トルコリラ円見通し リラ安基調続くが30日深夜のドル円急伸で安値更新を回避(20/5/1)

30日深夜にドル円が急伸したことで反発に転じ、5月1日未明には15.36円まで戻した。

トルコリラ円見通し リラ安基調続くが30日深夜のドル円急伸で安値更新を回避(20/5/1)

【概況】

トルコリラ円は2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込んで4月21日夜には15.32円まで安値を更新し、その後は15.40円を挟んだ持ち合いでほぼ横ばいの推移が続いてきたが、ドル円における円高の進行で29日夕刻には15.20円まで安値を切り下げた。
4月30日午前には15.37円までいったん戻したが、4月30日夜には対ドルでのリラ安と円高が重なって15.22円まで下げた。しかし4月29日夕安値割れを回避し、30日深夜にドル円が急伸したことで反発に転じ、5月1日未明には15.36円まで戻した。

【ドル円が反騰、107円台回復】

ドル円は4月15日午前に106.91円を付けて4月1日夜安値と同値としてからは107.50円を挟んだ持ち合いを続けてきたが、27日から再び円高へ進み、28日夜に106.53円へ下落して4月15日安値を割り込んで持ち合いを下放れとなり、29日夕刻には106.35円まで続落した。しかしその後は新たな安値更新を回避し、30日夜の米経済指標悪化でも底固く、深夜にはユーロやポンドが急伸する中でユーロ円やポンド円での円安を背景に107円台を回復、1日未明には107.49円を付けた。1日早朝に107.00円まで反落したものの切り返している。
4月1日と15日のダブル底ラインを割り込んで3月24日高値からは二段下げ型に発展し始めていたが、月末要因によると思われるユーロやポンドの上昇をきっかけにひとまず持ち直している印象だ。ダブル底ラインを割り込んだ事実は重く、先行きの円高継続感を抱えた状況と思われるが、下げ一服となったことでトルコリラ円も下げ一服により戻り高値を試しにかかるきっかけとなったようだ。

【対ドルでのトルコリラ安は継続、終値ベースでは2018年11月以降の安値更新】

新興国通貨安の中でトルコリラも対ドルでの下落を続け、4月22日には7.0097リラを付けて2018年8月のトルコ通貨危機における7.2349リラの史上最安値に迫った。その後は新たな安値更新を回避しているものの終値ベースでは4月28日に6.9868リラでこの間の安値を更新し、4月30日終値も6.9908リラとなり終値ベースでの安値更新となっている。7リラ台への下落は回避しているものの安値圏にとどまっており、取引時間中の安値更新を伺う展開が続いている。

新興国通貨ではブラジルレアルが4月24日に対ドルでの史上最安値を更新したもののその後は下落一服となっている。南アランドも4月6日に対ドルでの史上最安値を付けて4月24日にも最安値に迫ったものの安値更新を回避してその後はやや落ち着いている。アジア通貨全般も対ドルでの下落一服となっており、3月後半に急激に進んだドル資金需給ひっ迫による新興国通貨に対するドル全面高はひとまず落ち着いた印象だ。しかし8会合連続で利下げを行ってきたトルコリラについては実質ゼロ金利ないしはマイナス金利状態の中で売り圧力が依然として強い印象だ。新興国通貨安が再燃してくると対ドルでの最安値更新へ進みかねないとの警戒は続くと思われる。

【トルコ国内の感染者は12万人に、経済指標悪化目立つ】

5月1日朝時点での世界の感染者数は330万人を超え、死者は23.3万人を超えた。米国は感染者が109万人台に増加、死者も6万3856人となった。米国の新規感染者数は4月24日に38958人増とこの間の最高となったが、27日に23196人増にいったん低下、その後は再び増加している。世界全体の感染者増加ペースは指数関数的な伸びが続いているが、欧米の感染増加ペースは鈍化の兆しも見える。
トルコは1日朝時点で感染者数が12万204人で前日からの増加数は2615人だった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに4月22日からは3000人前後へ落ち着き、25日からは3000人以下となっているがまだ高水準が続いている。死者累計は3174人に達して前日からは93人増となった。退院は4846人、回復者の累計は4万8886人となった。医療崩壊に関する報道は見られず、膨大な検査を実施して治療も効果を見せているようだ。

4月30日に発表されたトルコの第1四半期観光収入は41億ドルで前期の78.9億ドルを大幅に下回った。3月の観光客数の伸びは前年同期比でマイナス67.8%となり2月のプラス3.8%から大きく悪化し、市場予想のマイナス30%も下回った。4月29日発表の4月経済信頼指数が3月の91.8から51.3へ急激に悪化したことや4月24日に発表された4月の設備稼働率が3月の75.3%から61.6%へ低下したように、トルコ経済もコロナショックの影響を大きく受けており、今後はさらに悪化することが懸念される。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月29日夕刻へ安値を更新したもののその後の反騰で28日午前高値を上抜き返したため、30日午前時点では29日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は27日午前高値を基準として30日午前から5月4日午前にかけての間としたが、15.27円割れからは弱気転換注意とし、29日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
4月30日夜の反落で15.27円を割り込んだが底割れを回避して15.30円台へ戻しているので、まだ上昇余地が残る。また30日午前高値を上抜く場合は29日夕と30日夜の両安値をダブル底とした新たな強気サイクル入りの可能性も検討される。ただし、29日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして5月4日夕から6日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では30日深夜の反騰により先行スパンを上抜いたが、遅行スパンは実線と交錯している。30日午前高値を超えて戻り高値更新へ進む場合は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開注意として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は28日朝から29日夕への安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を示し、30日夜の反落時も指数のボトムを切り上げているのでまだ上昇余地が残るが、50ポイント割れからは下げ再開注意とし、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.27円を下値支持線、4月30日午前高値15.37円を上値抵抗線とする。
(2)15.27円を上回るうちは上昇余地ありとし、15.37円超えからは15.45円前後試しを想定する。15.45円以上は反落注意とするが、15.27円以上での推移なら週明けも高値試しを続ける余地があるとみる。
(3)15.27円割れからは下げ再開注意として29日夕安値15.20円試しを想定する。15.20円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、15.20円割れからさらに続落となる場合は15.10円前後試しへ下値目途を引き下げる。また29日夕安値を割り込む場合は週明けも続落しやすいとみて来週前半には15円試しへ向かう可能性を警戒する。

【当面の主な経済指標等の予定】

5月04日
 16:00 4月消費者物価 前年比 (3月 11.86%、予想 10.50%)
 16;00 4月消費者物価 前月比 (3月 0.57%、予想 0.50%)
 16:00 4月生産者物価 前年比 (3月 8.5%、予想 5.8%)
 16:00 4月生産者物価 前月比 (3月 0.87%、予想 0.4%)

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