トルコリラ円見通し 4月21日夜安値以降の持ち合いからいったん転落(20/4/28)

28日早朝の取引開始時には薄商いの中で15.21円までさらに安値を更新したが、売り物一巡から早々に戻している。

トルコリラ円見通し 4月21日夜安値以降の持ち合いからいったん転落(20/4/28)

【概況】

トルコリラ円は4月16日早朝安値15.46円で2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込み、4月21日夜には15.32円まで安値を更新したが、その後は15.40円を挟んだ持ち合いでほぼ横ばいの推移が続いてきた。
4月22日夜にはトルコ中銀が8会合連続の利下げを行ったもののトルコリラ円への影響が限定的なものにとどまり、4月23日夜にドル円の上昇時に15.53円まで上昇したが勢い付かずに持ち合いのまま先週を終えた。
4月27日は日銀が国債買い入れを無制限とするなどの追加金融緩和政策を発表したが市場は想定内で効果は薄いとみて円高反応となり、ドル円は27日夜には一時107円を割り込むところまで下げた。トルコリラ円も円高に押されて27日夜には15.29円まで下落して21日夜安値を割り込んだ。28日早朝の取引開始時には薄商いの中で15.21円までさらに安値を更新したが、売り物一巡から早々に戻している。

【ドル円は持ち合い範囲に留まるが下放れへ余裕乏しい】

ドル円は4月15日午前に106.91円を付けて4月1日夜安値と同値としたが底割れを回避してその後の7日間は107.50円を挟んだ持ち合いを続けてきた。27日の日銀による追加金融緩和発表からはかえって円高となり、27日夜には106.99円まで下げて15日安値に迫ったが、底割れは再び回避している。しかし28日午前は107円台序盤にとどまったままであり、底割れへの余裕が乏しい状況だ。
106.91円を割り込む場合は4月1日夜と15日午前の両安値によるダブル底形成が失敗となり、15日以降の持ち合いからの転落、下放れとなるために円高が加速しかねないが、その際にはトルコリラ円にも大きな売り圧力がかかると注意したい。

【対ドルでのトルコリラ安基調は継続】

トルコリラは4月22日に対ドルで7.0097リラを付けて2018年8月のトルコ通貨危機の際につけた7.2349リラの史上最安値に迫った、その後は新たな安値更新を回避しているものの、4月27日の終値は6.9865リラで4月21日終値6.9812リラを割り込んで2018年11月以降の安値を更新している。トルコ中銀による8会合連続の利下げにより実質金利がゼロないしマイナスの状況にあるために売り圧力のかかりやすい状況が続いている。
コロナショックによる新興国通貨への全般的な売り圧力は続いているが、ドル資金供給が厚くなっていることで東南アジア通貨安は収まっている。しかし財政不安と経済成長率の大幅鈍化懸念を抱えたブラジルレアルは4月24日に対ドルでの史上最安値を更新し、27日も取引時間中の安値更新には至らなかったものの終値ベースでは最安値を更新している。引き続き新興国通貨全般の動向にトルコリラも左右されやすい状況が続くと注意する。

【トルコ国内の感染拡大ペースが鈍化】

4月28日早朝時点での世界の感染者数は305万人を超え、死者は21万人を超えた。米国は感染者が100万人台に増加、死者も5万6647人となったが、感染拡大の増加ペースは鈍化の兆しも見え、複数の州での経済活動停止措置の解除も見られる。欧州でもイタリアやスペイン等の日々の増加ペースは減少傾向が続いている。
トルコは27日時点で感染者数が11万2261人で前日からの増加数は2131人だった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに4月22日からは3000人前後へ落ち着き、25日からは3000人以下となっている。死者累計は2900人に達したが、4月19日の129人以降は減少傾向が続いて27日は95人増にとどまった。

トルコは4月23日から26日までの4日間を全国31都市でロックダウン(都市封鎖)した。3週連続の週末ロックダウンだったが、エルドアン大統領は週末の外出禁止令がラマザン・バイラム(5月23日)まで続くとした。
エルドアン大統領は「新型コロナウイルスに対する戦いの具体的な結果が出始める時期に突入した」「新たな患者数と死者数が日に日に減っている」「先進諸国が絶望的な状況に置かれているこの問題で我々は友好国を支援する立場にまで至った」と述べた。トルコは既に55か国へ医療用支援物資を送ってきたが、大統領は「マスク、フェイスガード、N95マスク、オーバーオール、消毒液からなる医療支援物資を4月28日にアメリカに送り出す」とし、トルコ軍貨物機が明日出発するとも述べた。
4月24日に発表されたトルコの4月設備稼働率が3月の75.3%から61.6%へ大幅低下したようにコロナショックによるトルコ経済への打撃も深刻化しているが、今のところはパニック的な様相には陥らずに国全体としてしっかりしている印象だ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月21日夜安値以降の持ち合いが続く中で、4月21日夜安値を直近のサイクルボトムとしていたが、4月23日夜へ戻り高値をいったん切り上げてから21日夜安値へ迫るところまで下げたため、27日朝時点では23日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は4月24日夜から28日夜にかけての間とした。
4月28日朝に一段安したがその後はもどしているので、28日朝安値を直近のサイクルボトムと仮定する。トップ形成期は28日夜から30日夜にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるので28日朝安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして5月1日朝から5日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では24日の下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いている。28日早朝安値から戻しているので遅行スパン好転からは高値試しとするが、先行スパンが戻り抵抗帯となりやすいと思われる。28日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は24日深夜に30ポイント台前半へ低下した後は相場の安値更新に対して指数のボトムが横ばいに留まる強気逆行を見せているので50ポイント台への上昇余地ありとみるが、34ポイント割れからはボトムの横ばいが崩れるので下げ再開として20ポイント台前半への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.27円を下値支持線、15.40円を上値抵抗線とする。
(2)15.27円を上回るうちは上昇余地ありとして15.40円前後試しを想定する。15.40円以上は反落注意とするが、15.27円以上での推移なら29日も高値試しへ進む余地があると考える。
(3)15.27円割れからは下げ再開注意として28日朝安値15.21円試しを想定する。15.21円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、15.21円割れからさらに続落となる場合は15円試しへ下値目途を引き下げる。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月29日
 16:00 4月経済信頼感指数 (3月 91.8、予想 65.0)
4月30日
 16:00 3月貿易収支 (2月 -29.8億ドル)
 16:00 第1四半期観光収入
 16:30 トルコ中銀インフレレポート
 17:00 3月観光客数・年率 (2月 3.8%、予想 -30.0% 
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(MPC)議事要旨
5月04日
 16:00 4月消費者物価 前年比 (3月 11.86%)
 16;00 4月消費者物価 前月比 (3月 0.57%)
 16:00 4月生産者物価 前年比 (3月 8.5%)
 16:00 4月生産者物価 前月比 (3月 0.87%)

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