じていた。さらに、他国への広がりもうかがわせるなど、引き続き予断は許さない。

テクニカルに見た場合、ドル/円は「5月安値105.99円を中心とした逆ヘッド&ショルダーを形成中」といった見方も一部で取り沙汰されている。やや不格好だが、言われてみると、確かにそう見えなくもない。ちなみに、その場合、足もと推移している109円半ばから後半は、4月6日高値109.38円とともに、ネックラインにあたるわけで、一時的にショルダー部分にあたる108円半ば程度までのプルバックをたどる可能性もありそうだ。

本日はとくに目立った米経済指標の発表が予定されていない。先週末に発表された米雇用統計が規格外の好数字で、米経済指標に対する関心が再び高まっただけに指標発表がないのは残念だ。明日以降に再び注意を払いたい。
ただ、それでも米財務省による3年債の入札や、ラガルドECB総裁の欧州議会公聴会出席などを注視している向きは少なくないようだ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.00-110.00円。先週末に記録した直近高値109.85円をめぐる攻防にまずは注目。上抜ければ、心理抵抗の110円や110.35円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、109.10-20円が最初のサポート。割り込んだ場合には、移動平均の200日線も近い、先で指摘したヘッド&ショルダーの下値メドにあたる108円半ばを目指す展開か。


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