ドル円 米雇用統計に注目、「驚異的な悪化」も!?
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、ドルが小安い。4月末には106.37円まで下落、3月17日以来およそ1ヵ月半ぶりの安値を示現する局面も観測されていた。
前週末は、CNNが報じた「金委員長の重体説」を受けての北朝鮮関連ニュースが交錯し、様々な思惑が浮上。また新型コロナの影響について、米議会予算局が「4-6月期GDPはマイナス40%近く、失業率は14%に跳ね上がる」との推計を発表したことも憶測を呼んでいたようだ。
そうしたなか取引の始まったドル/円は前週末のNYクローズと大差のない107円半ばで寄り付いたのち、週の半ばにかけてドル安が進行。1円以上下落した106.37円まで一時下落している。ただ週間安値を付けたのち、ドル買い戻されたが一本調子の戻りではなく乱高下。再び107円半ばまで値を戻したあと、週末にかけては107円割れ。週末NYも106円台後半で引けるなどレンジは狭いが、なかなかの荒っぽい動きだった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「北朝鮮情勢」と「日米欧の金融市場政策」について。
前者は、金委員長の容体をめぐり情報が錯綜。重体説を後押しするものとしては、ロイターが報じた「中国が医療専門家を含む代表団を北朝鮮に派遣」といったニュースが挙げられる反面、健康説を裏付けるものとしては「北委員長専用列車が滞在説の東部元山に21日以降停車」などといった報道がある。
そうしたなか、週末にかけ朝鮮中央通信が「20日ぶりの公開活動」と文字ベースで報じたことに続き、朝鮮中央テレビは、その様子を映像で報じていた。そのため「重体説」はフェイクだったとの見方が強まっているものの、「映像加工説」や「影武者説」なども別に取り沙汰されており、火種そのものは依然としてくすぶっている状況だ。
対して後者は、週間最大の注目要因と目された、日米欧の三中銀による政策金利発表が実施され、それぞれゼロ金利政策や量的緩和の継続といった内容を発表している。また「コロナ対策として、やれることは何でもやる」といった強い意志を感じる中銀総裁コメントなども観測されており、今後の金融市場の動き次第では、さらなる措置を講じる公算が大きいことも明らかとなった。
<< 今週の見通し >>
引き続き新型コロナに関するニュースが金融市場を席巻しているものの、その内容はというと、かつての「感染拡大」に関するものから、外出自粛制限解除や経済活動再開の話へと移行している感を否めない。また、それとともに、足もと経済へのダメージや今後の回復期待などの関心も高い状況だ。さらに、「起源説」あるいは「発祥地説」をめぐり米中の対立がジワリと強まっていることも気掛かりで、ついにはトランプ米大統領などが「賠償請求」を口にするまでになってきた。今後の動きには注意を払いたい。
材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「原油情勢」など、注目要因は依然として山積みとなっている。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題で、前述したような多方面にわたる様々な関連ニュースへの警戒感が必要だろう。また、先週末から今週半ばにかけては、日本がゴールデンウィーク、中国は労働節に絡めた連休(1-5日)となり、うち後者についてはトータルで1億人以上が旅行などで移動すると推計されている。近場かつ原則として車移動とされるものの、「コロナ感染拡大の第2波襲来」に繋がる危険性はないのか心配だ。
テクニカルに見た場合、1日に記録した月間のドル安値106.93円を月末に更新、106.37円まで値を下げてきた。しっかり割り込んだというには微妙だが、レンジ下限を一時的にせよ底割れしたことは間違いなく、リスクという点では下方向か。
なお、前記した先週安値106.37円は、年初来安値101.19円を起点とした上げ幅のフィボナッチ半値押し(106.45円)の誤差の範囲内。よって、しっかりと下回れなければ、目先は107円を挟んでの60ポイント程度のレンジ取引になるといった見方も聞かれていた。
本日は4月のISM非製造業総合指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が発表される予定となっている。先週発表された1-3月期のGDP速報値が予想より悪化するなど、米経済指標は全般的に冴えないものが多く、今週発表される雇用統計も「記録的な悪化になる」といった予想をするエコノミストが多いようだ。事前にある程度は織り込まれるとは言え、「非農業部門雇用者数はマイナス1000万人」、「失業率15%」−−などという数値となった場合には、やはりドル売りで反応する気もしないではない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、105.50-108.00円。ドル高・円安については、107円半ばが最初の抵抗。ただ、超えてもそこから上には、移動平均や一目均衡表で見たテクニカルポイントが集中しており、上値も重そうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値である106.37円をめぐる攻防にまず注目。割り込むようだと106円割れが視界内。前述したフィボナッチでは61.8%戻しに当たる105.20円レベルがターゲットに。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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