来週の為替相場見通し:『本邦大型連休期間中のフラッシュクラッシュに要注意』(5/2朝)

ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。

来週の為替相場見通し:『本邦大型連休期間中のフラッシュクラッシュに要注意』(5/2朝)

本邦大型連休期間中のフラッシュクラッシュに要注意

今週のレビュー(4/27−5/1)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初107.49で寄り付いた後、早々に高値107.64まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@日銀金融政策決定会合後の材料出尽くし感(緩和限界論の台頭)や、A原油先物価格の下落を受けたリスク回避ムードの再燃(投資家心理の悪化)、B直近安値106.93を下抜けたことに伴う短期筋のロスカット、C米経済指標の冴えない結果、DFRBによる大規模量的緩和を受けたドル売り圧力、Eテクニカル的な地合の弱さ(強い売りシグナルを表す三役逆転の成立)が重石となり、週央にかけては、3/17以来、約1ヶ月半ぶり安値となる106.36まで下落しました。もっとも、ボリンジャーバンド下限付近で下げ渋ると、F原油先物価格の反発や、G新型コロナウイルス治療薬レムデシビルの臨床試験での好結果を伝える報道、H月末ロンドンフィキシングに絡むクロス円買いフロー、I大型連休入り前のポジション調整が支援材料となり、結局、106.91まで持ち直しての越週となっております。

尚、27日に発表された日銀金融政策決定会合では、@国債の無制限買い入れ(従来までの80兆円目処を削除)、A社債・CP購入規模の増額(従来までの計7.4兆円→20兆円へ増額)、Bゼロ金利で貸し出す新型コロナ特別オペの担保要件緩和を含む追加緩和パッケージが示されました。上記のうち、@とBは市場予想通りの結果となりましたが、Aはやや市場予想を上回る踏み込んだ内容となりました(購入規模の増額にとどまらず、日銀保有割合や、発行体あたりの買い入れ残高の上限を引き上げ、更には買い入れ対象資産の残存期間の上限も3年から5年に延長したため)。さらに、C黒田総裁は記者会見で「マイナス金利の深堀も排除しない」と発言するなど緩和スタンスを改めて強調しました。また、29日に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、@FFレート誘導目標が据え置かれつつも、A当面のゼロ金利政策の維持が示されました。さらに、BパウエルFRB議長からも「追加措置が必要となる可能性は高い」と、追加緩和を滲ませる発言が見られるなど、日米共に総じてハト派寄りの結果となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0809で寄り付いた後、早々に週間安値1.0808まで下落しました。しかし、心理的節目1.0800をバックに下げ渋ると、@新型コロナウイルスに対する楽観的な見方の広がり(欧州圏における感染者数がピークを迎えつつあるとの見方)や、AFRBによる大規模量的緩和を受けたドル売り圧力、B原油先物価格の反発、C新型コロナウイルス治療薬レムデシビル臨床試験での好結果、D上記BCを受けたリスク回避ムードの後退(対ユーロでのドル売り・円売り)、E月末ロンドンフィキシングに絡む「ユーロ買い・ドル売り・円売り」フロー、F心理的節目1.1000を突破したことに伴うロスカットが支援材料となり、週末にかけては、高値1.1017まで急伸しました。もっとも、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると反落に転じ、結局、1.0981まで反落しての越週となっております。

尚、30日に発表されたECB理事会では、@政策金利の据え置き(0.00%)や、A限界貸付金利の据え置き(0.25%)、B中銀預金金利の据え置き(▲0.50%)、CTLTRO(条件付き長期資金供給オペ)の条件緩和、Dパンデミック緊急購入プログラムの維持(7500億ユーロ)が決定されると共に、声明文にて、E「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を拡大し、構成を調整する用意がある」旨が発表されました。但し、一部で期待されていたマイナス金利の深堀や、資産買い取り対象に投資不適格債を含む決定は見送られております。

来週の見通し(5/4−5/8)

<ドル円相場>

ドル円は、週央(4/29)に記録した安値106.36をボトムに反発に転じると、5/1には一時107.51まで急伸しました。この間、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が消失するなど、週末(各国の連休入り)を前にポジション調整の動きが活発化しております。但し、上方には一目均衡表転換線や、一目均衡表雲上限、ボリンジャーミッドバンド、200日移動平均線など複数のレジスタンスポイントが控えており、ここから先の続伸は容易では無いと考えられます(テクニカル的に見て、徐々に上値は重くなると予想。事実、週末にかけて再度107円台を割り込む展開に)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立再燃リスク(米中合意が破棄される懸念)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大長期化懸念(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の不安定化(5/19の納会に向けて再び下落するリスクを警戒)、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。米FRBによる量的緩和継続(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション懸念(デフレ懸念台頭→円の実質金利低下→円高)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は本邦大型連休期間中となりますので、流動性の低下の隙をついたフラッシュクラッシュの発生に注意が必要でしょう(その他、米ISM非製造業景況指数や、米雇用統計の結果に注目)。

来週の予想レンジ(USDJPY):105.00ー108.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、4/24に記録した約2週間ぶり安値1.0726をボトムに反発に転じると、週末にかけて、約1ヶ月ぶり高値となる1.1017まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線を上抜けするなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております(※一目均衡表雲下限トライには失敗)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(IMFは世界経済見通しの中でユーロ圏の成長率予測を大幅に下方修正。ユーロ圏の2020年見通しは▲7.5%成長予測)や、AECBによる金融緩和長期化観測(4/30に開催されたECB理事会やラガルド総裁記者会見で追加緩和拡大の可能性を示唆)、B英合意なき離脱の再燃リスク、C新型コロナウイルスの感染拡大リスク(外出規制緩和後に感染者数が再度拡大に転じるリスク)、D原油先物価格の不安定化を受けたリスク回避ムードの再燃リスク(対ユーロでのドル買い・円買い)など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚たくさん残っている状態です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的でも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナウイルス関連のヘッドライン(外出規制緩和後に感染者数が再度拡大に転じるリスク)や、欧米株及び欧米長期金利の動向(特にドイツと周辺国の利回り格差)、欧米の主要経済指標の結果(ユーロ圏小売売上高や、米雇用統計など)を睨みながらも、来週はユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(※今週のユーロドル相場の上昇は、月末フローや連休前のポジション調整など、一時的な需給が背景と見られ、来週は上昇一服後の再反落に注意が必要。特に、リスク回避ムード再燃→ユーロ円下落→ユーロドル下落の波及経路に要警戒)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0800−1.1100

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