トルコリラ円見通し 円安とリラ高一服だが16円台序盤で確り(20/6/8)

6月5日は深夜にかけてはドル円での円安が継続したもののドル高リラ安気配で進んだことが上値を抑えたため16.10円台での小動きにとどまった。

トルコリラ円見通し 円安とリラ高一服だが16円台序盤で確り(20/6/8)

トルコリラ円見通し 円安とリラ高一服だが16円台序盤で確り


〇トルコ円ドル円での円安進行するも対ドルでのトルコ安が頭をおさえ16.10台で小動き
〇株高で新興国通貨売りが一服している流れがもう少し続いても良い印象
〇トルコ円16円台を維持するか、わずかに割り込んでも切り返す内は上昇継続性あり
〇16円割れを切り返せなくなる場合は弱気転換注意

【概況】

トルコリラ円は5月7日に14.61円まで下げて史上最安値を更新してから反騰に転じた。5月26日夜高値16.05円から5月29日夜安値15.64円まで調整安を入れたものの5月29日深夜からのドル円急騰や対ドルでのトルコリラ反騰により6月3日未明には16.23円まで大幅続伸した。その後は円安が進んだものの対ドルでのトルコリラ安が一服となったことで上値が重くなったが、6月3日夜安値16.02円の後も6月4日朝安値16.02円、4日夜安値16.03円等で底固く推移した。
6月5日は深夜にかけてはドル円での円安が継続したもののドル高リラ安気配で進んだことが上値を抑えたため16.10円台での小動きにとどまった。

ドル円は6月5日に109.84円まで上昇して5月6日底105.98円以降の戻り高値を更新した。5月19日に108.07円まで戻した後は5月末まで新たな高値更新へ進めずに107円台の小幅レンジに留まる持ち合いとなり、5月29日に107.05円まで下げたものの107円台を維持し、6月2日の上昇で持ち合い上放れに入ってから6月5日まで4連騰となった。アフターコロナの復興期待で株高が進む一方で為替市場ではユーロやポンド、豪ドル等がリスク選好で買われてドルストレートでのドル安となっていたことが月末までドル円が持ち合いに止まった背景ともいえるが、6月2日以降は株高同調でのリスク選好がドル円にも波及して一段高へ進めたのだろうと思われる。
3月24日高値111.71円から5月6日安値105.98円までは5.73円の円高ドル安だったが、その半値戻しの108.85円、3分の2戻しの109.80円をクリアしてきたため、目先は110円手前での利食い先行から押されやすいと思われるが、調整を消化しつつ3月24日高値への往って来いまで上値目処が切り上がる可能性もあるのではないかという印象だ。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて史上最安値を更新してからは揺れ返しの上昇を続けてきた。6月3日に6.68リラまで戻したところからは上げ渋りとなり、終値ベースでは6月3日から5日までは3日連続でドル高リラ安となったが、5月26日から5月29日までの3日間もリラ反騰一服でドル高リラ安となったところと類似している印象だ。
米雇用統計が予想外に前月から改善したことが6月5日のNYダウ大幅上昇となり、アフターコロナの復興期待による世界的な株高基調に入っている印象だが、株高によるリスク選好によりコロナショックの初期に発生した新興国通貨売りが一服している流れがもう少し続いても良い印象だ。ただし、ブラジル等南米の感染拡大が収まらないと新興国通貨安への不安がぶり返しかねないこと、新興国通貨・株への投機買いよりも米国株買いへと投資家心理が向かえば新興国通貨の反発力も鈍るかもしれない。

【4か月サイクル、40週・80週サイクルでの上昇期】

【4か月サイクル、40週・80週サイクルでの上昇期】

日足においては概ね4か月前後のサイクルで底打ちを繰り返してきた。2018年8月のトルコ通貨危機以降、2019年1月3日、同年5月9日、同年8月26日、2020年1月6日と底打ちしてきたが、1月6日安値からちょうど4か月目の5月7日安値で底打ちして反騰してきた。このサイクルにおける前回の底打ち反騰は1月6日から1月17日までの様に短期で終わるケースが目立つが、昨年5月9日底からの上昇は7月31日まで3か月近く続いている。また短期間ではあったが、2019年1月底から1月28日高値への反騰では安値から3円を超える上昇幅となっている。今回も16円台へ乗せてからも確りしており、まだこのサイクルの高値追及の流れが続いている印象を受ける。

今回の4か月サイクルによる底打ち反騰は、より中期的に見れば週足における40週前後の底打ちサイクル及びその倍の80週前後の底打ちサイクルにおける底打ちとも合致している可能性がある。
40週前後の底打ちサイクルでは、2018年8月底から39週目の2019年5月9日に底打ちしたが、そこから今年5月7日底までは数えで53週目であり、やや長引いたもののこのサイクルの底打ちとなった可能性がある。
40週サイクルが2セットとなる80週サイクルでも、2018年8月底から91週目となるが、2014年1月底(88週目)の後は2015年9月24日底(87週目)、2017年4月14日底(82週目)、2018年8月13日底(71週目)と推移しているため、5月7日安値を底として反騰入りしている可能性が考えられる。

この様に、4か月サイクルにおける反騰以上に40週及び80週サイクル規模での反騰であるとすれば、今回の上昇がもうしばらく継続しても不思議ないという考え方もできるわけだ。前回の80週サイクルの底打ち反騰は2018年8月13日底から同年11月29日高値まで3か月強、2017年4月14日底からの上昇は同年9月15日高値まで5か月を要している。もちろん短いケースもあり、2015年9月24日底からの上昇は11月2日まで1か月強で終わっている。
ただし、4か月及び40週・80週サイクルの底打ちが一致しての上昇とすれば、4か月サイクルのリバウンドが一巡して下落に転じる場合、次は40週・80週サイクルにおける下落期にも入ってゆく可能性があると注意したい。コロナショックは第一波が峠を越えたと楽観され始めているが、100年前のスペイン風邪によるパンデミックは第一波よりも第二波が各段に強烈であった。いったん楽観に浸った金融市場が強気の梯子を外される場合にはパニック的な下落に転じる可能性もあり、その際は特に新興国通貨売りへ傾斜しやすくなるという警戒感は持っておきたい。

【中勢のポイント】

(1)16円台へ乗せての持ち合いのため、16円台を維持するか、わずかに割り込んでも切り返す内は上昇継続性ありとみる。高値更新からは16.50円、さらに17円に迫る可能性もあると考えるが、17円手前はかなり抵抗感も出やすいのではないかと考える。
(2)16円割れを切り返せなくなる場合は弱気転換注意とし、5月29日安値15.64円を割り込む場合は5月7日からの反騰一巡による下落再開を警戒する。その際は、15.30円までの反落から15.80円超えへ切り返すなら上昇再開と考えるが、切り返しへ進めなくなると15円試し、さらに5月7日安値へ迫る展開となり始めると考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月10日
 16:00 3月失業率 (2月 13.6%、予想 15.1%)
6月12日
 16:00 4月経常収支 (3月 −49億2000万ドル)
 16:00 4月鉱工業生産 前年比 (3月 -2.0%、予想 -18.2%)
 16:00 4月小売売上高 前月比 (3月 -8.1%、予想 -16.9%)
 16;00 4月小売売上高 前年比 (3月 -0.2%、予想 -18.6%)
6月19日
 16:00 5月自動車生産台数 前年比 (4月 -91.3%、予想 -82.0%)
6月22日
 16:00 6月消費者信頼感指数 (5月 59.5、予想 54.0)
6月24日
 16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%)
6月25日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 7.25%)


注:ポイント要約は編集部

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