トルコリラ円見通し 4月21日夜安値を割り込んで一段安となったが29日夕刻から持ち直す(20/4/30)

29日夕刻に15.20円と何度か15.20円割れを試したものの踏みとどまっていったん仕切り直し的に戻している印象だ。

トルコリラ円見通し 4月21日夜安値を割り込んで一段安となったが29日夕刻から持ち直す(20/4/30)

【概況】

トルコリラ円は2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込んで4月21日夜には15.32円まで安値を更新し、その後は15.40円を挟んだ持ち合いでほぼ横ばいの推移が続いてきたが、ドル円における円高の進行で29日夕刻には15.20円まで安値を切り下げた。しかしその後はドル円が持ち直し、対ドルでのトルコリラ安が落ち着く中で15.30円台へ切り返している。
4月28日朝に15.21円を付け、28日夜に15.22円、29日夕刻に15.20円と何度か15.20円割れを試したものの踏みとどまっていったん仕切り直し的に戻している印象だ。

【ドル円は3月24日からの下落が二段下げに】

ドル円は4月15日午前に106.91円を付けて4月1日夜安値と同値としたところでは底割れを回避してその後の7日間は107.50円を挟んだ持ち合いを続けてきたが、27日の日銀による追加金融緩和発表からは円高となり、28日夜に106.53円へ下落して4月15日安値を割り込み持ち合い下放れに入った。29日夕刻には106.35円まで続落したが、その後は株高によるリスク選好感からやや持ち直して106円台後半へ戻している。
目先は下げ一服感が出ているものの、4月22日から29日までは日足6日連続の陰線での下落であり、4月1日と15日の両安値によるダブル底ラインを割り込んだため、3月24日高値からは4月1日までを一段目とし、4月6日からは二段目の下げに発展した。また4月1日安値と4月6日安値により三角持ち合い型を形成していたが持ち合い下放れとなった。

円高の進行については、3月中盤のドル需給ひっ迫によるドル全面高が落ち着いて揺れ返しのドル安となっていること、アフターコロナの復興期待で株高が進行しているものの日本の感染爆発傾向は依然として深刻であり緊急事態宣言延長の可能性が高まっていることで株高にはなびかずに円高感が強まってきていることが背景となっている印象だ。ダブル底ラインを割り込んだことでチャート的には先安=円高感が強まっているため、トルコリラ円にとっても円高による下落圧力がさらに増す可能性があると警戒される。

【対ドルでのトルコリラ安基調は継続】

新興国通貨安の中でトルコリラも対ドルでの下落を続け、4月22日には7.0097リラを付けて2018年8月のトルコ通貨危機の際につけた7.2349リラの史上最安値に迫ったが、その後は新たな安値更新を回避している。終値ベースでは4月28日に6.9868リラでこの間の高値を更新しているので、ドル高リラ安基調は継続していると思われるが、主要国によるドル資金供給の協調や米連銀等による利下げと量的金融緩和によるドル供給、各国のコロナショック対策としての大規模財政出動や企業支援によりドル需給ひっ迫がやや落ち着いていることでトルコリラも対ドルでの安値圏にとどまりつつも新たな安値更新を回避しているところと思われる。

NYダウが4月29日には前日比532.31ドル高と上昇したが、欧米での経済活動停止解除の動きや治療薬開発への期待感からアフターコロナ=感染爆発収束後の復興期待が背景となっている。
欧米の株高に同調してトルコのイスタンブール100株価指数も4月29日は前日比0.88%高と上昇している。3月後半から先週まで5週連続で上昇しており今週も6週連続の上昇気配となっている。株高がトルコリラ安に多少の歯止めをかけている側面もあるだろう。
しかし、コロナショックによる不況感は日々強まっている。4月24日に発表されたトルコの4月設備稼働率は61.6%となり3月の75.3%から大幅に低下したが、29日に発表された4月のトルコ経済信頼感指数も51.3となり3月の91.8から大幅に低下して市場予想の65も大きく下回った。4月30日は観光客・収入の発表もあるが大幅な悪化も見込まれている。

【概況】

画像上:トルコリラ円、ドル/トルコリラ比較

画像下:トルコ経済信頼感指数

【トルコ国内の感染拡大ペースが鈍化】

4月30日朝時点での世界の感染者数は321万人を超え、死者は22.7万人を超えた。米国は感染者が106万人台に増加、死者も6万1618人となった。世界全体の感染者増加ペースは指数関数的な伸びが続いているが、欧米の感染増加ペースは鈍化の兆しも見える。
トルコは30日朝時点で感染者数が11万7589人で前日からの増加数は2936人だった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに4月22日からは3000人前後へ落ち着き、25日からは3000人以下となっているがまだ高水準が続いている。死者累計は3081人に達して前日からは89人増となった。
現時点で世界最大の感染者数は米国だが、トルコはスペイン、イタリア、フランス、英国、ドイツに続いて7番目となった。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月23日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定していたが、28日朝への一段安と反発により28日午前時点では28日朝安値を直近のサイクルボトムとした。またトップ形成期は28日夜から30日夜にかけての間としたが、28日朝安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとした。
4月29日夕刻へ安値を更新したがその後の反騰で28日午前高値を上抜き返しているため、29日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は27日午前高値を基準として30日午前から5月4日午前にかけての間とするが、15.27円割れからは弱気転換注意とし、29日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして5月4日夕から6日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日夕刻安値からの反発で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いてきた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、両スパンそろって悪化するところからは下げ再開とみて一段安警戒とする。

60分足の相対力指数は28日朝から29日夕への安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を示して上昇している。このため50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開とみて30ポイント以下への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.27円を下値支持線、15.40円を上値抵抗線とする。
(2)15.27円を上回るうちは上昇余地ありとして15.40円超えからは15.45円前後試しを想定する。15.45円以上は反落注意とするが、15.27円以上での推移なら5月1日も高値試しを続ける余地があるとみる。
(3)15.27円割れからは下げ再開注意として29日夕安値15.20円試しを想定する。15.20円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、15.20円割れからさらに続落となる場合は15.10円前後試しへ下値目途を引き下げる。

【当面の主な経済指標等の予定】

【当面の主な経済指標等の予定】

4月30日
 16:00 3月貿易収支 (2月 -29.8億ドル)
 16:00 第1四半期観光収入 (前期 78.9億ドル、予想 25.0億ドル)
 16:30 トルコ中銀インフレレポート
 17:00 3月観光客数・年率 (2月 3.8%、予想 -30.0%) 
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(MPC)議事要旨
5月04日
 16:00 4月消費者物価 前年比 (3月 11.86%、予想 10.50%)
 16;00 4月消費者物価 前月比 (3月 0.57%、予想 0.50%)
 16:00 4月生産者物価 前年比 (3月 8.5%、予想 5.8%)
 16:00 4月生産者物価 前月比 (3月 0.87%、予想 0.4%)

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