FOMC結果のポイント:パウエル議長はややハト派、記者会見直後に日本当局は介入第2弾実施か(5/3)

米連邦準備制度理事会(FRB)は4月30日−5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と6会合連続で据え置いた。

FOMC結果のポイント:パウエル議長はややハト派、記者会見直後に日本当局は介入第2弾実施か(5/3)

パウエル議長はややハト派、記者会見直後に日本当局は介入第2弾実施か

【今回のポイント】

〇 政策金利は6会合連続で下限5.25%、上限5.5%を据え置き
〇 パウエルFRB議長は想定よりも「ハト派」な発言に終始
〇 記者会見後、日本当局の円買い介入と思われる円買いで153円台まで急落

【FOMCの結果】

米連邦準備制度理事会(FRB)は、4月30日−5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と6会合連続で据え置いた。

FOMC声明では、「最近数カ月のインフレの進展が欠如している」と指摘し、「インフレが2%目標に向けて進展する一段の確信が持てるまで、政策金利維持を想定」と利下げ開始が遅れる可能性を示唆した。同時に「2つの責務達成へのリスクはより良い位置に移行した」と繰り返した。一方、バランスシート縮小ペース減速を6月から開始すると発表した。

パウエルFRB議長が、記者会見にて話した内容は下記の通りだ。長期化するインフレに対して「利上げ」に関する踏み込んだ話を予想する金融関係者もいたが、総じてやや「ハト派」な発言に終始した。

「我々は2つの責務達成を公約」
「経済は目標に向け著しく改善」
「インフレは緩和したが、依然2%目標を上回る」
「労働需要は依然供給を上回る」
「今年のインフレ指標は予想を上回る」
「労働市場は依然ひっ迫している」
「利下げに向けたインフレ鈍化への一段の確信を得るには予想よりも時間を要する」
「適切である限り、政策金利を維持する用意」
「労働市場は依然強いが、弱まった」
「政策は引き締まっている、需要の重しに」
「消費支出は強い」
「いずれ政策は完全に引き締まる」
「利下げのタイミングはデータ次第」
「次の政策が利上げとなる可能性は少ない」
「金利がピークにあるかどうかはデータ次第になる」
「バランスシートの解消ペース減速はスムースな移行を確実にすることを支援」
「今年の予想はインフレ低下で、低下への確信は以前より弱まった」

【市場の反応】

FOMC声明後のドルは目立った動きは見られなかったが、その後のパウエルFRB議長の記者会見にて、警戒されたほど「タカ派」な発言ではなく、やや「ハト派」な発言に留まったことで、米10年債利回りは4.57%台まで下落。3時前のFOMC発表前に157円70銭台で推移していたドルは、3時52分頃には157円00銭まで下落する場面が見られた。

売り一巡後のドルは、157円50銭水準でのもみ合いとなっていたが、東京時間5時9分頃、日本当局による円買い介入と思われるドル売り円買いが入りドルは急落。5時50分頃、ドルは153円03銭まで下落した。4月29日の160円20銭からのドルの下落幅は、7円17銭に達した。

【今後、ドルはどう動く?】

日本当局による円買い介入が、4月29日と5月2日の2回起こった可能性はあるが、神田財務官は「ノーコメント」を貫いており、明確に実施の有無及び金額が判明する5月末(財務省公表の「外国為替平衡操作の実施状況」)までは疑心暗鬼な相場展開が続きそうだ。

一方、パウエルFRB議長が想定よりも「タカ派」な発言を行わなかったことで、10年債利回りの上昇は一服した。3日に発表される4月の米雇用統計を確認する必要はあるが、4月10日の3月消費者物価指数を起点とした米金利上昇のトレンドは一服した可能性はある。

また、4月27日に米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した4月23日時点の投機筋の円売りポジションは前週比1万4300枚増の17万9919枚。24日以降の円安ドル高加速などを考慮すると、2007年の過去最大の18万枚を上回った可能性が高い。日本当局の円買い介入観測やFOMCの方向性などを受けて、いったんは過去最大の円売りポジションの一部をアンワインドが進むと考える。

投機筋の一部ポジションの逆回転が進めば、円安ドル高の流れは小休止し、5月中は160円を上回るような円安加速はないと想定する。さすがに日米金利差が大幅に縮小するような展開が想定できない状況下では、140円台を目指した円高ドル安進行ではなく、150円台半ばでのもみ合いイメージだ。

なお、日本当局が行ったと思われる2日未明の円買い介入の投入金額次第では、ある一定の期間における最後の介入となる可能性もある。米財務省が提出する為替政策報告書に基づき、米議会が為替相場を不当操作している(為替操作国)と認定する可能性もあるからだ。一部では「GDPの2%」という水準があり、日本の場合、2023年の名目GDPは591兆円のため、約12兆円が、為替操作国に認定されない上限となる。認定条件はこの水準だけではないと考えるが、仮に認定されると、関税による制裁などネガティブな話が日米経済関係で出るとの見方だ。
4月29日に5兆円超を費やしたとの市場での試算から、残りの実弾は7兆円との見込みだ。5月2日の投入金額次第では、「実弾」不足を見透かした投機筋が円売りポジションを再度積み増すといった展開もあろう。

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