史上安値更新。2018年夏に発生したトルコショック時の安値を下回る
今週のレビュー(4/27−5/1)
今週のトルコリラ円相場は、週初15.43円で寄り付いた後、早々に高値15.49円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@エルドアン大統領による「週末のロックダウンを5月末まで継続する」との発言(ロックダウン長期化懸念→トルコ経済への下押し圧力)や、Aトルコ・3月貿易赤字の急拡大(2018年7月以来の赤字幅)、Bインフレレポートにて20年末のインフレ見通しを8.2%から7.4%に引き下げると共に、ウイサル中銀総裁が「足元の実質金利は妥当」と発言したこと(インフレ見通し引き下げ→追加利下げ余地拡大→リラ売りを想起)が重石となり、週末にかけては、2018年夏のトルコショック時に記録した安値を割り込み、史上最安値となる15.16円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局15.23円での越週となっております。
来週の見通し(5/4−5/8)
トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる15.16円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感(ロックダウンの長期化を受けた景気下押し圧力)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(外貨準備は2月以降急減中)、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大(直近9ヶ月間で計1525bpの利下げ幅。今週発表されたインフレレポートで物価見通しが引き下げられたことで更なる追加利下げ余地が生まれた格好)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した世界的なリスク回避ムード(トルコの感染者数が中東最大規模へ急増)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発したトルコ経済の下押し圧力(株安・通貨安・債券安のトリプル安)や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げ)を受けた資本流出圧力、外貨準備急減を受けた介入余力の減退が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(本邦大型連休期間中のフラッシュクラッシュに要注意。来週は5/4に発表されるトルコ・4月消費者物価指数、同生産者物価指数に注目。インフレ圧力の減退が確認されれば、更なる追加利下げ観測を通じてリラ売りに拍車がかかる恐れあり)。
トルコリラ円日足
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